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ロシアによる東部地域への攻撃に立ち向かうウクライナに、支援国が10億ドルの資金援助を約束

ロシアによるウクライナ侵攻で爆撃を受け、激しく損壊したアパートの自室で瓦礫の中に佇む地元住民セルゲイさん。2022年12月13日、ロシア支配下にあるウクライナドネツク州のホルリフカ (ゴルロフカ)市にて。(ロイター)
ロシアによるウクライナ侵攻で爆撃を受け、激しく損壊したアパートの自室で瓦礫の中に佇む地元住民セルゲイさん。2022年12月13日、ロシア支配下にあるウクライナドネツク州のホルリフカ (ゴルロフカ)市にて。(ロイター)
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14 Dec 2022 05:12:28 GMT9
14 Dec 2022 05:12:28 GMT9
  • ロシア軍はドネツク州とルガンスク州支配のため攻撃を継続中
  • モスクワはウクライナのエネルギー関連施設に対してもミサイルとドローンによる攻撃を続行

ウクライナ、コスティアンティニフカ:ドネツク州東部地域でロシア軍とウクライナ軍による激戦が続く中、13日、パリで開かれた会議でウクライナの人々が厳冬期を乗り切れるよう、ウクライナ支援国が10億ユーロ強(10億5000万ドル)の支援を申し出た。

ロシア軍はドネツク州とルガンスク州を支配するための攻撃を続行している。この2州はクレムリンが住民投票に基づき併合したと主張する4つの州のうちの2州だが、大半の国々はその投票を非合法であるとして認めていない。

またモスクワは、ウクライナのエネルギー関連施設に対してもミサイルとドローンによる攻撃を仕掛けており、第二次世界大戦以降のヨーロッパで最悪とされる紛争に耐えている何百万という市民が、その攻撃のために電気を遮断される事態となっている。

「彼らは非常に激しい砲撃を行っています。砲撃は、特に夜に行われます」と、70 歳のヴァレンティナさんはロイター通信に語った。ヴァレンティナさんは、激しい砲撃のために大部分が廃墟と化しているバフムト市から逃れてきた。ここは、現在ウクライナの支配下にあるが、モスクワが占領しようと攻勢をかけている都市である。

ヴァレンティナさんは、ウクライナ支配地域で比較的安全なポクロフスク市に向かうバンの中で、苗字を明かすことは拒否しつつも、次のように語ってくれた。

「家が激しく揺れ、いつ崩壊するかわからない状態でした。先週は眠ることさえできず、ついに家を離れる決心をしました。」

13日の午後ウクライナ全土で空襲を知らせるサイレンが鳴り響いたが、新たな攻撃は報告されず、警報は解除された。

パリでは、フランスのキャサリン・コロンナ外相が、およそ70にのぼる国と機関が、ウクライナが水、食料、エネルギー、医療、交通を確保できるよう10億ユーロ強(10億5000万ドル)の資金援助を申し出た、と述べた。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はビデオリンクを介して会議に出席し、ウクライナは少なくとも8億ユーロ(8億4000万ドル)を必要としているとし、「8億ユーロは大きな金額だが、これは停電によって生じているコストより少ない額である」と述べた。

フランスのエマニュエル・マクロン大統領はウクライナのザポリージャ原発から重火器を撤去するという合意があり、これを実行に移すための協議が進行中であると述べた。

モスクワにより任命されドネツク州のロシア支配地域で行政官を務めるデニス・プシリン氏は、ロシアのメディアに対し、ドネツク人民共和国の半分以上が「解放された」と語った。人民共和国を自称するこの勢力はロシアによる支援を受けウクライナからの分離を目指しており、2014年からウクライナ軍と戦いを続けている。

ロイターは独自にこの報告を確認できていない。

この地域におけるここ数週間の戦闘で、ドネツク州のどの地域がロシアの支配下にあり、どの地域がウクライナの支配下にあるのか、わからなくなっている。

ドネツク州のパブロ・キリレンコ知事は自身のテレグラムチャンネルで、ドネツク州では過去24時間で3人の民間人が死亡したと述べ、また南部ヘルソン州では、ヤロスラフ・ヤヌシェビッチ知事がロシア軍の砲撃により 3 人が死亡したと報告した。

ベラルーシにおける戦闘準備 

ロシア軍はヘルソン州のウクライナ支配地域に対し57回の砲撃を行ったとヤヌシェビッチ知事は述べた。

ゼレンスキー大統領は9日、ロシアはドネツク州の前線に継続的な砲撃を行っており、これによりバフムト市は荒廃し、またドネツク州中央に位置するアヴディウカ市は大きな損害を受けていると述べた。

ウクライナ軍は12日、ロシア軍について、バフムト市およびアヴディウカ市へと前進し両市を占領するための取り組みに引き続き注力していると伝えた。

ロシアがザポリージャ州の当局者として任命したウラジーミル・ロゴフ氏は、12日遅く、ロシアが支配するメリトポリ市と郊外を結ぶ橋が損傷しているとする動画をテレグラムに投稿した。ウクライナ当局は、このメリトポリ市について、ロシアがクリミアを含めた南部支配地域を防衛する上で必要不可欠な都市だとみなしている。

ロイターは独自にこの報告を確認することができなかった。同地域から追放されたイワン・フェドロフ市長も、橋と思われる物に近づいた後、ひしゃげた部分から後退する様子を車内から撮影した動画を投稿している。

フェドロフ市長は、この橋よりも戦略的重要性が高いものの、10月に起こったロシアとクリミア半島を結ぶ鉄道道路併用橋に対する攻撃と、この橋への攻撃の類似性を指摘している。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はクリミア橋の爆破はウクライナ当局によるものだとし、キーウを含むウクライナの都市への報復攻撃を開始した。

インタファクス通信によると、ロシア連邦保安局(FSB)のアレクサンドル・ボルトニコフ長官は、今年ロシア国内における「テロリストの出現」が大幅に増加し、その多くがウクライナの近隣地域であると述べた。

インタファクス通信は、ボルトニコフ氏が委員長を務める国家反テロ委員会の報告を引用し、今年、64件のテロ行為を含め123件の犯罪を未然に防いだと伝えた。ボルトニコフ氏はこれらの行為は西側の支援を受けたウクライナの「特殊部隊」や「国際テロ組織」によるものだと述べた。

ロイターは、直近の戦闘地域の詳細を独自に確認できていない。

ロシアへ積極的な協力姿勢を見せる同盟国ベラルーシは13日、ベラルーシ南部における戦闘準備の強化を含む緊急軍事演習を行うことを発表した。

長距離兵器

12日行われたG7会議では、ゼレンスキー大統領が最新型戦車、大砲、長距離兵器の必要性を訴えた後、G7首脳より「ウクライナが緊急に必要とするものを満たす」との申し出が行われた。ゼレンスキー大統領は自らが構想する世界平和特別サミットの開催を後押しするようG7首脳に要請した。

ロシアは13日、ゼレンスキー大統領によるロシア軍の撤退を含めた和平提案を拒絶し、ウクライナの4州をロシアが「新たな領土」として併合することを含め、キーウ政府は領土上の新たな「現実」を受け入れるべきだと要求した。

アメリカのジョー・バイデン大統領は11日、ゼレンスキー大統領に対し、ワシントンはウクライナの防空強化を優先事項と考えていることを伝えた。また、アメリカは先月合意された支援策に含まれる電力設備の第一陣をウクライナに向け発送した。

モスクワは意図的な民間人への攻撃を否定しているが、この戦争で、数百万人が避難を余儀なくされ、何千人もの非戦闘員が殺害されている。

モスクワは、この紛争について、隣国ウクライナが生み出した安全保障上の脅威に対抗するための「特別軍事作戦」と表現している。現在これを終結に導くための和平交渉は行われていない。ウクライナおよび西側の支援国は、これをロシアの恣意的かつ帝国主義的な領土収奪だと非難している。

ロイター

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