
ナジャ・フーサリ
ベイルート:火曜日にヒズボラのハッサン・ナスラッラー書記長がレバノン高官に対して「責務を果たすための権限を十全に発揮できる政府を、新大統領の選出の有無に関わらず作る」よう求めたことから、今年これから予定されているレバノンの大統領選に関して、危ぶむ声が聞かれ始めた。
ナスラッラー氏が公に大統領選が行われない可能性に言及したのはこれが初めてで、危機に見舞われているレバノンで政治的空白が生じる危惧が高まった。2016年にミシェル・アウン大統領が選出されるまでの間も、似たような政治的空白が2年以上も続いた。
ナジーブ・ミカティ首相は6月23日に組閣を要請されたが、内閣の構成は昨年5月の議会選挙後にアウン氏に提示済みであった。
しかし、アウン氏はミカティ首相の組閣案に満足せず、その人選は自分への攻撃だと語った。以後両者の関係は緊張状態にあり、組閣作業を再開しようとするあらゆる試みは行き詰っている。
議会の議長であるナビーフ・ビッヒー氏は声明を出して、現段階で膠着状態を打開するためには「奇跡」が起きる必要があると述べた。
現在のところ、9月1日に議会は大統領選の母体となり、何回かの投票を経て新しい大統領が任命される予定になっている。
レバノン議会の議員であるアリ・ダーウィッシュ氏は、アラブニュースに次のように語った。「すべての党には、自党にとって好都合だと思える仕方で次の政局について意見を表明する権利があります。確かに、権限を十全に発揮できる政府は、暫定政府よりもましでしょう。政府が権限を十全に発揮できるのであれば、様々な決定も下せるので、これは正当な要求です」
「私たちは大統領選挙を行いたいと考えています。議員選挙や首相への組閣の要請と同じように、予定通りに行いたいのです。大統領の選出は、国に安定をもたらします」
月曜日、変革の力ブロックに属する16人の議員と、他の無所属あるいは対立する勢力の多数の議員たちが会合を持った。
会合の目的は、「立法議案に関して合意し、一般財源や金融改革案、国のために必要な法案の承認といった今後の課題をめぐる調整を行えるように議論する」ことだと述べられた。
もっとも、政治評論家たちはこの会合はアウン氏の後継候補の決定に向けた早めの動きだと考えている。
もしこれらの議員が、他の穏健な議員たちの支持を集められれば、議会でヒズボラとその支持者に対抗しうる勢力になるため、ヒズボラ寄りの候補者が大統領に選ばれることを防げる可能性がある。
ダーウィッシュ氏は、次のように話す。「先週の月曜日に議会で起きたことは、民主主義的なやり方や国益に適うもので、私たちはこれを支持します。レバノンが直面している経済危機において、今が正念場で、皆の連帯が必要なのですから、対立をはらんだ多様性は好ましくありません」
「レバノンの政党はいずれも、独自の政治的意図を持っています。大統領選が予定通りに行われて、民主主義的な過程が反映されるよう願っています」
ダーウィッシュ氏はさらに、「次の大統領を、複雑な数々の難題が待ち受けています。IMFとの折衝、経済再生案の承認、公共セクターの再建、領海問題など、どれも完全な統治システムなしには果たせないものです」とも述べた。
レバノン軍団党所属の議員、ファディ・カラム氏はアラブニュースに、以下のように語った。「演説を通じて、ナスラッラー氏は国を無能力で麻痺した状態にとどめておくよう主張しています。そうすれば、ヒズボラが自分たちの条件を皆に押し付けることができるからです」
カラム氏によれば、議員たちの会合は「建設的な出来事であり、ヒズボラに対抗して団結する試みです。力を合わせれば、国民を代表して多数派となり、ヒズボラの企みに立ち向かえるでしょう」
進歩社会党のハディ・アボウ・エル・ハッサン氏は次のように語った。「議会選挙によって、意思決定が一つの政党だけに委ねられたわけではありません。幅広い議題に関して、調停と合意が可能なのです」
ハッサン氏はまた、「国を愛する者として、レバノンの運命をイランのそれと結び付けることはできません。ですが、誰もがこの国は意思決定に関して独立していないことを知っています」と付け加えた。