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ジェッダ:ウクライナ侵攻をめぐる欧米からの制裁への報復としてロシアが欧州への天然ガス供給を停止することが懸念される中、UAEは月曜日、ディーゼル油をフランスに輸出することを申し出た。
この新たな動きは、UAEのシェイク・ムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン大統領とフランスのエマニュエル・マクロン大統領のパリでの会談を受けたものだ。
シェイク・ムハンマド大統領は、「あらゆる種類のエネルギーに関する協力は非常に重要であり、UAEは全ての人々、特にフランスのエネルギー安全保障を支援することを約束する」と述べた。
シェイク・ムハンマド大統領は、5月の就任後初の湾岸地域外公式訪問のために、月曜日にフランスに到着した。
エリゼ宮殿での公式式典に迎えられたムハンマド大統領は、マクロン大統領との会談において「未来のエネルギー、気候変動、先端技術」などの分野での共同行動や、地域の安全保障と安定を強化する取り組みについて話し合ったと、国営通信WAMが伝えている。
両国の高官らは、エネルギー部門での協力のためのより広範な戦略協定にも調印した。フランス政府によると、このパートナーシップは、水素・再生可能エネルギーや原子力などの部門に関して、フランスとUAEあるいはその他の国において共同投資プロジェクトを実施することを目的としている。
「現在の不透明なエネルギー情勢において、本協定は安定的かつ長期的な協力の枠組みを準備し、新たな産業契約への道を開くだろう」とフランス政府は述べている。
UAE大統領の外交顧問を務めるアンワル・ガルガッシュ氏は、同国は「信頼できるパートナーかつエネルギー供給国であり続けることを決意している」と述べた。「我が国は40年間極東に石油を輸出してきたが、この危機の時にそれを欧州に向けようとしている」
EU加盟27ヶ国は、エネルギー価格の高騰、インフレの亢進、生活費の危機の中、ロシア産天然ガス輸入停止に備えている。
ロシアは既に、欧州12ヶ国に対する天然ガス供給を停止あるいは削減している。ロシアとドイツを結ぶ長大なパイプライン「ノルドストリーム1」はメンテナンスのために先週停止しており、供給が再開されないことが懸念されている。
EU諸国の首脳らは、冬のエネルギー危機を回避するために地下貯蔵タンクを満たそうと急いでいる。イタリアのマリオ・ドラギ首相はアルジェリアを訪問中で、火曜日にはアルジェリアからイタリアへの天然ガス供給を増やす契約が結ばれる見込みだ。
マクロン大統領は先週、洋上風力発電への移行の加速と、欧州の国境を越えたエネルギー協力の強化を呼びかけた。「ロシアからの天然ガスが全部なくなるシナリオに備えるためだ」
両国の関係は、UAE建国時にトタルなどのフランスの石油企業がUAEでの石油探索に従事した時にまで遡る。この関係は、故シェイク・ザーイド・ビン・スルターン・アール・ナヒヤーン元大統領が1976年に初めてフランスを訪問したことで強化された。
フランスはUAEへの主要な外国投資国の一つだ。フランスからUAEへの直接投資額は2020年末には合計25億ユーロに達した。一方、フランスへの外国投資国ランキングではUAEは35位となっている。
ガルガッシュ氏が金曜日に語ったところでは、シェイク・ムハンマド大統領が最初の公式訪問先にフランスを選んだことは、「両国の歴史的関係だけでなく、フランスとのさらなる協力と成長の可能性も認識したうえでの意識的な決定だ」