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シリア人に対する暴力増加、国連機関が発表

国連世界食糧計画によると、レバノンは食料安全危機に直面しており、人口の約半数に食料が不足している状況である。(AFP)
国連世界食糧計画によると、レバノンは食料安全危機に直面しており、人口の約半数に食料が不足している状況である。(AFP)
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30 Jul 2022 04:07:25 GMT9
30 Jul 2022 04:07:25 GMT9
  • 国連当局によると、レバノンの各地で難民に対する外出禁止令を発令、パン屋にはレバノン市民を優先するよう要請している。

 ベイルート:金曜日、国連難民機関がAP通信に伝えたところによると、レバノンは食料品価格の高騰や食料不足で悩まされる中、この数週間のうちに、シリア難民に対する差別や暴力が急増している。

「レバノン各地のパン屋で、レバノン市民とシリア人との間に緊張が走る場面が見られる。」と国連難民高等弁務官事務所のスポークスマン、ポーラ・バラチナ氏がAP通信に語った。「中には銃撃やシリア難民を棒を使って攻撃するケースもあった。」

国連世界食糧計画によると、レバノンは食糧安全保障危機に直面しており、国民の約半数が食料が足りていない状況であるという。また、食料品の価格高騰や、この3年間での通貨暴落に苦しんでいる。

バラチナ氏によると、レバノンの各地で難民への外出禁止令が発令され、パン屋にはレバノン市民を優先するよう要請が出ているという。

AP通信が入手した通達によると、バールベックのパン屋はレバノン市民へのピタ(アラブの平らなパン)の支給を優先するよう指示されている。

今月初めに、あるシリア難民がAP通信に語ったところによると、パン屋はレバノン市民に優先してパンを配るために、彼は何時間も待たされたという。

ソーシャルメディアで公開されたある動画では、レバノンの首都近郊に位置するBourj Hammoudのパン屋付近で、男らが集団でシリア人の少年を棒で殴ったり、顔を蹴るなどしている姿が映し出され、背後では銃声が鳴り響いている。

レバノン当局は先週、パン屋での喧嘩や乱闘を防止するため、治安委員会の結成を発表した。

UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)は、レバノン当局に「法規範とレバノン国内のすべての人々の安全の確保」を求め、同時に、国際社会に対し、同国への援助を強化するよう要請した。

レバノン議会は、国内の物価を下げることを目的とし、世界銀行からの借入金、1億5000万ドルを小麦の輸入に充てることを可決した。

レバノン近郊には、内戦から逃れて来たシリア難民、約100万人が暮らしており、その大多数が極度の貧困状態にある。

2019年以来、レバノン全域に住む全ての人々の間で、貧困が深刻化している。 同国に暮らすレバノン人、シリア人、パレスチナ人が、毎週のように地中海を渡り、ヨーロッパに避難するために危険な航海をしている。

レバノン当局者の間では、シリア難民をシリア国内の紛争から安全と思われる地域へ強制帰国させる声が高まり、すでに崩壊しつつあるレバノンのインフラをシリア難民が圧迫していると非難している。

シリアの多くの地域では武力紛争が治まってはいるが、人権団体やUNHCRによると、人々が戻るにはいまだ安全ではないという。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、恣意的な拘束や拷問、多くの難民に対する人権侵害のケースを記録しているという。

レバノン政府はこのような懸念を無視し、シリア政府とダマスカスで、毎月最大15,000人の難民をシリアに帰国させる計画を調整している。

AP

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