
エルサレム:イスラエルの最高裁判所は23日、レバノンとの海上国境協定に議会の承認が必要であるとの訴えを退け、協定調印への道を開いた。
この協定への調印は、今週後半に行われる見込みだ。
厳密には戦争状態にあるイスラエルとレバノンは、今月初め、米国の仲介により、紛争中の海上国境を画定することについて合意に達した。
この合意が、地中海のガス田の生産を加速させる一歩となる可能性がある。
イスラエルの右派4団体は、中道派のヤイール・ラピード首相が、議会の承認を必要とする「主権」の問題に関わるイスラエル領土の放棄を行ったとして、今回の協定に法的な異議を唱えた。
イスラエルでは11月1日に選挙が行われる。
今回の右派の請願では、選挙期間中に領土割譲の協定を結ぶべきではないとの主張も加えられている。
また、協定の反対派は政府に対し、その合意条件について国民投票を実施するよう圧力もかけていた。
しかし、イスラエルの最高裁判所の3人の裁判官は、23日の判決で、この合意に反対するすべての訴えを破棄した。
その弁論の全文は後日、発表される予定だ。
この判決を受け、合意内容を支持してきたラピード内閣も、法的拘束力を持つ最終的な承認を与えることができるようになる。
イスラエルとレバノンの報道によると、調印は今週中に行われる。両国の高官が別々の場所で協定に署名するという。
この協定は、米国がレバノンおよびイスラエルから個別に承認を受けたことを確認し、それを通知した後、直ちに発効する。
その後、両国は海上国境の座標確定について国連に委ねる予定。
この協定に基づき、イスラエルはカリシュ・ガス田の全権利を保有し、数週間以内にガス生産を開始する予定だ。
レバノンは、一部がイスラエルの領海内にあるいわゆるカナ・ガス田またはシドン・ガス田の操業と探査の全権を持ち、イスラエルは収益の一部を得ることになる。
現在は右派の野党指導者であるベンヤミン・ネタニヤフ元首相は、イスラエルの今回の選挙後に首相に復帰する可能性があり、その場合にはレバノンとの取引条件に拘束されないと警告してきた。
AFP