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投資家に絶好の機会を提供する湾岸諸国

金融市場をフォローするトレーダーたち。UAEのドバイ証券取引所。(AFPファイル写真)
金融市場をフォローするトレーダーたち。UAEのドバイ証券取引所。(AFPファイル写真)
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15 Jul 2023 10:07:44 GMT9
15 Jul 2023 10:07:44 GMT9

成功する投資家は、個人であろうと企業であろうと、通常は高く急速な経済成長の可能性が存在する投資機会を探る。経済が急成長している最も重要な場所のいくつかは新興国市場である。そして、サウジアラビアやUAEをはじめとする湾岸諸国は現在、投資先として最も魅力的な国々の中に含まれている。

投資機会を求めて欧州や北米に目を向ける企業もあるかもしれないが、新興国市場を過小評価すべきでない理由がいくつかある。まず第1に、新興国市場は世界の人口の80%以上を含んでいる。また、世界のGDP成長の約80%を占めてもいる。米国の投資信託会社ドッジ&コックスは次のように述べている。「中国経済が急速に拡大していることはほとんどの人の知るところだが、他にも目覚ましい成長を示している新興国市場が数多く存在する。その多くは教育・技術の進歩や、より市場フレンドリーな政策の採用から恩恵を受けている。このような成長ストーリーは、これらの新興国市場を拠点とする、あるいはそこでビジネスをしている企業にとっての機会につながる」

それに加え、新興国には魅力的だが手つかずでうまみのある市場が存在する傾向がある。地域および世界における経済的拡大の余地が大きく残っているからだ。成長して収益とエクスポージャーを拡大する余地が非常に大きい小型株企業と同様に、新興国市場も投資家に多くの機会を提供する。

UAE、サウジアラビア、カタールは世界レベルでも、最も魅力的な新興国市場のトップ10に入っている

マジッド・ラフィザデ博士

この地域の新興国市場に関して注目に値するのは、カーニーの2023年海外直接投資信頼度指数において、いくつかの湾岸諸国が中東・北アフリカ地域で最も魅力的な新興国市場としてランクされていることだ。UAE、サウジアラビア、カタールは世界レベルでも、最も魅力的な新興国市場のトップ10に入っている。この指数は、世界の企業の幹部を対象に年1回実施される調査に基づいている。回答者は、今後3年間についての予想に基づいて各国の市場をランク付けするようにとの指示を受ける。

湾岸諸国の指導者らは、自国経済の規模を拡大するために重要な措置を講じている。例えばドバイは今年、8兆ドル規模の経済計画を発表した。この計画は、ドバイの統治者であるシェイク・ムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム殿下によると、経済規模を2倍にすることで「世界で3本の指に入る経済都市」になることを目指すものだ。殿下は次のようにツイートした。「ドバイは、今後10年で海外直接投資を6500億UAEディルハム(1770億ドル)以上にまで増やすことで、世界の金融センターのトップ4に入るだろう。世界の30万人以上の投資家が、ドバイを最も急速に成長するグローバルな都市に作り変えることに貢献している」

カタールも、外国投資を誘致し、競争力のある経済を支えるための2750億ドル規模の計画を発表している。カタール投資庁(QIA)は、「QIAのこのコミットメントは、競争力のあるカタール経済の発展を支えるという任務に沿ったものだ」と述べた。ペトロリアム・オーストラリアによると、カタールは2000億ドル以上を費やして「インフラを改善し、ノースフィールド・ガス田を拡張し、2030年のアジア競技大会の開催準備を進めている。また、国の経済を炭化水素から脱却させ多角化するための取り組みにより、潜在的な投資先としての同国の地位が強化されている。そのような背景のもとでカタール経済は2023~2025年に平均年率3.1%で成長すると、グローバルデータは予測している」

サウジアラビアに関しては、同国のビジョン2030は現代の中東で導入された最も野心的で包括的な計画の一つである。経済改革だけでなく、同国の環境・社会・宗教状況の広範な変革や政治改革まで包含しているからだ。

サウジアラビアはビジョン2030の実施において既にいくつかの段階を進んでおり、同ビジョンは成功であることが判明した。

マジッド・ラフィザデ博士

ムハンマド・ビン・サルマン皇太子殿下は、全ての人のための機会を創出することの重要性を指摘している。殿下は2016年、ビジョン2030へのイントロダクションとして次のように述べた。「(この国のビジョンは)全ての人に機会を提供する、強い、繁栄する、安定したサウジアラビアだ。我々のビジョンは、イスラムを憲法とし中庸を方法とする寛容な国だ。我々は世界中から才能ある人々を迎え入れ、我々の道のりと成功に加わるためにやって来る人々を尊重する」

「我々は、アラブ・イスラム世界の中心としての我が国の地位、我が国の有数の投資能力、我が国の戦略的な地理的位置という3本の柱を通して、民間部門とのパートナーシップのためのより良い機会を提供するつもりだ。我が国の経済の成長と繁栄のためにビジネス環境を改善し、国民のためのより健全な雇用機会や全ての人のための長期的繁栄を推進する。この約束は協力と相互責任の上に成り立つものだ」

サウジアラビアはビジョン2030の実施において既にいくつかの段階を進んでおり、同ビジョンは成功であることが判明した。例えば、同国の経済改革の恩恵として、ビジネス環境の強化、外国投資の誘致、民営化の促進、民間部門の雇用創出、デジタル化の進展などが実現している。

富を独占するために強権的に閉鎖的な経済を維持している国もあるが、サウジアラビアはより多くの国民に恩恵をもたらすべく、自国経済を多角化・民営化するための取り組みを推進してきた。その影響は地域全体に波及するだろう。国際通貨基金(IMF)は、ヨルダンやエジプトにまで広がる5000億ドル規模のビジネス・工業地帯を建設するというサウジアラビアの計画を承認した。このプロジェクトは、外国からの訪問者の誘致や、欧米と中東の間のさらなる社会的・文化的対話の創出に関して多くの可能性を秘めている。

一言で言えば、UAE、サウジアラビア、カタールをはじめとする湾岸諸国は間違いなく世界で最も魅力的な新興国市場の中に含まれており、投資家に絶好の機会を提供している。

  • マジッド・ラフィザデ博士はハーバード大学出身のイラン系アメリカ人政治学者。ツイッター: @Dr_Rafizadeh
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