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モロッコの救助隊、5歳のラヤン君を救出し病院へ救急搬送

48時間前に井戸に落ちた5歳のラヤン君を救出するために活動するモロッコ当局と消防隊員。木曜、シャフシャウエン州バブ・ベレッド市近郊地域にて。(AFP)
48時間前に井戸に落ちた5歳のラヤン君を救出するために活動するモロッコ当局と消防隊員。木曜、シャフシャウエン州バブ・ベレッド市近郊地域にて。(AFP)
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06 Feb 2022 12:02:45 GMT9
06 Feb 2022 12:02:45 GMT9
  • ラヤン・アーラム君は井戸から引き上げられた後すぐに病院へ搬送された
  • 複雑で危険な土木作業は、モロッコ国内外の人々の目を数日間釘付けにしていた

アラブニュース

ジェッダ/ロンドン:モロッコで深さ32メートルの井戸に転落した5歳男児の救出活動は、土曜日に彼の死亡が確認され、悲劇的な結末を迎えた。

モロッコの王室は、深い井戸に4日間閉じ込められていたラヤン君の死亡を確認したと発表。

モロッコ国王モハメッド6世は、ラヤン君の両親であるカレド・アーラム氏とワッシマ・カーシーシュ氏に、ラヤン君の悲劇的な死に対して電話で家族に哀悼の意を表したと、王室は別途伝えている

世界中の何百万人もの人々が息を呑みながら、火曜日から井戸に閉じ込められていたラヤン・アーラム君を乗せたレスキュー隊と医療チームが横に掘られたトンネルから出てくる様子をライブ映像で見守った。

モロッコ国王モハメッド6世は、ラヤン君の両親であるカレド・アーラム氏とワッシマ・カーシーシュ氏に電話で哀悼の意を表した。(マグレブ・アラブ通信)

作業を阻む岩盤や、地滑りの危険があり、救助活動は難航していた。

救助のために掘られたトンネルから運び出されたラヤン君は、黄色い毛布に包まれ、救急車ですぐにヘリコプターに乗せられ、最寄りの病院に搬送されたが、死亡が確認された。直後に王室が死亡確認の声明を発表した。

これに先立ち、国王は事態の推移を注視しており、すべての関係当局に対して、必要な措置を講じ、命を救うためにあらゆる努力を尽くすよう指示を出したことを明らかにした。

2022年2月5日、井戸から運び出されたラヤン・アーラム君の状態を確認する医療従事者と救助隊員。(ロイター/アブデルハク・バルハキ)

モハメッド国王は、献身的な救助隊の努力と、モロッコの様々な団体や、辛い状況での家族の協力に感謝の意を表した。男児は、世界中が注目した長く、困難で危険な作業の後、救助隊によって土曜日の夜に引き上げられた。

5歳の男児、ラヤン・アーラム君は、火曜日にモロッコ北部のシェフシャウエン近郊の丘陵地帯にある深さ32メートルの井戸に転落、機械式掘削機を操作する作業員が24時間体制で救出活動にあたっていた。

救助隊長のアブデルハディ・タムラニ氏は、土曜日の午後、まだ残り数メートルの掘削が必要な現場にて、記者団に「岩盤に遭遇しないことを願っています」と語っていた。

2022年2月5日、モロッコ北部の丘陵地帯にある町シェフシャウエンで、ラヤン君が落ちた井戸の穴の近くに立つ救助隊員。(ロイター)

両親は、ラヤン君が運び出される前に救急車に案内され、乗り込んだ。彼の苦境は世界中の注目を集めていた。

夜を徹して行われた救助活動に、ラヤン君を気遣うメッセージが世界中から寄せられた。

救助隊はロープを使って酸素と水を送り、カメラで監視を続けていた。土曜日の朝になって、救助委員会の責任者であるアブデルハディ・タムラニ氏は次のように述べた。「今のところ、子供の状態を判断することはできません。しかし、生きていることを神に願います」

タムラニ氏は、井戸に投入されたカメラには横向きに寝ている子供が映っていたため、子供の健康状態を判断するのは難しいとしながらも、「生きている状態で救出されることを願っています」と付け加えた。

また、赤新月社(Red Crescent)は、火曜日夕方から、ラヤン君に酸素を供給し続けていることを確認している。

2022年2月5日、モロッコ北部の丘陵地帯にある町シェフシャウエンで、ラヤン君が落ちた井戸。(ロイター)

救助隊員はブルドーザーとフロントエンドローダーを使ってラヤン君が閉じ込められている深さまで周囲の赤土を掘削し、その後はラヤン君に向かい手作業で水平に掘り進めた。

地滑りの危険もあり、土曜日には大きな岩に阻まれ、迂回しながらの作業となった。

闇夜の中、作業員たちは重いパイプを移動し、配置につけていた。一人の救助隊員はジャックハンマーのようなものを担いでいた。

標高約700メートルのリーフ地方の山間部にあるこの貧困地域には、凍てつくような寒さが襲っていた。

ここ数日、現場周辺には何千人もの人々が集まり、さらには団結して寝泊まりもしていた。彼らは救助隊を励ますために称賛を送り、宗教歌を歌ったり、「アッラーフ・アクバル(神は偉大なり)」と唱和したりして祈りを捧げた。

2022年2月5日、モロッコ北部の丘陵地帯にある町シェフシャウエンで、井戸の転落したラヤン君の救出活動を見守る人々。(ロイター)

井戸の幅はわずか45センチで、ラヤン君を引き上げるには狭すぎ、また、これ以上広げるのは危険だと判断されたため、重機を用いて丘に広い斜面を掘り、横から救出することになった。

この作業は、まるで工事現場のような風景を作り出していた。岩場と砂場が混在し、複雑な作業となるため、技術者や地形学者が参加した。

ラヤン君の父親は、金曜日の夜、国営放送「2M」に対し、「我が子が生きて井戸から出られるよう、希望を持ち続けています」と語った。「関係者の皆様、モロッコをはじめとする支援者の皆様に感謝しています」

父親は週の初めに、ラヤン君が転落したときは井戸の修理をしていたと語っていた。

2022年2月5日、モロッコ北部の丘陵地にある町シェフシャウエンで、井戸に転落したラヤン君の場所に救助隊がたどり着くための作業を行う現場の様子。(SNRTニュース/ロイター)

この救出劇はネット上で共感を呼び、アラビア語のハッシュタグ「#SaveRayan(ラヤン君を救え)」がトレンド入りした。

あるTwitterユーザーは、「世界中の何百人もの人々が、ラヤン君を救うための時間との戦いを、固唾を呑んで見守っている」と書いている。

また、何日も24時間体制で働いている救助隊員に敬意を表して、「彼らは本当のヒーローだ」と投稿した人もいた。

ラヤン君の親戚の男性がロイターTVに語ったところによると、家族は、くぐもった泣き声を聞いて初めてラヤン君がいないことに気づき、ライトとカメラをつけた携帯電話を井戸に下げ、彼の居場所を探したとのことだ。

「ラヤン君は『僕を引き上げて』と泣いていました」と、親戚男性は語った。

(ロイター、AFP共著)

 

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