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ウクライナのゼレンスキー氏、ダボスのエリートに、暴力が支配するなら「会議をする必要はもうない」

2022年の世界経済フォーラム年次総会で特別講演を行うウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領。(資料写真/AFP)
2022年の世界経済フォーラム年次総会で特別講演を行うウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領。(資料写真/AFP)
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24 May 2022 08:05:18 GMT9
24 May 2022 08:05:18 GMT9
  • 企業トップや政府高官らに向けたオンライン演説が、世界経済フォーラム年次総会参加者の前で行われた
  • ウクライナ大統領は、ロシアが小麦やひまわり油などの重要な食糧の輸出を妨げていると非難した

ジョナサン・ゴーナル

ロンドン:ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ダボスで開催中の世界経済フォーラム年次総会の開会式で力強い演説をし、「ロシアによるウクライナ侵攻から学ぶべき教訓は、国際社会が将来の国際的な侵略行為を抑止したいと思うなら、泥縄的にではなく、予防的に行動しなければならないということだ」と述べた。

ロシアが侵攻を開始してから約3カ月が経過した。キーフからテレビ電話で演説したゼレンスキー氏は「世界は転換点にある。まさに暴力が世界を支配するかどうかが決まる瞬間だ」と述べた。

暴力が支配するのであれば、「ダボスで会議をする必要はもうない」だろうと同氏は述べた。「暴力は我々が考えることに興味がないからだ。暴力は、支配しようとするものを支配すること以外、何も求めない」

「暴力は話し合いをせず、すぐに殺す。ロシアはウクライナでそうしている。我々が話をしている間にも」

ロシア政府は、2月24日に開始したウクライナでの「特別軍事作戦」の目的は、ロシアの安全と東部ドンバス地方のロシア語話者の安全を守ることだとしている。

ダボス会議参加者のスタンディングオベーションを受けた月曜日のスピーチで、ゼレンスキー氏は「ロシアは『戦争犯罪国家』になった。その行為が国際社会によって罰せられずに済んでしまえば、将来的に他の潜在的侵略国家を触発する危険がある」と述べた。

ウクライナが被った混乱と破壊に関する同氏の話は涙をそそった。「栄えた平和な都市はなく、真っ黒な廃墟があるだけだ。通常の貿易は行われず、機雷であふれた海と封鎖された港がある。観光は行われず、閉ざされた空と何千発ものロシアの爆弾と巡航ミサイルがある」

同氏はこう警告した。「この転換期に人類が適切な対応をしなければ、世界はこんな有様になるだろう」

ウクライナは、世界の多くの国から提供された支援と「侵略国ロシアとの関係を制限・規制するよう政府や企業に圧力を掛けている民主主義国の数億人の市民」に感謝している、と同氏は話した。

同氏はこう続けた。「しかし、我々はアプローチを変える必要がある。対応するのではなく、予防的に行動するように……ロシアがウクライナに戦争を仕掛けたのは2014年だった。我々は今回の支援に感謝している。しかし、あれがすぐにあれば――あの団結、政府や企業への圧力があれば――ロシアはこの本格的な戦争を始め、ウクライナや世界にこんなことをしただろうか? 答えはノーだと思う」

同氏はこう付け加えた。「ロシアのウクライナに対する戦争により、攻撃を受けている国への支援は、早ければ早いほど貴重であることが示された。武器、資金、政治的支援、対ロシア制裁――必要なもの全てを2月に一度に受け取っていれば、数万人の命が助かっていたはずだ」

5月17日、ウクライナの主要な交渉担当者であるミハイロ・ポドリャク氏は、ロシアとの協議が一時中断していると述べた。ロシアのドミトリー・ペスコフ報道官は、ウクライナ当局が停戦協議の継続を望んでいないと非難している。

ロシアの通信社によると、最後の協議は4月22日に行われた。

月曜日にゼレンスキー氏が改めて求めたのは、対ロシア制裁を「最大限に強化し、ロシアや、隣国に残忍な戦争を仕掛けたがっている他の全ての潜在的侵略国に、すぐに払うことになる自国の行動の代償を明確に知らせる」ことだった。

「ロシア産石油を禁輸し、ロシアの全銀行を例外なく遮断し、ロシアのIT部門を見捨て、ロシアとは一切貿易すべきではない」と同氏は世界経済フォーラム年次総会で語った。

「それが、今後数十年、説得力を持って機能する制裁圧力の前例になるはずだ」

ダボス会議に出席している多くの国際的なビジネスリーダーらに直接訴えかける形で、同氏はこう付け加えた。「あなた方のブランドが戦争犯罪と結びつけられないようにするために、ロシア市場から全ての事業を完全に撤退させる必要がある。世界市場が不安定になりつつある今、これは重要なことだ」

ロシア市場から撤退した全ての企業は「ウクライナで事業を継続し、4000万人の消費者がいる我々の市場だけでなく、欧州の共同市場にも参入することができる」と同氏は述べた。

「ここ、ダボスにいる我々の代表は、ウクライナが開く、あなた方の事業の展望について、全ての方に詳しく説明することができる」

ゼレンスキー氏は、戦争が続いていてもウクライナ政府はウクライナの未来と復興に焦点を合わせていると明言し、ダボスにいる有力な代表らに「この復興に参加するよう」呼び掛けた。

同氏はこう述べた。「仕事量は膨大だ。我々の損失は5000億ドル以上で、何万もの施設が破壊された。都市や産業全体を再建する必要がある」

これを実現するために、ウクライナは「特別で歴史的に重要な復興モデルを提供している。パートナー国やパートナー都市、パートナー企業が、特定の地域や都市、コミュニティーを、あるいは産業さえも支援する機会を持つことになる」と同氏は述べた。

イギリスやデンマークなどの国やEUは「支援・再建する特定の地域をすでに選んでいる」。そして同氏は他の国も後に続くよう促した。そうすれば、「ウクライナの戦後復興――第二次世界大戦終結後、欧州で最大の復興計画――は迅速で効率的で質の高いものになりうる」

ウクライナは、防衛・地雷除去・医療支援・復興のための寄付を集めることを目的とした「United 24」という基金を設立した。「そして、このプラットフォームに参加するよう、皆さんに呼び掛けている」とゼレンスキー氏は話した。

「寄付者一人ひとりに、どう支援し、どこに資金を配分するか、具体的な提案をしていく」

しかし、ウクライナだけがUnited 24の恩恵を受けるわけではない、と同氏は付け加えた。

「このブランドのもと、軍事攻撃や自然災害、パンデミックに直面した国に対して24時間以内に十分な支援を提供できる世界的な組織を設立することを提案する」

「我々が直面したことに基づき、安全保障のための新しいフォーラムを提案する。必要とする全ての人への時宜にかなった援助の先例になるものが必要だ。救うのは人命、社会の安定、正常な経済に必要な全ての要素だ。世界規模で安全を保証する911サービスのようなものだ」

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