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欧米の旅行ブロガーはシリア内戦の現実を無害化して伝えている

ユーチューバーはアサド体制のプロパガンダに騙され、シリアにおける破壊を誰が行ったのかについて疑問を投げかけている。(AFP)
ユーチューバーはアサド体制のプロパガンダに騙され、シリアにおける破壊を誰が行ったのかについて疑問を投げかけている。(AFP)
ユーチューバーはアサド体制のプロパガンダに騙され、シリアにおける破壊を誰が行ったのかについて疑問を投げかけている。(AFP)
ユーチューバーはアサド体制のプロパガンダに騙され、シリアにおける破壊を誰が行ったのかについて疑問を投げかけている。(AFP)
ユーチューバーはアサド体制のプロパガンダに騙され、シリアにおける破壊を誰が行ったのかについて疑問を投げかけている。(AFP)
ユーチューバーはアサド体制のプロパガンダに騙され、シリアにおける破壊を誰が行ったのかについて疑問を投げかけている。(AFP)
ユーチューバーはアサド体制のプロパガンダに騙され、シリアにおける破壊を誰が行ったのかについて疑問を投げかけている。(AFP)
ユーチューバーはアサド体制のプロパガンダに騙され、シリアにおける破壊を誰が行ったのかについて疑問を投げかけている。(AFP)
ユーチューバーはアサド体制のプロパガンダに騙され、シリアにおける破壊を誰が行ったのかについて疑問を投げかけている。(AFP)
ユーチューバーはアサド体制のプロパガンダに騙され、シリアにおける破壊を誰が行ったのかについて疑問を投げかけている。(AFP)
ユーチューバーはアサド体制のプロパガンダに騙され、シリアにおける破壊を誰が行ったのかについて疑問を投げかけている。(AFP)
ユーチューバーはアサド体制のプロパガンダに騙され、シリアにおける破壊を誰が行ったのかについて疑問を投げかけている。(AFP)
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28 Aug 2022 09:08:42 GMT9
28 Aug 2022 09:08:42 GMT9
  • ユーチューバーはしばしば、紛争で荒廃したこの国が安全で正常だと力説し、自分の感覚では「完全に安全」だと強調している
  • 人権監視者は、そのようなコンテンツが、難民がシリアに安全に帰国できるという誤った印象を与えることに警鐘を鳴らす

リーン・フアド

ロンドン:経済破綻、インフラ荒廃、極端な通貨安を抱えるシリアのバッシャール・アサド大統領の体制は、近隣諸国との関係修復、およびアラブ連盟への再加盟の早期実現という使命に必死で取り組んでいる。

政治的な意味での国際社会への復帰は依然として遠いが、アサド政権はアラブ諸国との関係再建という点では、ダマスカスの一部の大使館の再開や、一部のアラブ諸国へのシリア大使の復帰など、ある程度の前進を遂げている。

シリアの大部分で激しい戦闘が減るにつれ(残存する反体制派は最南部と北西部の孤立した抵抗拠点に限定されている)、人道に対する罪という知れ渡ったイメージを糊塗するために、体制はますます観光に目を向けている。

ここ数ヶ月、かつてない数の欧米の旅行ブロガーやユーチューバーがこぞってシリアの体制掌握地域を訪れている。のけ者独裁国家の内情をありのままに政治的な意図から自由に示していると彼らが考えるイメージや証言を求めてのことだ。

動画(250万回以上の視聴回数を稼いだものもある)を含むこの種のコンテンツは、「メディアが伝えないシリア」という観点で提示されていることが多い。イギリス人Vロガーのベンジャミン・リッチ(ユーチューブのユーザー名「ボールド・アンド・バンクラプト」)氏が最近アップロードした動画もその一つだ。

破壊された建物を撮影するベンジャミン・リッチ(「ボールド・アンド・バンクラプト」)氏。ホムス。(提供写真)

しかし、人権監視者や人権専門家は、このような「戦地観光」ブームが現実を無害化して伝えることで、シリアは今や安全なので国外難民は帰国して日常生活を再開できると喧伝する体制の偽情報キャンペーンに加担することを懸念する。

「運用分析研究センター」のシリアアナリスト、サイモン・ベイリー氏はアラブニュースに対し、「旅行ブロガーは、もしかしたらシリア政府にとって十数年来で最高の広告塔かもしれない」と語る。

「彼らは政府が言いそうな話だけを語り、国による犯罪を覆い隠し、無視されるのが一番だと政府が考える現実を無視してくれる。説明責任は望めない。体制の行動の結果として何百万人ものシリア人が愛する者や家や生活を失ったという事実が、否定され管理され軽んじられるだけだ」

いくつかの動画では、ブロガーはシリアが安全で正常だと力説したいようだ。例えば、ユーチューブユーザー「バックパッカー・ベン」氏は一つの動画の中で、自分の感覚では「完全に安全」だと強調している。「歩き回って、路上でビールを飲んで、人々に話しかけた」と彼は言っている。

破壊された反体制派の拠点を撮影する「バックパッカー・ベン」氏。ダマスカス郊外のマアルーラ。(提供写真)

しかし、ワシントンD.C.を拠点とする人権団体「シリア正義と説明責任センター」は、旅行ブロガーがアップロードするコンテンツが安定と安全という誤った印象を与えることに警鐘を鳴らす。

「シリアは明らかに、難民が安全に帰還できる状態ではない」と、同センターの最高責任者であるモハメド・アル・アブダラ氏はアラブニュースに語る。「しかし、これらの動画を見た人はシリアが安全で安定しており、ある意味では栄えていると思ってしまう」

これらの動画は、シリアの紛争は概ね終わっており、生活が正常に戻りつつあるとほのめかしてもいるようだ。

「帰国したシリア人が経験するのはそのようなものではなく、しばしばシリア政府から強く疑いの目を向けられ迫害を受けることになる」とアル・アブダラ氏は言う。

「欧州庇護支援事務所」などの人権監視者によると、シリアの体制は帰還者の逮捕、拘留、尋問、拷問、殺害を続けている。彼らの多くが帰国前に保安検査と身元確認を済ませているにもかかわらずだ。

人権監視団体「シリアキャンペーン」の最高責任者であるライラ・キキ氏はアラブニュースに対し、「何百万人ものシリア人にとって、シリアへの帰還は選択肢にない」と語る。

「複数の人権報告によると、帰国した者は逮捕、強制失踪、拷問ばかりか殺害までされている」

「バックパッカー・ベン」氏はアラブニュースに対し、いかなる政治的な意図も持っていないし、帰還した難民が直面している状況についても知らないと語った。動画の公開後、紛争で荒廃した故郷を訪れる観光客を観て「困惑した」というメッセージがシリア避難民たちから寄せられたという。

旅行ブロガーの多くは、政治的な意図はないしシリアの紛争についてはよく知らないと言っている。しかし中には、旅行中に遭遇して撮影した破壊の光景について説明を試みるブロガーもいる。批判者の多くは、体制公認の旅行ガイドブックで知った話題を繰り返したり広げたりしているだけではないかと疑っている。

例えば、リッチ(「ボールド・アンド・バンクラプト」)氏がアップロードした動画には、アレッポ、ホムス、マアルーラの爆撃された建物が映っている。彼は、この被害は「過激派」によるものだと説明しており、アサド体制については言及していない。シリアの都市インフラの破壊の大半は同体制の戦術によるものだと広く非難されているにもかかわらずだ。

放棄された地区を訪れたトーマス・ブラッグ(「イエス・セオリー」)氏。ホムス。(提供写真)

ダマスカスを案内される旅行ブロガーの多くは、有名なギリシャ正教修道院を訪れるために近くの町サイドナヤにも足を延ばす。これらのブロガーがしばしば覆い隠すのは、サイドナヤにはシリアで最も悪名高い刑務所の一つも存在しているという事実だ。この刑務所では、何千人もの反体制派が拷問の末に殺された。

ブロガーの訪問を手配するのは大抵はシリアの旅行代理店だ。これらの代理店は独立系だと称しているが、専門家によると、この国の他の全ての会社と同様に、営業するにはアサド体制の承認を得る必要があるのだ。

湖畔に佇む古代の要塞、ジャアバル城。かつてはジハード主義者が攻撃拠点として使用したが、徐々に国内有数の文化的観光地としての地位を取り戻しつつある。(AFP)

「中央政府からの相当な干渉(多くの場合は完全な禁止)を受けることなくボランティア慈善事業を設立することが事実上不可能なシリアにおいては、旅行代理店が営業に必要なライセンス、許可、アクセスを確保するうえで何らかの形で国からの介入を受けていないとは考えにくい」とベイリー氏は語る。

同氏によると、そのような旅行代理店は国の安全保障当局から入念な調査を受けている。そして彼らは、担当したツアーが体制に不利な評判をもたらした場合に自社がどうなるかを十分に分かっている可能性が高い。

「バックパッカー・ベン」氏は、シリア訪問中は「フィクサー」がずっと同行して国中を案内してくれたと語る。そのため「少し制限されている」感じがしたと彼は認めた。このようなガイドはツアー参加者と同じホテルに泊まるようだ。

ジャアバル城跡を訪れた家族連れ。この湖畔に佇む古代の要塞には、紛争で荒廃したシリア全土から観光客が訪れる。2022年6月3日、シリアのラッカ県。(AFP)

シリアの旅行代理店「ゴールデン・チーム」のマーケティング責任者ヘシャム・ナスリ氏はアラブニュースに対し、大抵の場合ツアー事業者は外国人顧客のために、ビザの取得から旅行プラン作成まで、プロセス全体の面倒を見ると話す。

彼の代理店は、シリアを訪れたい顧客に代わって、必要とされる全ての保安検査を政府当局に申請し、観光客とガイドが国内を旅行するための許可証を取得するという。

保安検査プロセスには何の条件も付帯していないと彼は言うが、シリアの出入国管理局は特定の国籍保有者(特に米国国民)のビザ申請を却下することで知られている。

騙されやすい旅行ブロガーたちが言及していないのは、紛争で荒廃したシリアの大部分で訪問者を待ち受けている危険だ。(AFPファイル)

知識が乏しく騙されやすい旅行ブロガーのためのそのような演出された訪問を手助けすることで、体制はプロパガンダをネット空間に広め、従来のジャーナリズムのプロフェッショナルな厳しい追求を回避することができるのだと、人権監視者は指摘する。

「今後は、オンラインで存在感のある人々には、このような政治的にセンシティブな場所における自らの行動がもたらす結果に気を配ってもらいたい」とベイリー氏は語る。

「紛争について詳しく知っていようがいまいが、内戦がまだ終わっていないこと、そしてその紛争の傷が何百万人もの人々にとってまだ大きく開いていることは、火を見るより明らかだ」

 

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