• UNRWAが設置された目的は、1948年のイスラエル建国をめぐる戦争中に家を捨てて逃げたり、住む家を追われたりしたパレスチナ人70万人に教育や医療、食糧、その他のサービスを提供することだった

国際連合：国連パレスチナ難民救済事業機関（UNRWA）への約1億6000万ドルの寄付が約束されたが、50万人以上いる子供たちへの教育支援、約200万人への一次医療の提供、最も貧しい難民への現金による緊急援助にはまだ1億ドル以上必要だ、とUNRWA事務局長は24日、述べた。

23日に開かれた援助会議の結果について記者団に説明したフィリップ・ラザリーニ氏は、次のように述べた。「約束が現金に変われば、UNRWAとして知られている国連の救済事業機関は9月まで事業を行うことができます。ですが、9月以降も給料を支払うために必要な現金が手に入るかどうかは分かりません」

「我々は早期警戒態勢に入っています」とラザリーニ氏は述べた。「今、注意を促していることがあります。それは、我々は危険地帯にいるということ。そして、UNRWAが追い込まれて臨界点を超えるような事態を避けなければならないということです。臨界点を超えてしまえば、2万8000人の教師や医療従事者、看護師、医師、技術者に給料を支払えなくなるからです」

UNRWAが設置された目的は、1948年のイスラエル建国をめぐる戦争中に家を追われて逃げたりしたパレスチナ人70万人に教育や医療、食糧、その他のサービスを提供することだった。

現在、パレスチナ難民は、彼らの子供や孫を含めると570万人いて、そのほとんどがキャンプで生活している。キャンプは密集したものに変わったが、その多くはイスラエル占領下のヨルダン川西岸地区や東エルサレム、ガザ、そしてヨルダン、シリア、レバノンの貧しい住宅地域にある。だが、UNRWAが支援するのは、50万人以上の生徒と、医療給付を受けている約200万人だけだ。

ラザリーニ氏によると、今年は1億ドル以上の資金が不足している。UNRWAがここ10年、毎年直面している不足額とほぼ同額だが、収入が停滞する一方で費用は増大している。

ここ数年、UNRWAは緊縮財政と費用抑制策によって不足分を吸収できていたが、サービスを削減せずに削れる所がほとんど残っていないため、現在は不可能だと同氏は言う。

「現在、最大で50人の子供がいる教室もあります」とラザリーニ氏は話した。「我々の学校では二交代制を実施しています。診察に3分以上かけられない医師もいます。ですので、これを超えたら、UNRWAはサービスを削減せざるを得なくなります」

UNRWAの問題は、「政府のようなサービスを、地域で最も貧しいコミュニティの一つに提供することを期待されているのに、NGOのように資金を調達していることです。有志の寄付に完全に頼っているからです」とラザリーニ氏は述べた。

「UNRWAのサービスの資金調達は現在、保証されていません。優先順位が下がったり、関心がなくなったりしているからでしょう。もしくは国内政治のせいです」と同氏は述べた。

UNRWAの慢性的な財政問題の解決に必要なのは、UNRWAによるパレスチナ難民救済事業の支援に見合うものにするという「政治的意志」だ、とラザリーニ氏は述べた。

同氏によると、UNRWAは非常に強い寄付基盤を欧州に持っている。バイデン政権は昨年、トランプ政権に削減された資金提供を再開したが、アラブ世界からの資金提供の総額はUNRWAの収入の3％未満に減っているという。

援助国もまた、新型コロナウイルスの感染拡大に端を発した財政難に直面しており、今は主に、ロシアと戦っているウクライナへの支援に努力が向けられている、と同氏は述べた。

「年末には、それがUNRWAにどれだけ影響があるか、もっとよく分かるでしょう」とラザリーニ氏は述べた。

一部の援助国はすでにUNRWAに対し、「今年の年末には、これまで行なってきた追加支援がないかもしれない。劇的なことになるだろう」と警告している、と同氏は述べた。
23日に開かれた援助会議に先立ち、イスラエルのエルダン国連大使は各国に、テロとユダヤ人殺害を支持しているとイスラエルが言っているUNRWAの教師が解雇されるまで、全ての寄付を凍結するよう要請した。

ラザリーニ氏によると、UNRWAは24日、イスラエル国連代表部から手紙を受け取ったが、自身はそれを読んでいないという。だが、全ての疑惑を調査して、国連の価値観に反する行為や不正行為があれば、「我々は国連の方針に沿った措置を取ります」と同氏は述べた。

AP