
モハメド・ナジブ
ラマッラー:パレスチナ自治政府はEUに対し、約束した支援を無条件で行うよう改めて要請した。
パレスチナ自治政府は、ここ数カ月、EU高官と何度か会合を開いたにもかかわらず、EUから毎年受けている予算への財政支援において不確かな状態が続いていることを懸念している。
パレスチナのムハンマド・シュタイエ首相は先週、ブリュッセルでEUのジョセップ・ボレル・フォンテレス外交安全保障上級代表と会談し、2年間停止している財政支援の送金を早めるようEUに要請した。
国外からの支援が減少していることと、イスラエルが、パレスチナ自治政府の代わりに徴収している税金を差し引き続けていることが原因で、財政危機が拡大していることをシュタイエ氏は指摘した。
「我々は欧州連合に対し、約束した支援を無条件で行うよう要請した。我々はこれを早急に達成したい」とシュタイエ氏は、ラマッラーで16日に行われたパレスチナ自治政府の週次閣議の冒頭で述べた。
ハンガリーが、ヨルダン川西岸の学校のカリキュラムに「反イスラエルの扇動や反ユダヤ的な内容が含まれている」ため、カリキュラムを変更せよという条件を出し、EU加盟国がそれを支持したため、EUはパレスチナ自治政府への年間2億2300万ドルの支援金の送金を延期した。
EUはパレスチナ自治政府の予算に年間約1億5600万ドルを拠出し、そのうち9300万ドルは文民労働者の給与に充てられている。彼らが受け取る給与は5カ月連続で2、3割減少している。
パレスチナ自治政府は、2013年には13億ドルだった予算への国際的な支援が、2021年には1億2900万ドルへと激減する事態に見舞われた。
パレスチナの経済学者であるサミール・フリレ氏はアラブニュースに対し、欧州諸国の政策は最近、パレスチナの民間部門を直接支援しており、パレスチナ自治政府を疎外していると述べた。
「欧州諸国はパレスチナの民間部門への経済支援を拡大し続けているが、パレスチナ政府に提供される公式支援は完全に停止している」と同氏は述べた。
「これはパレスチナ自治政府の機能的役割におけるパフォーマンスの低下につながる。特に米国とアラブの支援が停止されたことで、そうなってしまう」
財政赤字の額は13億ドルに達した、とフリレ氏は話した。
今月初め、パレスチナ自治政府は、支援国、特にEU諸国にパレスチナ自治政府への財政支援を再開するよう促すため、幅広い改革計画をパレスチナ支援調整会議に提示した。パレスチナの情報筋がアラブニュースに語った。
欧州高官筋はアラブニュースに対し、次のように述べた。「EUはUNRWAへの支援を続けている。未解決のままなのはパレスチナ自治政府への資金援助で、これはまだEUで行き詰まっている」
とはいえ、報道によると、EUは2022~24年の期間、UNRWAへの支援を1億3500万ドルから8200万ドルへと40%減額した。
EUはパレスチナ自治政府への年間1億5600万ドルの財政支援を延期し続ける一方で、学校のカリキュラムを変更し、イスラエルに対する扇動材料と呼ばれるものを削除すれば支援を通常の水準に戻すことができると言っている。
EUの予算の削減は、昨年イスラエルの機関がUNRWAに強い圧力を掛け、扇動キャンペーンを行ってから始まった。そのためEUは、ヨルダン川西岸地区、ガザ地区の学校でイスラエルやユダヤ人に対する憎悪と暴力を引き起こしているとして、UNRWAによる教材の使用を非難することになった。EUが国連の救済機関のカリキュラムを非難したのはこれが初めてだった。
EUはUNRWAに対し、いわゆる扇動的な教材を「直ちに」削除するよう要求し、資金援助は、平和と寛容を促進する国連の価値観に合った教材に適応することを「条件とすべき」だと主張した。