
ハゼム・バルーシャ
ガザ地区:パレスチナの市場の交差点には、トールシという名で知られる漬物の露店が数多く軒を並べる。
トールシの起源はファーティミッド朝時代にまでさかのぼることが知られている。
トールシは、ラマダン中のパレスチナのイフタール(断食明けの最初の食事)に欠かせない副菜として広く好まれている。
販売業者からキュウリ、ピーマン、ナスの漬物を1/2キロ購入したというマフムード・ゴネイムさん(23)は、「幼い頃から、特にラマダン中に、父が漬物を買うのを見ていました。今日は、帰宅時にイフタールの食卓に出すための漬物を買ってくるよう、母に頼まれました」と語った。
ゴネイムさんは、母親が毎年自宅で作るキュウリの漬物が一番好きだというが、「今回はキュウリの漬物の季節が遅くなったせいで、ラマダン前に準備することができませんでした」ということだ。
通常であれば、季節の野菜で一年中、自家製の漬物を作る主婦もいれば、ラマダンのために準備して保存するだけの主婦もいる。
ニスリーン・ルバドさん(50)は、店から漬物を買わず、一年中自宅で作っているという。「家族も私も、自家製の方が好きです。市販のものとは違い、塩分濃度を調整できますから」という。
漬物の準備は自宅だけにとどまらない。ラマダン月は、漬物業者にとってはかき入れ時だ。
季節の野菜で一年中、自家製の漬物を作る主婦もいれば、ただ準備して保存するだけの主婦もいる。
漬物工場のオーナーであるサイード・アルサッカさんは、漬物の需要増に対応するため、ラマダン前に従業員を増員するという。
「ラマダンの季節は、ガザ地区で漬物の売上が増加する、最高のかき入れ時です。漬物作りには複数の段階があります。農場から収穫された野菜は、きれいに洗って漬けこみ、洗浄して加工します。その後、重量別に包装します」と彼は語った。
ラマダン中はキュウリ、ピーマン、ナス、オリーブ、ニンジン、カブといった漬物、そしてマクドゥスの需要が増加するため、アルサッカさんは工場で約32種類の漬物を作るという。
ガザ市北部のシェイク・ラドワン市場で出店していたアブ・アーメド・アル・ルバイさんは、「漬物は家庭になくてはならない物で、金持ちも貧乏人も皆購入します」と語り、その理由として、「断食した人は水や飲み物を大量に飲むため、食べ物を摂取できません。そんな時、独特の味の漬物が食べ物として活躍します」と述べた。
アル・ルバイさんの店の前にいたイマン・アブ・カマルさん(44)は、他の漬物よりもオリーブやナスの漬物、しかも賞味期限が短く塩分濃度の低いものを好んで食べるという。アブ・カマルさんの家族は、イフタールの食事の定番として、前菜にこれらの漬物を食べるという。
「ラマダン月には、カリフラワー、赤唐辛子入りレモン、通常の小唐辛子、ナスなど、他の月よりもさまざまな種類が用意され、販売されます」と彼女は語った。
ガザ地区では、漬物の主原料となる野菜の栽培が盛んだ。販売業者たちは通常、季節の野菜を買ってストックする。旬の野菜は価格が安いからだ。