
ワシントン:米当局がシリアのダーイシュの指導者だとする男がドローン攻撃により火曜に死亡したと、米国防総省が発表した。
マヘル・アル・マガルはシリア北部のジャンディレス付近でオートバイに乗っていた時に殺害され、主要な側近の1人も「重傷を負った」と、米国防総省の中央軍報道官デイブ・イーストバーン中佐がAFPに語った。
シリア人権監視団は、マガルがドローン攻撃で殺害されたことを確認した。
有志によるシリア民間防衛隊、通称「ホワイト・ヘルメット」は、アレッポ郊外でオートバイを狙った攻撃により1人が死亡し1人が負傷したと述べたが、犠牲者を特定していない。
マガルについての情報は乏しく、監視団はこの人物をダーイシュのレバント総督だとしている。
米中央軍はダーイシュ全体の指導者の「トップ5のうちの1人」だと称した。
「アル・マガルは組織内の高位指導者であっただけでなく、イラクとシリア以外におけるダーイシュのネットワーク構築を積極的に推進する責任者でもあった」と中央軍は声明で述べている。
米国と同盟を結ぶクルド人のシリア民主軍の報道官によると、標的となった2人はともにシリア北部で活動する武装組織Ahrar Al-Sharqiyaとつながりがあったという。
この組織はダーイシュや他の過激派組織の元指導者およびメンバーをまとめており、シリア北部のトルコが管理する地域でクルド人を標的とした攻撃を行ってきた。
Ahrar Al-Sharqiyaは2019年に著名なクルド人女性政治家ハービン・ハラフ氏の暗殺に関与し、国際的な非難を巻き起こした。
米財務省はこの組織を2021年7月に制裁ブラックリストに入れた。
「Ahrar Al-Sharqiyaは民間人、特にシリアのクルド人に対し、不法な殺人・拉致・拷問・私有財産の略奪などの多数の犯罪を行ってきた」と財務省は述べている。
同省によると、この組織はアレッポ郊外で大規模な監獄施設を管理しており、「2018年以降にそこで数百人が処刑されている」という。
この監獄は、イドリブ県やアレッポ県の実業家や野党政治家を標的とした身代金目的の誘拐作戦にも利用されていると、財務省は述べている。
直近2件のダーイシュ指導者に対する標的殺害は、シリア北部のトルコが管理する地域で行われた。この地域ではAhrar Al-Sharqiyaのような組織が活動しており、地形や家族に関する地元の知識 を有している。
今回の攻撃の5カ月前には、アトメにおける米軍の夜間急襲によってダーイシュ全体の指導者アブ・イブラヒム・アル・クラシが死亡した。
米当局は、クラシは拘束を免れるために爆弾を爆発させて死亡したと述べている。
「こういったダーイシュ指導者の排除が、このテロ組織がさらなる国際的攻撃を企図して実行する力をそぐ」と中央軍は述べた。
ロイター