
モハメド・ナジーブ
ラマッラー:8月18日にイスラエル軍の決定で閉鎖されたパレスチナの7つの民間人権団体の代表らは、施設を再開して通常通り活動を行うことを決めた。
アラブニュースは、パレスチナの最も著名な人権団体であるアル・ハークの責任者シャワン・ジャバリン氏に話を聞いた。同団体は、テロに資金提供したとしてイスラエル軍によって閉鎖された。
同氏はアラブニュースに対しこう語る。「我々は事務所で活動を続けている。挑戦したり英雄ぶったりするためではなく、我々が人権を擁護していると信じているからだ。我々に不利な法律を意のままに作る、侵略的で傲慢な占領軍の決定に応答するつもりはない」
アル・ハークには45人の職員がいる。
ジャバリン氏によると、イスラエルは自分たちの利益や治安対策に沿うように法律を作っているという。
同氏はパレスチナ自治政府に対し、その威信を大きく傷つけたイスラエル軍の決定に対して政治的措置を取るように求めた。
同氏は、閉鎖された団体に対して世界から示された積極的な連帯の意志を称賛した。しかし、そのような支持もイスラエルの決定を覆すのには不十分だという。
イスラエルの武装部隊によって7つの民間人権団体が閉鎖された数日後、イスラエル総保安庁は取り調べのためにジャバリン氏をラマッラー近郊にあるイスラエル軍基地の事務所に召喚した。
同氏はこの要請を拒否した。その後、アル・ハークの活動を再開すれば個人的に高い代償を払うことになるかもしれないと総保安庁事務所から脅されたという。
「我々の団体は活動を続けている。人権分野で活動することはピクニックではなく大きな挑戦であることを認識しているからだ」と同氏は語る。「これからも国際刑事裁判所と協力してイスラエルの戦争犯罪を記録していく」
「EUに対し、イスラエルへの経済的・政治的・外交的制裁を含む真剣な対処を求める」
同氏は、イスラエルに対する現実的な措置を求め、声明や非難の時期は終わったと言い添えた。
人権団体閉鎖の決定が下されたのは、パレスチナのマフムード・アッバース大統領のベルリンでの発言の後だったという。
同大統領は、1947年から現在までにイスラエルがパレスチナ人に対して行ってきた虐殺に言及し、それらをホロコーストになぞらえたのだ。この発言によって、イスラエルはかつてないほどの怒りを同大統領に向けた。
同大統領の発言の後という、EUがこれらのパレスチナ人権団体を擁護するのに気が引けるようなタイミングに今回の動きに出ることをイスラエルは考えたのだろうとジャバリン氏は言う。
これらの人権団体の活動が、ガザ地区のパレスチナ人の子供がイスラエル軍に殺害されたことに焦点を当てたことは、イスラエルの選挙も近づく中、イスラエルの軍人や政治家の大きな怒りを買ったという。
現在のイスラエル政府は、軍の決定により7つの民間人権団体を閉鎖することで、残忍さと力をもってパレスチナ人を攻撃する意志を示すことに関心があると、同氏は考えている。
ジャバリン氏の見方では、今回の決定は7月12日に声明に署名したEU9ヶ国に対するメッセージだという。
EUはこの声明の中で、パレスチナの民間社会団体を支持し今後も支援を続けていくと述べ、これらの団体がテロを支援しているというイスラエルの主張を受け入れないことを表明した。
イスラエル占領軍当局は2021年10月、パレスチナの6つの民間社会団体がテロ組織であると主張した。欧州9ヶ国は7月12日、これらの団体がテロへの資金提供に関与しているという十分な証拠をイスラエルが提供していないとして、これらの団体との「協力」を継続したい意向を表明した。
「非合法組織」として禁止された5つのパレスチナNGOがその決定に意義を申し立てたのに対し、イスラエル国防軍の司令官は8月17日、その申し立てを拒絶した。
イスラエル国防相は同日、これらの団体のうち3団体のテロ組織指定を恒久化したと発表した。テロ組織指定は、2021年10月にイスラエルのテロ対策法のもとでなされたものだった。
残りの3団体は指定を不服としている。
イスラエル軍は8月18日、2021年11月にテロ組織に指定されたNGO6団体全てを含む7団体の事務所の閉鎖を命じ、ラマッラーにあるそれらの事務所を捜索した。
備品が差し押さえられ(一部は破壊され)、機密資料が押収された。
イスラエル当局はまた、これらの団体のうち3団体の責任者を取り調べのために召喚した。
国連のトル・ウェネスランド中東和平プロセス特別調整官は、8月25日に国連安全保障理事会に対して行った中東情勢に関するブリーフィングにおいて、「イスラエルおよびパレスチナ占領地区で市民社会のための空間が縮小しているという事務総長の懸念を私も繰り返したい」と述べた。
閉鎖された団体は、アル・ハーク人権協会、アダミア囚人支援・人権協会、ビザン研究開発センター、国際児童防衛協会パレスチナ、農業労働委員会連合会、健康労働委員会、パレスチナ女性委員会連合である。
これら7つのパレスチナの民間社会団体をイスラエルが組織的に標的にし始めたのは2021年10月だった。
イスラエル軍は、「パレスチナ解放人民戦線に資金提供した」という口実で、これらの団体を「テロ組織」に分類した。彼らの資金源を奪うことで口を封じ、パレスチナ人に対する人権侵害を暴露させないようにすることが目的だった。
一方、パレスチナの上級人権専門家の見方では、これらの人権団体が国際刑事裁判所への申し立てをしようとしており、またパレスチナの人権問題についての世界の意見を変える力を持っているため、イスラエルはその活動を制限したいのだという。
パレスチナ人が自分たちの意見を外の世界に伝えることで世界の言論を親イスラエル的な政治的言論からパレスチナ人の権利との連帯を示す人権擁護的な言論へと変える力を持っていることにイスラエルが気づいたのだと、専門家は言い添えた。
その結果、パレスチナの人権運動がその方面で力を持って成功しているとイスラエルは思い、何らかの制限が必要だと考えたのだ。
パレスチナの人権専門家によると、イスラエルは、これらの団体がテロに資金提供しており、それら自体もテロ組織であると告発することで、人権に関する言論を止めようとしたのだという。
イスラエルは、これらの団体について連絡を取ってきた欧州諸国に対し、それらをテロ組織だと見なしているため決定を取り消すつもりはないと伝えた。また同時に、6つの団体に対して行動を起こしたり措置を強化したりするつもりはないとも述べたのに、実際にはそうしたのだと、人権専門家は指摘する。