エファレム・ コッセイフィ
国連:サウジアラビアの新しい国連常駐代表(国連大使)であるアブドルアジーズ・アル・ワシル氏は、イランが国際核査察団に対して透明性を欠き、国際核関連合意上の義務を遵守していないことは、核不拡散体制および国際平和・安全に対する脅威であると指摘した。
アル・ワシル氏は、イラン政府の核開発計画の平和的性質に疑問を投げかけた最近の国際原子力報告書を引き合いに出し、イランの計画に対するサウジアラビアとしての「深い懸念」を表明した。
さらに、「サウジアラビア王国は、イランの核兵器保有を阻止するためのあらゆる国際的努力を支持する」と述べた。
同氏は、第10回核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議で発言した。NPT締約国は5年ごとにニューヨークで集まり、50年の歴史を持つこの画期的な条約と、その規定の履行について見直している。核兵器の拡散を防止し、核兵器のない世界を実現するために既存の核兵器を廃棄し、原子力の平和利用を推進するのが目的。
前回の見直しは、イラン核合意(正式名称=包括的共同作業計画)が締結された2015年に行われた。今回の検討会議は2020年に行われる予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大により延期されていた。
会議の副議長に選ばれたアル・ワシル氏は、核兵器のない世界を目指す基礎的な条約として、サウジはNPTを非常に重視していると述べた。また、サウジアラビアのNPT支持は、国家間の平和的協力のみが繁栄と安定をもたらすという同国の信念に基づくものだとした。
1995年のNPT運用検討会議では、中東に関する決議が採択され、各締約国に中東大量破壊兵器不拡散地帯の設置に向けた実際的な措置をとるよう求めた。当時の締約国による合意は、NPTの無期限延長を保証するための鍵になると考えられていた。
アル・ワシル氏は、この中東に関する1995年の決議は、その目的が実現されるまで有効であるとした上で、中東を核兵器から解放するという連帯責任を強調し、そのような兵器の拡散には断固として反対すると繰り返し述べた。
アル・ワシル氏は、1995年のNPT決議に基づき、国連の庇護の下、目標達成に向けて拘束力のある条約の締結交渉を行うために開催された「中東非核兵器地帯設置会議」の第2回会合の議長役を務めたクウェートに対し、謝意を表明した。
また、2010年のNPT運用検討会議の最終成果文書にある中東行動計画で求められていた2012年の中東非核兵器地帯設置会議が招集されなかったことに対し、サウジとしての遺憾の意を改めて表明し、そうした会議の開催が今や、「JCPOA(包括的共同作業計画)を中心とする他の国際的枠組みが中東地域の核不拡散を脅かすイランの行為を抑止できていないことに照らして、国際社会によって実現されることが期待される解決策の一つ」となっていると強調した。
NPTの広範な発効に対するもう一つの障害は、イスラエルが条約への参加を拒み続けていることだ、とアル・ワシル氏は述べた。
「このことは看過できない。なぜなら、NPTの柱の一つは、非平和目的での原子力の使用に対する安全保障を非核保有国に提供することだからだ」と、同氏は指摘した。「イスラエルがNPT運用検討会議の決議を無視して、条約への参加と、同国の全核関連施設に対するIAEAの保障措置の適用を拒否している限り、中東での核に関する安全保障はなお欠落した状態が続くことになる」
さらに、アル・ワシル氏は、IAEAとその事務局長が、締約国の核計画の整合性を検証・監視する役割を強化するために、IAEAの機能向上に努めていることに謝意を表した。
同氏は、国家の平和的原子力開発プログラムの権利について言及し、民生目的の核開発において、サウジが最高水準の透明性と信頼性を重視する国家政策の確立を誓約することを再確認した。
加えて、すべての締約国がNPTの全条項を遵守し、すべての核施設をIAEAの原子力保障措置制度の下に置くことが肝要であると強調した。