
ハゼム・バルーシャ
ガザ市:世界中のイスラム教徒が、日中の断食と、食べ物や料理にまつわる伝統が伴う、聖月ラマダンの開始準備に追われている。
パレスチナでは、月の最初のイフタールに緑や白を基調とした料理を出すという伝統がある。具体的には、モロヘイヤの葉もしくはヨーグルトを主な材料とする料理であることが多い。
ガザの主婦アマル・アル・ハリリ氏は、毎年ラマダンの初日に、モロヘイヤの葉で作るシチューのような同名の料理「モロヘイヤ」を作るという。ラマダンの時期に葉が旬でなく、新鮮なものが買えない年には、事前に葉を購入し保存しておく。
私たちはラマダンの月を、善意とご利益に満ちた緑一色の月と考えているので、私は母から習ったモロヘイヤを調理します。
ガザの主婦、アマル・アル・ハリリ氏
「私たちはラマダンの月を、善意とご利益に満ちた緑一色の月と考えているので、私は母から習ったモロヘイヤを調理します」とアル・ハリリ氏は話す。「今は、私の結婚した娘も、ラマダンの最初の日にモロヘイヤを調理しています」
モロヘイヤは大きく分けて二つの方法で調理される。一つは、葉を細かく刻み、肉やニンニクと一緒に食べる方法。もう一つは、葉をみじん切りにせず、肉と一緒に食べる方法である。レバノンでは後者の調理法が特に人気だ。伝統的に、前者では白米、後者ではスパイスを加えた黄色いご飯が共に供される。
パレスチナのいくつかの都市、特にヨルダン川西岸地区北部では、ラマダンの最初の日の伝統は、色の白い食べ物で、通常、主な材料の一つであるヨーグルトが使われる。人気のある料理の一つは、発酵・乾燥させたヨーグルトのソースで羊肉を調理するアラブの伝統料理「マンサフ」で、ご飯やブルグルと一緒に食べられる。
また、ナブルスやヨルダン渓谷周辺の都市では、ヨーグルトとアクーブを使ったシチューが人気である。今年のラマダンは、渓谷の平原で収穫されるアザミに似た植物、アクーブの季節と重なる。整えて洗った後、切って揚げ、肉や鶏肉と一緒にヨーグルトで煮込む。
ヨルダン川西岸北部のジェニンに住む主婦で6児の母のウム・サメル氏は、こう語る。「月の初めにはヨーグルトの需要が増加するので、私たちはラマダン前に事前に購入します。マンサフにしろ他の料理にしろ、大多数の人々が初日にそれを使用するからです」
パレスチナ中南部のパレスチナ人は、羊やヤギの乳から作ったヨーグルトを硬く乾燥させたジャミードでマンサフを作る。ヨルダン川西岸地区北部の人々は、生のヨーグルトを好んで使用する。
パレスチナのFacebookページやグループでは、ラマダンの食事について、またラマダンの最初の数日間は白にすべきか緑にすべきかについて、頻繁に議論が行われている。緑と白の伝統はエルサレムでも一般的で、多くの家庭でモロヘイヤ、またはヨーグルトやラブネ、肉、米を使った料理が月の初日、または最初の数日間に食べられる。
「エルサレムのラマダンは、善意と祝福の月となるよう期待を込めて、白か緑の料理で始まります」と、66歳の主婦ハリマ・ガイス氏は言う。彼女は、義理の娘と共に、ラマダン中は16人の家族のために料理を作る。
つまり、肉や米、揚げ野菜から成る非常に人気のパレスチナ料理「マクルーバ」は、しばしばラマダンの始めの数日間は夕食のテーブルから姿を消し、代わりに月の後半に提供される。