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ウクライナの反撃を受けロシア軍が撤退

ロシア軍を除こうとするウクライナの反抗により、キーウ軍は、東部ハリコフ地方で少なくとも30カ所の町や村を奪還した。(AFP)
ロシア軍を除こうとするウクライナの反抗により、キーウ軍は、東部ハリコフ地方で少なくとも30カ所の町や村を奪還した。(AFP)
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12 Sep 2022 02:09:08 GMT9
12 Sep 2022 02:09:08 GMT9
  • キーウがハリコフ地方のロシア占領地域を奪還するためにとった行動により、モスクワは軍隊の撤退を余儀なくされた
  • 9月11日日曜日の夜、ウクライナのメディアが広範な停電を報道した

キーウ: 9月11日日曜、ロシア占領下の南部に位置する原子力発電所が周辺での戦闘が激化を受けて放射能災害を防ぐべく完全に停止する中、ウクライナ軍は北東部での迅速な反撃に成功した。

しかし、当局者によれば、ロシアは日曜の夜にウクライナのインフラ設備に反撃し、ハリコフやドネツク地方を含む広範囲に停電を引き起こした。

ハリコフ地方のロシア占領地域の奪還にむけたキーウの行動により、モスクワ軍は包囲されるのを防ぐため撤退せざるを得ず、戦争が200日目を迎えた日曜日、相当数の武器や弾薬を残して急遽撤退した。

ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は9月10日土曜日の夜、ビデオ演説でロシア軍を嘲り、「最近のロシア軍は、背中を見せるという彼らにできる精一杯のデモンストレーションを行っている」と述べた。

大統領は、反撃により奪還したもう一つの町、チカロフスケに国旗を掲揚するウクライナ兵の動画を投稿した。

ウクライナ軍第95旅団のユーリ・コチェヴェンコ氏は、イジュム市の中心部と思われる場所からの動画をツイートした。同市は、ロシア北方戦線の司令部や補給拠点として重要視されていた。

コチェヴェンコ氏は動画で「周辺はすべて破壊されていますが、すべて復旧させます。イジュムは、過去も現在も、そしてこれからもウクライナです」と語り、誰もいない中央広場と破壊された建物を映し出した。

反攻作戦に注目が集まる中、ウクライナの原子力事業者によれば、欧州最大のザポリージャ原子力発電所がウクライナの電力網に再接続され、戦闘下に稼働しているこの最後の原子炉を安全のために停止できるようになったという。

世界最大級の原子力発電所10基のうち1つであるこの発電所は、戦争初期からロシア軍によって占領されていた。ウクライナとロシアは、原発周辺での砲撃について非難の応酬を繰り広げている。

同原発は、9月5日の砲撃による火災で送電線から外れて以来、信頼性の低い、いわゆる「孤島モード」で重要な安全装置に電力を供給しており、原発事故の虞に対する脆弱性を増していた。

専門家2人を現地に派遣していた国連の核監視機関である国際原子力機関(IAEA)は外部電源の復旧を歓迎した。しかし、IAEAのラファエル・グロッシ事務局長は、「砲撃が続く限り危険が続く原発の状況を深刻に懸念している」と述べた。

彼はまた、原発周辺への安全地帯の設置に向けて協議を開始したと述べた。

日曜日、フランスのマクロン大統領はロシア大統領ウラジーミル・プーチン大統領との電話会談で、IAEAの勧告に従ってロシア軍と兵器を原発から撤退させるよう要請した。

戦闘中、ウクライナ軍最高司令官ヴァレリー・ザルジニー将軍は、9月初旬の反攻開始以来、ウクライナ軍が約3000平方キロメートル(1160平方マイル)を奪還したと発表した。

彼は、ウクライナ軍はロシア国境からわずか50キロ(約30マイル)しか離れていないという。

ある大隊は、国境から1マイル強、ハリコフから北に約19キロ(12マイル)のホプティフカ市庁舎前にいるウクライナ軍の動画を公開した。

ハリコフ州知事オレグ・シネグボウ氏は、ウクライナ軍が同地域において40カ所以上の集落の支配権を奪還したと明らかにした。

日曜の夜、ウクライナのメディアにより広範な停電が報道された。ゼレンスキー大統領によれば、ハリコフおよびドネツク地域は完全に停電し、ドニプロペトロフスク、ザポリジヤ、スミイは部分的に停電したということである。

大統領は、「ロシアのテロリストはテロリストのまま、重要なインフラを攻撃している。軍事施設はなく、人々から光と熱を奪うことだけが目的だ」とツイートしている。

ウクライナ当局によると、ロシア軍はウクライナで2番目に巨大な熱電供給発電所であるハリコフTEC-5を攻撃したという。
ハリコフ市のイゴール・テレホフ市長は、この停電を「前線、特にハリコフ地方での我が軍の成功に対する侵略者ロシアの復讐」と呼んだ。

その後、夕方には一部の電力が復旧した。いずれの停電も、ザポリージャ原発の原子炉停止とは関係がないとみられていた。

ウクライナ軍参謀本部によると、ウクライナ軍が反攻を開始したため、ロシア軍はケルソン地域の一部集落から撤退したという。どの集落であるかは明らかにされなかった。

ロシアが支援するケルソン市の行政官キリル・ストレムソフ氏はソーシャルメディアにおいて、同市は安全であると述べ、平穏を保つよう人々に求めた。

ウクライナ軍にとって、ロシア軍の撤退は、開戦間際のロシア軍によるキエフ占領の試みを阻止して以来の、戦場における最大の成功となった。南部での反抗を予想して軍隊の多くをハリコフからから南部へ移動させていたモスクワにとって、ハリコフ作戦は驚きであった。

面目を保つために、ロシア国防省は土曜日に、イジュムやその他の地域からの撤退は、南に隣接するドネツク州のモスクワ軍を強化するためであったと発表した。この説明は、ロシアが今年初頭にキエフからの撤退を正当化した際のそれと似ている。

2014年にドンバスで分離紛争が勃発した際にロシアが支援する軍を率いたイゴール・ストレルコフ氏は、ロシア国防省の撤退の説明を嘲り、国境付近のロシア自身の領土を引き渡すことは「ウクライナ人の入植への貢献」であると示唆した。

ロシアの軍事ブロガーや国粋主義者の論客はこの撤退に怒って大敗北であると嘆き、戦力を強化するようクレムリンに迫った。多くの人が、ウクライナでの大失敗にもかかわらず、10日土曜日にモスクワの祝日を記念して花火などの豪華な祭典を続けたロシア当局を批判している。

プーチン大統領は土曜、モスクワの公園にある巨大な観覧車のオープニングに出席し、新しい交通網とスポーツアリーナの落成式に参加した。この行動は、クレムリンが「特別軍事作戦」と呼んでいる戦争が、ロシア人の日常生活に影響を与えることなく計画通りに進んでいるという説明を際立たせるものであった。

親クレムリンの政治アナリストであるセルゲイ・マルコフ氏は、モスクワでの祭典開催は重大な誤りであったと批判した。

マルコフ氏は、メッセージアプリの自らのチャンネルにおいて、「ロシアの軍事的敗北という悲劇的な日にモスクワで花火を行ったことは、極めて深刻な政治的結果をもたらすでしょう」と書き込んだ。「政権は、国民が嘆いているときに祝祭を開いてはいけません」

ロシア指導部に亀裂が生じる兆候として、クレムリンが支援するチェチェンの首長であるラムザン・カディロフ氏は、この撤退はロシア上層部の不手際から生じたと述べた。

「彼らは間違いを犯したのですから、必要な結論を出すだろうと思います」とカディロフ氏は述べた。「もし彼らが一両日中に特別軍事作戦の戦略を変更しないなら、私は国防省の指導部と国の指導部に連絡を取り、現場の本当の状況を説明せざるを得ないでしょう」

米国のアントニー・ブリンケン国務長官とNATOの首脳は、9日金曜日、戦争はおそらく数ヶ月間続くと警告し、困難な冬になるかもしれないがウクライナを支援し続けるようにと西側諸国に求めた。

元駐ポーランド米国大使で現在はワシントンの大西洋協議会の特別研究員であるダニエル・フリード氏は、バイデン政権が戦争への財政支援継続を議会や西側同盟国に求める上で、戦場におけるウクライナの勝利は助けになるだろうと述べた。

「バイデン政権の政策は、それを正当化できる方向に進んでいます」とフリード氏は言う。「ウクライナへの投資を増やし、ウクライナの勝利に対する自信を深め、ロシアを押しのける意欲を高める。これは、良い賭けのように見えます。私は、ウクライナが勝つとも、欧米が成功するとも言うつもりはありません。それはまだ分かりません。しかし、戦略的成功の可能性への投資は、ますます妥当なものになってきています」

バージニア州の民主党議員で上院外交委員会のメンバーであるティム・ケイン上院議員は、ウクライナの前進を非常に心強いとし、こう付け加えた。「我々と同盟国は、ウクライナに寄り添い続けなければなりません。プーチン大統領は、唯一の出口は、この失敗した戦争を終わらせることであるとを認めなければなりません」

AP

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