
ナジア・フサーリ
ベイルート:レバノンの公共部門と法制度は、国内の経済危機により賃金が急落したことをめぐってストの動きが加速し、ますます不安定な状態に陥っている。
数百人の裁判官が18日、自分たちの給料が1ドルあたり1,507レバノン・ポンドの為替レートに基づいていることに抗議し、ストライキを継続した。
他の公務員も、月々の補助を得てはいるものの、裁判官たちと同じ理由で再びストライキを決行した。
一方、レバノンの大学教授らも無期限ストライキを続けており、学生たちは昨年の期末試験を受けるために教務の再開を待っている状態となっている。
レバノンは予備的措置として、3年前の経済危機以前に採用されていた1,507レバノン・ポンドの関税ドルレートを20,000ポンドに引き上げていた。
この措置は市場に混乱を招き、既に混沌となっていた状況に拍車をかけた。
関税ドルは、輸入品の関税価格を計算するための価格であり、レバノン・ポンドで支払われている。
18日、ナジブ・ミカティ暫定首相はユセフ・カリル財務相に書簡を送り、関税ドルレートを20,000ポンドにするよう要求した。
カリル氏は拡大閣僚懇談会で、今回の動きについて説明した。
この懇談会は、閣議決定を経ずに関税ドルレートを調整できる例外的な権限を有している。
アミン・サラム暫定経済相は同日の記者会見で、この予備的な決定は財務大臣と中央銀行総裁間の協議の対象になると述べた。
サラム氏は、新しい関税ドルレートが商品価格に与える影響は「取るに足らない」と述べ、現行のレートはもはや公正ではないと付け加えた。
同氏は「公務員の賃金・給料を調整したい」と述べた。
さらに同氏は、貿易業者が新しいレートで売るために商品を保管しておくことに対する懸念を表明した。
「我々は、以前に購入した商品のリストを業者から提供されるのを待っている」と同氏は述べた。
関税ドルの対象となる食料品については、レバノン産業を活性化するため、国内で入手可能な代替品で代用することができるとしている。
サラム氏によれば、高価なチーズや野菜の缶詰などが関税ドルの対象製品となる。
同氏は貿易業者に対し、旧製品の価格を新しい関税ドルレートに基づいて設定しないように警告した。
関税ドルの制度では、輸入品価格の一定割合の金額を国が受け取る仕組みとなっており、レバノンの国庫を潤す主要素の一つとなっている。
国会の財政・予算委員会の委員長であるイブラヒム・カナーン議員は、関税ドルが国民の財力や必要度を実際に考慮に入れて設定されるのか疑っていると述べた。
カナーン氏は、「関税ドルをどう管理するのか?また、関税の対象商品と非対象商品とは何か、誰が価格を監視するのか?」と問いを投げかけた。
レバノンでは現在、18日に1ドルあたり約33,000レバノン・ポンドに達した闇市場レートに加え、国や銀行によって4つの為替レートが採用されている。
経済アナリストは、経済的重圧が増す中で社会保障措置が軽視される一方、レバノンが物価上昇の新たな波に直面することになると予想してきた。
観測筋は、レバノン―シリア国境を越える密輸業者の動きを助長する可能性があると懸念している。
食品輸入企業連合の代表であるハニ・ボーサリ氏は、アラブニュースの取材に対し、次のように話した。「贅沢品はもうない。物事を論理的に、大局的な視点から考えるなら、レバノン国民の利益は貿易業者の利益よりも優先される」
ボーサリ氏は、「関税ドルが油や缶詰の野菜の価格に影響し、今賃上げを要求している人たちが、しばらくしてまた賃上げを要求してくるかもしれないと恐れている」と語った。
同氏は、「私たちは皆、熟慮を欠いた決定の代償を払い、その影響を受けることになる」と付言した。
「関税ドルレートを上げることの反動について、私たちは分かっているのだろうか?本当に国家が儲かることになるのか?彼らは現在の状況に基づいて計算したのだろうが、レバノン国民の購買力が低下した結果、輸入額が半分になったらどうするのか」
国会議員のジアド・ハワト氏は、不完全な経済計画に基づいて関税率を上げても、望ましい結果は得られないだろうと述べた。
同氏は、「国民の預貯金を奪う」のではなく、為替レートの整理・統合を行うよう訴えた。