ナジャ・フーサリ
ベイルート:23日、レバノンで2件の銀行強盗未遂と1件の座り込み抗議が発生したことで、この国の深刻化する経済危機に苦しむ人々の絶望の高まりが浮き彫りとなった。
ここ2ヶ月間、預金の引き出しを要求する人々による銀行襲撃は比較的減っていた。しかし、ここ数日は相次いで事件が発生し、社会不安の拡大の恐れが再び高まっている。
1日に発生した事件のうち3件目の事件では、アミナ・モハマド氏がトリポリにあるレバノン・インターコンチネンタル銀行の支店に押し入り、高齢の母親の手術費を支払うために預金の引き出しを要求した。
職員がモハマド氏とその母親と交渉する間、銀行は閉店を余儀なくされた。
これより前、元兵士のリダ・リダ氏がレバノン南部のティルスにあるアウディ銀行の支店に押し入り、母親の癌の治療費を支払うために1万5000ドルの預金の引き出しを要求した。
リダ氏が銀行の支配人に自分の要求を述べる間に、軍情報機関と治安当局のパトロールが銀行に派遣された。
この日の1件目の事件では、アニス・タノウス氏がレバノン北部のアミオウンにあるレバノン・ソシエテ・ジェネラル銀行の支店の外で座り込みを行い、銀行への人の出入りを妨げた。
タノウス氏は息子の大学の学費を米国に振り込むことを要求した。
この2日前には、フセイン・ラマダン氏とその母親がベイルートのハムラにあるアル・バラカ銀行に押し入り、13万2000ドルの預金の引き出しを要求した。数時間にわたる交渉の末、銀行は二人に1万5000ドルを支払うことに同意した。
従業員の解雇も悲劇的な結果を招いている。1人の男性が、ベイルート南郊のジュナーにある元職場の前で軍用武器を用いて自殺を図ったのだ。治安部隊が直ちに駆けつけ、この男性を拘束した。
世界銀行によると、現代史上3本の指に入る可能性がある金融危機にレバノンは直面している。
一方、ユースフ・ハリール暫定財務相は23日、税関局が輸入品から徴収する税金・手数料の為替レートについて、1ドル1万5000レバノンポンドのレートに基づいて計算する措置を、休暇シーズン開始の数週間前の12月1日から開始すると発表した。
同大臣は、この措置は「価格差の悪用を制限し、国庫が被るひずみや損失を減らすのに役立つ」だろうと述べた。
観測筋が見るところでは、業者はこの措置を見越し、レバノンの経済危機が始まる前に設定された為替レートのもとで輸入した商品を何百トンも保管していた。
当時のレートは1ドル1500レバノンポンドだった。
今年の1月から7月の輸入額は合計105億ドルだが、年間の輸入額は合計180億ドルに達すると予想されている。これは危機以前の水準に近づいている。
昨年の貿易額は合計136億ドルだった。これは、崩壊と高い貧困率に直面し国際通貨基金に30億ドルを乞うている国としては驚くべき数字だ。
関税や税金に関税ドルが適用され業者がそれを悪用すれば、政府、特に経済貿易省は商品の価格をコントロールできなくなると、レバノン国民は確信している。
中央銀行のリアド・サラメ総裁は21日、レバノンの複数の為替レートシステムを統一するプロセスの一環として、2月1日から1ドル1万5000レバノンポンドのレートを採用すると発表した。
同総裁は、この措置が為替レートの上昇あるいは下落につながるかについて、次のようにコメントした。「需要と供給に従って市場が決めることだが、中央銀行は注視していく」
ミシェル・ダヘール議員は次のように述べた。「為替レートの引き上げ決定によって引き起こされる可能性のある過剰流動性を吸収するために厳しい措置が取られるべきだ」
また、「現在の大統領空位が長引けば為替レートは7万5000レバノンポンド以上に高騰するだろう」と警告した。
銀行のデータによると、レバノンは2019年から2021年の間に、主に中小口座から約700億ドルを引き出している。