
レバノン・ナクーラ:複数の政治家を含む数百人の人々が11日、レバノン南部にて、その一部をレバノン政府が領有権を主張している沖合のガス田へ、イスラエルがガス生産船を航行させたことに対する抗議活動を行った。
抗議活動は、レバノン・イスラエル間の海上境界線を調停する米国特使を交えた、レバノンにおける協議を数日後に控える中で行われた。また先週には、ロンドン証券取引所に上場するエナジアンが運用する船がカリシュ・ガス田に入っていた。
AFP通信の特派員によると、カリシュ・ガス田のある当該紛争海域についてイスラエルが領有権を主張している件に対して数百人の人々がレバノンの国境の街・ナクーラで抗議活動を行い、レバノン国旗やパレスチナ旗を振った。
「全てのレバノン国民に属する海洋資源を放棄することを、我々は断固として拒否します」と、国会議員のフィラス・ハムダン氏は共同声明を読み上げた。同声明は、そのほとんどが先月新たに当選した13名の無所属の国会議員によるものだ。
レバノンとイスラエルに国交はなく、国連が警備する境界線により隔てられている。
レバノンの大統領と首相は、イスラエルがカリシュ・ガス田に船を航行させたことに対して強く非難し、米国のアモス・ホッホシュタイン特使を仲裁のためにベイルートへ招待した。
米国務省によると、ホッホシュタイン特使は13日にレバノン入りし、2日間滞在する予定。
レバノンで影響力のある親イラン派武装組織・ヒズボラは今週、エナジアンに対し、ガス田での活動を進めないよう警告した。
レバノンとイスラエルは海上国境に関する交渉を2020年に再開したものの、交渉の中でレバノンが、国連が使用する地図に修正の必要があると主張したことで頓挫していた。
レバノンは当初、紛争海域における860平方キロメートルの領海を主張していたものの、その後にカリシュ・ガス田を含む1430平方キロメートルを追加で要求した。
上記の無所属議員らは11日に発表された声明の中で、カリシュ・ガス田の一部に対するレバノン政府の領有権主張を支持すると述べた。
AFP