
アルジェ/パリ:25日から3日間のアルジェリア訪問で、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は両国間の外交問題を解決し、アルジェリアの若い世代と関係を築くことを期待しているが、同国政府上層部を味方につけるには困難も予想されている。
アルジェリアのアブデルマジド・テブン大統領は、フランス側に対し、(今週中に発表まで漕ぎつけるとは思われないが)確実な投資の約束と、さらに昨年のマクロン大統領によるアルジェリアの歴史とその支配層についての発言に対する償いを求めている。
フランスにとって、かつての植民地・アルジェリアとの関係改善は、ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー不足から北アフリカのガス需要が高まり、また地中海を渡る移民が増加していることから、より重要性を増している。
一方、アルジェリアは、イタリアやトルコに対してすでに行ったように、エネルギー価格の高騰を利用して大型契約や投資プロジェクトを獲得し、将来の不況期を乗り切るための収益を確保したいと考えている。
「アルジェリアは強力な経済関係と真剣なパートナーシップを望んでいます」と、あるアルジェリア政府関係者は匿名を条件に語っている。
マクロン大統領ら今回のアルジェリア訪問のフランス代表団には、エネルギー事業大手のエンジー(Engie)やハイテク企業のフリー(Free)のトップも参加しているが、大きな事業契約が結ばれる予定はないと同国の大統領府は述べている。
マクロン大統領が前回、2017年にアルジェリアを訪問した時は、自国の指導者の老齢とは対照的な彼の若さに好感を持ったアルジェリアの若者たちに、暖かく迎られた。彼らは、マクロン大統領がフランスの植民地支配を 「人道に対する罪 」と表現したことに喜びもした。
「アルジェリアでの戦争について尋ねられた時の彼(マクロン大統領)の言葉を、私たちは忘れないでしょう」と、24日にアルジェの街角でヌールディン・アユーブさんは語った。
マクロン大統領は今週の訪問でこうした若い層からの好意をさらに強めようとしているようで、フランスからのアルジェリア独立の「殉教者」たちに敬意を表し、ブレイクダンスのショーや北アフリカのポップミュージック「ライ」で有名な店舗を訪れる予定を組み込んでいる。
「大統領は今回の訪問で未来に焦点を当てることを選んだのです」とマクロン大統領の顧問は述べている。
しかし、アルジェリアにおけるフランスの植民地支配の負の遺産から脱却したいというマクロン大統領の長年の願望と、彼が持つアルジェリア当局がそうした負の遺産に固執しているという印象と不満は、昨年大きな問題を引き起こし、今回の訪問にも影を落とすかもしれない。
選挙運動中にマクロン大統領は、アルジェリアの国民性はフランスの支配下で鍛えられたものであり、同国の指導者はフランスへの憎しみに基づいて独立闘争の歴史を書き換えてしまったと示唆したのだ。
その結果、アルジェリアはフランス大使を召還して協議し、領空をフランス機に対して閉鎖する事態となった。このため、サヘル地域(サハラ砂漠南縁部)でのフランスの軍事作戦の輸送ルートも複雑化した。
アルジェの政治的空気は、テブン大統領とその軍事的同盟者がまだ苛立っていることを示唆している。その論調がしばしば政権の公式見解を反映するアルジェリアの国営メディアも、マクロン大統領の訪問に向けてフランスに批判的な記事を掲載している。
アルジェリアの国営通信は今週、アルジェリアに敵対し、また地域の主要なライバル国であるモロッコに支援されていると見られるグループをフランスが受け入れるのを止めるよう求める、アルジェリアの諸団体のマクロン大統領に対する要求を引用して報道した。
一方、保守派の政治家たちは、マクロン大統領がアルジェの司教とフランスの首席ラビを連れて、植民地時代の非イスラム教徒のための墓地を訪問することを決定したことに苛立ちを表明している。
ロイター