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EUがマフサ・アミニさん「殺害」を理由にイランへの制裁を推進

自由のため、蒙昧主義に抗うために自国で戦うイランの人々を支援して、役所の正面に掲げられた横断幕の除幕の際、プラカードを持ってデモを行う女性達。2022年10月3日、フランスのモンペリエにて。(AFP)
自由のため、蒙昧主義に抗うために自国で戦うイランの人々を支援して、役所の正面に掲げられた横断幕の除幕の際、プラカードを持ってデモを行う女性達。2022年10月3日、フランスのモンペリエにて。(AFP)
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05 Oct 2022 09:10:28 GMT9
05 Oct 2022 09:10:28 GMT9
  • 日曜夜、機動隊がテヘランのシャリフ工科大学の学生に対し催涙ガスやカラーボール銃を使ったことに、複数の人権団体が懸念を表明
  • 動画には、拘束された人々が頭に布を被せられて連行される様子が映っていた

パリ:欧州連合(EU)は火曜に、マフサ・アミニさんの「殺害」をきっかけに巻き起こった抗議運動に対する死者を出す弾圧を理由に、イランへ新たな厳しい制裁を科すことを検討していると発表した。これは米国の同様の動きに続くものだ。

イラン国籍のクルド人であるアミニさん(22)は、女性にヒジャブと呼ばれるヘッドスカーフと控えめな衣服の着用を義務付ける規則に違反したとして、悪名高い道徳警察に逮捕された数日後の、9月16日に死亡が確認された。

アミニさんの死に対する怒りから、約3年間で最大の抗議運動が巻き起こってイランを揺るがしており、弾圧によって数十人の抗議者が死亡し、数百人が逮捕された。

EUの外交政策責任者ジョセップ・ボレル氏は、EUは「マフサ・アミニさんの殺害とイランの治安部隊が行ってきた抗議運動への対応に関して、制限措置を含め、とり得るあらゆる選択肢」を検討していると述べた。

これに先立ち、ジョー・バイデン大統領が、米国はイランの「平和的な抗議集団に対する暴力的な加害者」に今週「さらなる代償」を科すと述べている。

日曜夜、イランの機動隊がテヘランのシャリフ工科大学の学生数百人に対し催涙ガスやカラーボール銃を使ったことに、複数の人権団体が深い懸念を表明しており、動画には、拘束された人々が頭に布を被せられて連行される様子が映っている。

抗議運動は学校にも広まっており、クルド系人権団体Hengawが公開した動画には、アミニさんの出身地であるコルデスターン州の2つの都市で女子生徒らが抗議を行う様子が映っている。

AFPが独自に検証したものではないが、若い女性の抗議集団が「女性、命、自由」と繰り返しながらマリーヴァーンの交通量の多い幹線道路の中央分離帯を行進している動画もある。

バイデン氏は、イランに対しどんな措置を検討しているかを明らかにしなかった。イランは既に、主に議論の的となっている核問題に関連して、米国の厳しい経済制裁を受けている。

イランは火曜に、米国のバイデン大統領が新たな制裁措置を導入するために人権を持ち出すのは「偽善」だと非難した。

「ジョー・バイデン氏は、人道的なふるまいをする前に、自国の人権の歴史を少し考えたほうが良かった。もっとも、偽善をよく考える必要はないのだが」と外務省の報道官ナーセル・カナニ氏がインスタグラムへの投稿で述べた、とイランのメディアは伝えている。

イランのアヤトラ・アリ・ハメネイ最高指導者は月曜に、大敵である米国とイスラエルが抗議運動を扇動したと非難した。

暴動は「アメリカと占領を続ける偽りのシオニスト政権、その金で雇われた工作員が、外国にいる裏切り者のイラン人の助けを借りて仕組んだものだ」とハメネイ氏は述べた。

ここ数か月で打開に近づいたものの現在再び行き詰まっている、2015年のイランと各大国の核合意を復活させる外交的取り組みに、この騒乱が影を落としている。

しかし、ホワイトハウス報道官のカリーン・ジャンピエール氏は「イランの行いに関する問題」は、核合意の復活に向けた取り組みとは別のもので、米国の安全保障上の利益にかなうと「我々が信じる限り」米政府は核合意の復活を目指し続けると強調した。

月曜、アミニさんの死に関する初めての公式コメントの中で83歳のハメネイ氏は、イランの警察は「犯罪に立ち向かう」べきだと強調した。

ハメネイ氏は「証拠や調査もなしに、街路を危険にし、コーランを焼き、ベールを被った女性達のヒジャブを取り去り、モスクや車に火をつける者達がいる」と述べた。

また、「これはイランのヒジャブに関する問題ではない」、「ヒジャブの規則を完璧に遵守しないイラン人女性の多くが、イスラム共和国の確固たる支持者の一部である」とも述べている。

火曜、人々が抗議している理由についてのソーシャルメディアの投稿を引用した歌詞をつけた「Baraye」(「ために」)という自身の歌が急速に広まったことで逮捕されていた、歌手のShervin Hajjipourさんが保釈されたと関係者が述べた。

また、弾圧により逮捕された400人が、「同じ行動を繰り返さないという条件のもとで」火曜に釈放されたと、テヘランの検察官アリー・サーレヒー氏が述べたことを、国営通信社IRNAが伝えている。

イランは外部の勢力が抗議運動を扇動していると繰り返し非難し、先週にはフランス、ドイツ、イタリア、オランダ、ポーランドといった国からの9人の外国人を逮捕したと発表した。

マフサ・アミニさんの死をめぐる運動の中で、現在までに少なくとも92人の抗議者が死亡したと、オスロを拠点とする組織イラン・ヒューマン・ライツが述べた。インターネットが度々遮断され、WhatsApp、インスタグラムや他のオンラインサービスの利用が妨げられる中でも、同組織は死者数を把握しようと取り組んでいる。

これより前、イランの半官通信社Farsが先週「およそ60人」が死亡したと伝えた後に、アムネスティ・インターナショナルは53人の死亡を確認したと発表した。

9月16日以降に、少なくとも12人の治安部隊メンバーが死亡したことが伝えられている。

AFP

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