
ウィーン:国際原子力機関(IAEA)は30日、イランの濃縮ウラン貯蔵量について、イランが世界列強と結んだ2015年核合意で定められた上限の18倍以上に増加しているとの推計を公表した。
イランの核開発に関するIAEAの最新報告書によると、「2022年5月15日時点で、イランの濃縮ウランの総貯蔵量は推計3809.3キロ」となった。
2015年核合意の上限は特定化合物300キロ(660ポンド)に設定されていた。これはウラン202.8キロに相当する。
報告書には、イランは核合意の上限である3.67%を上回るレベルのウラン濃縮を続けているとも書かれている。
現在、濃縮度20%のウランの貯蔵量は推定238.4キロで、前回の3月の報告から56.3キロ増加した。濃縮度60%のウランは9.9キロ増の43.1キロ。
核兵器への転用に必要な濃縮度は90%前後とされている。
イランは常に、自国の核開発は平和的なものだと主張してきた。
外交筋によると、濃縮度60%のウランの貯蔵量は、IAEAが「核爆弾製造の可能性を排除し得ない」おおよその量と定義する「有意量」を超えている。
しかし同外交筋は、さらなる濃縮の過程で失われるウランもあり、その目的を達するには、実際には「55キロ以上必要になるだろう」と指摘した。
IAEAが30日に発表した別の報告書では、マリバン、バラミン、トゥルクザバドの3カ所の施設で過去に検知された未申告の核物質について、依然として疑問は「解消されていない」と繰り返されていた。
IAEAが、イラン当局に核物質の存在について説明させようと、一連の努力を長年続けてきたにもかかわらず、この状況だ。
報告書によると、イランは「第三者による妨害行為で(それらの施設は)放射性物質に汚染された」と説明したが、それを裏付ける証拠は提出されていないと補足されている。
外交筋は、IAEAの疑問につながった「核物質の分布」を考えると、妨害行為は「簡単に信じられる話ではない」と述べた。
イランと世界列強が結んだ歴史的な2015年核合意を復活させるための協議が、3月に行き詰まった後、依然こう着状態にある中、今回の報告書は発表された。
AFP