
エルサレム:イスラエルの大統領は13日、ベンヤミン・ネタニヤフ氏を正式に首相に指名し組閣を指示する。復権を誓っていたベテランの元首相にとっての勝利だ。
4年弱の間に5回の選挙が行われるという前例のない政治的行き詰まりの期間の後、11月1日の選挙でネタニヤフ氏と極右の同盟者から成る勢力が120議席の議会で明確に過半数となった。
その結果、ネタニヤフ氏の復権はほぼ確実となり、イスラエル史上最も右寄りの政府が発足する道が準備された。
議員64人がネタニヤフ氏を首相に推薦したため、イツハク・ヘルツォグ大統領が13日昼(GMT午前10時)頃に正式に同氏を首相に指名する。
ベテランの右翼政治家であり汚職容疑(本人は否定)で公判中のネタニヤフ氏には、同盟勢力との連立形成のために少なくとも28日の猶予がある。同盟勢力は、2つのユダヤ教超正統派政党と、躍進した極右の「宗教シオニズム」連合だ。
73歳のネタニヤフ氏はヘルツォグ大統領の発表に続いてスピーチを行う予定だ。
ネタニヤフ氏の政策計画や物議を醸す政権パートナーの目標をめぐって一部で不安が高まる中、今後数週間の同氏の動きは注視されるだろう。
新政府はイスラエルの右派にとって長年の優先事項である全面的な司法改革を実施するとの見方が広がっている。
それにはいわゆる「オーバーライド条項」が含まれる可能性がある。これは、法案が違法であるとの最高裁判所の判断をいつでも覆すことができる権利を議会に与えるものだ。
ネタニヤフ政権は最高裁判所判事の任命権も全面的に掌握するかもしれない。現在この役割は議員、現職の裁判官、弁護士から成る委員会が担っている。
シンクタンク「イスラエル民主主義研究所」の憲法学教授であるスージー・ナヴォット氏は、この改革案による「損害と危険を誇張し過ぎることはない」と語る。
ネタニヤフ氏は当初の期間を2週間延長することもできるが、次期政権内のイデオロギーが幅広いことから、ある程度迅速に連立合意を発表することを期待されている。
「宗教シオニズム」陣営の共同指導者であるイタマル・ベン・グヴィル氏とベザレル・スモトリッチ氏は、公安と国防という2つの主要閣僚の地位を公に要求している。
ベン・グヴィル氏は反アラブ的レトリックや、イスラエルはヨルダン川西岸地区全域を併合すべきとの扇情的な主張で知られる扇動者であり、治安当局に対しパレスチナの騒乱に対処する際にもっと武力を使用するよう繰り返し呼びかけている。
イスラエルとパレスチナの間の暴力事件が急増している。国連によると、イスラエル占領下のヨルダン川西岸地区におけるここ数ヶ月の死者数は数年来で最多となっている。連日のようにイスラエル軍による急襲が行われ、衝突や軍に対する攻撃が増加しているためだ。
ネタニヤフ氏の前回の任期には、ヨルダン川西岸地区におけるイスラエルの入植地が急速に拡大し、わずかに残っていた中東和平プロセスが崩壊した。
主に象徴的な役割しか持っていないヘルツォグ大統領は、退任するヤイール・ラピード首相とベニー・ガンツ国防相に対し、ネタニヤフ氏と共に統一内閣を作ってベン・グヴィル氏を政府から締め出すよう説得を試みたと報じられている。
大統領府はこれを公式に否定した。
しかし、ヘルツォグ大統領は今週、ベン・グヴィル氏に対し次のように伝えた。「イスラエル国民と世界の指導者たちから、人権に関する非常にデリケートな質問を受けた」
「あなたとあなたの党にはあるイメージがある。率直に言うと、多くの点で厄介に思われるのだ」
AFP