
ナジャ・フーサリ
ベイルート:レバノンの経済状況の悪化により、多くの人々がラマダン月に通常行われる断食の習慣やお祭りを調整することを余儀なくされている。
パンデミック関連の規制が緩和され、長く寒い冬の後に暖かい季節が到来したため、屋外のレストランやコーヒーショップは再び客を集めている。
しかし、外出する余裕のある人は多くない。ホテルやレストランのオーナーは、彼らの顧客は「レバノン国民の8%を超えることはない。レバノンにアラブ人や外国人観光客がいないことを考慮すると、週単位で娯楽施設に出入りしているのと同じ人達だ」と言う。
ラマダン月は、レストランでのイフタール(日没後の食事)やスフール(夜明け前の食事)を通じて、毎年、観光セクターにとって重要な収入源となっている。しかし、食費や交通費、発電機から供給される電気料金の値上げ、スタッフの流出、レバノン・ポンドの悪化による多くの観光施設の閉鎖などが、市場に打撃を与えている。
レストラン・喫茶店・飲食店経営者組合の代表であるトニー・ラミー氏は、「人々は冬の季節による閉塞感の後、自宅から外出することで楽しみたいと考えている。我々はこうした人々にレストランでイフタールの食事をする息抜きを提供し、緊張や悲しい状況を忘れるために、ラマダンの雰囲気を回復させたい」と述べている。
アラブニュースは、ベイルート内外のレストランやカフェを視察した。経営者たちは、レバノンの最低賃金である67万5000レバノン・ポンド(LBP)を超えるかもしれないイフタールのコース料理や、10万LBP程度のサラダ、スープ、フライドポテトのプレートまで、さまざまなオプションを顧客に提供することについて語った。
ベイルートのあるレストランで働くナイム氏は、食料品の値上がりの原因は、電気が1日1時間しか来ないため、調理ガス代と発電機から供給される電気料金が上がったことだという。「その料金はドル建てで支払わなければならない」
多くのカフェでは、コーヒーや紅茶のカップの横に、携帯電話やノートパソコンの充電器が置かれている。
「ラマダン月の最初の週は、人々は自宅で家族のイフタールをすることを好む。費用を節約するためにレストランの代わりにカフェに頻繁に行くことを選択するかもしれない」とラミー氏は語った。
2019年初め、組合はレバノンの飲料、食品、娯楽、スナック、アラブ菓子のセクターで8500店舗を数えた。この数は2020年に550店減少し、2021年の前半6カ月間にはロックダウンにより、同セクターはさらに1000店舗を失った。
ラミー氏は次のように述べている。「我々はレバノンを愛しているからこそ、事業所の危機管理で生き残り、回復性(レジリエンス)を持たせようとしている」
「このセクターの売上高は2010年に97億ドルに達し、20万人の雇用を創出した。これは、すべての製造セクターを押し上げることになった。観光は農業や工業セクターを活性化し、食品産業は雇用と多くの投資をもたらすからだ」
観光・ホテル経営者組合連盟のピエール・アル・アシュカル代表は、ホテルセクターにおける主な問題は、価格が高騰しているディーゼル油の確保であると指摘し、次のように語った。「24時間365日電気を必要とするための発電機を支給することはできない。これは法外なコストになる」
アル・アシュカル氏は、イースターやイフタールの時期にホテル業が回復する兆しはないとしながらも、雪の降る高山地帯のホテルオーナーには、利益を出せる人もいると指摘した。