Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 中東
  • ウクライナの2023年、ロシアによる新たな攻撃で厳しい幕開け

ウクライナの2023年、ロシアによる新たな攻撃で厳しい幕開け

ロシアによる攻撃で一部損壊した家屋の傍で働く医療関係者と警察官。2022年12月31日、ウクライナの首都キーウ。(AFP)
ロシアによる攻撃で一部損壊した家屋の傍で働く医療関係者と警察官。2022年12月31日、ウクライナの首都キーウ。(AFP)
ロシアによる攻撃で一部損壊したホテルの前に立つ軍人。2022年12月31日、ウクライナの首都キーウ中心部。(AFP)
ロシアによる攻撃で一部損壊したホテルの前に立つ軍人。2022年12月31日、ウクライナの首都キーウ中心部。(AFP)
Short Url:
02 Jan 2023 01:01:58 GMT9
02 Jan 2023 01:01:58 GMT9
  • ウクライナ各地を標的として巡航ミサイル20発以上が相次いで発射された31日に続き、1日も攻撃が行われた
  • ウクライナの人権オンブズマンのドミトロ・ルビネツ氏は31日の攻撃を「大晦日のテロ」と呼んだ

キーウ、ウクライナ:ウクライナ全国で少なくとも3人の民間人死者を出した大晦日の激しい攻撃に続き、1日もロシアからミサイルやドローンが発射され、2023年の幕開けはウクライナ国民にとって厳しいものとなった。当局が伝えた。

真夜中少し過ぎ、戦時の外出禁止令が敷かれる中でキーウ住民は自宅でささやかに新年を祝っていたが、空襲警報が鳴り響いた後にミサイルが相次いで飛来したことで中断を余儀なくされた。ウクライナ当局は、ロシアは意図的に民間人を標的にするとともに重要インフラを攻撃することで、長い冬の間に恐怖を蔓延させ士気をくじこうとしていると主張した。

ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は1日夜のビデオ演説の中で、市民の「団結、信頼、命そのものに対する感覚」を称賛したうえで、ロシアは「ウクライナから一年も奪うことはできない。我々の独立を奪うことはできないのだ。我々は彼らに何も与えない」と述べた。

また、ウクライナ空軍および陸軍が31日夜から1日未明にかけてロシアが発射したイラン製自爆ドローン45機を撃墜したことを明らかにした。

アレクサンドル・スタルク地域軍事管理局長によると、1日正午頃に南部ザポリージャ地域に対して攻撃が行われ1人が死亡した。しかしキーウは概ね静かで、元日の住民は束の間の平穏を味わった。

キーウの街を見下ろす公園のベンチに夫と一緒に座っていたエフヘニヤ・シュルジェンコさんは、「兵士の人たちが家族と過ごせないことを知っているので、当たり前ですが心の底から祝うのは難しいです」と話した。

しかし、ゼレンスキー大統領が大晦日に行った「とても力強い」演説を聞いて、気持ちが高まってウクライナ人であることに誇りを感じたと彼女は語った。この戦争で最も激しい戦闘のいくつかが行われたバフムートとハルキウに住んでいた彼女は最近キーウに引っ越してきたという。

31日から1日未明にかけて複数回の爆発がキーウやその他の地域を揺るがし、数十人が負傷した。キーウの爆発現場にいたAP通信のカメラマンは、女性の遺体の傍に夫と息子が立っている光景を目撃した。

ウクライナ最大の大学であるキーウのタラス・シェフチェンコ国立大学は、建物やキャンパスに大きな被害が出たことを報告した。ビタリ・クリチコ市長によると、幼稚園を含む2つの学校が被害を受けた。

31日の攻撃の36時間前の29日にもロシアによる広範囲のミサイル攻撃が行われ、エネルギーインフラ施設に被害が出ていた。異例の短い間隔で攻撃が続いたことにウクライナ当局は危機感を高めた。ロシアは10月以降ほぼ毎週ウクライナの電力施設や水供給施設に対する攻撃を実施しており、国民の苦しみが増している。そのような中、ウクライナ陸軍は必死で領土を守り前進しようとしている。

大統領府のキリーロ・ティモシェンコ副長官によると、南部の都市ヘルソン各地に対する夜間爆撃では1人が死亡し、小児病院の窓ガラス数百枚が吹き飛んだ。同市は、11月にロシア軍がヘルソン地域を二分するドニプロ川の東岸に撤退した際にウクライナ軍が奪還している。

ヘルソン州のヤロスラウ・ヤヌシェビッチ知事によると、31日夜に砲弾が小児病院に着弾した際、同日夜に近くの村で重症を負っていた13歳の少年の外科手術が行われていた。この少年は重体のまま約99キロメートル(62マイル)離れたムィコラーイウの病院に移された。

31日には西部の都市フメリニツキーでもロケット弾による攻撃があり、負傷した22歳の女性が死亡したと市長が発表した。

キーウに住むオレクサンデル・ドゥギンさんは、友人や家族と一緒に新年の花火の代わりにウクライナ空軍がロシアの攻撃を迎撃する際の火花を眺めていたと話した。

家族と一緒に公園を歩いていたドゥギンさんは、「ロケット弾の音、それが飛んでいる時の音、ドローンの音、どれも分かるようになりました。原付バイクの音に似ています」と語った。「私たちはできる限り持ちこたえます」

ロシアによる爆撃の被害や、残存する電力供給を維持するための計画停電により、ウクライナ国民の多くは暖房や電気が使えない状態に置かれているが、国営電力事業者ウクレネルゴは1日、この日限り電力使用の制限を行わないと発表した。

同社は次のように述べた。「電力業界は新年休暇に制限なしに灯りを使用できるよう精一杯の努力をしている」

また、家庭に電力を向けるために企業や産業が電力を節約したことを明らかにした。

ゼレンスキー大統領は夜に行った演説の中で、今回の攻撃のさなかに灯りを維持するために働いてくれた電力業界の人々に謝意を表明し、「この大晦日にウクライナ国民が自分の中のエネルギーを再充電できたことは非常に重要なことだ」と述べた。

これとは別の31日のツイートの中では、EUに対しウクライナの加盟の意志を改めて表明した。また、EU議長国を終えたチェコと引き継いだスウェーデンに対し祝意を示すとともに、ウクライナの加盟に向けた努力が前進できるよう支援してくれていることに感謝すると述べた。

一方、NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は、30加盟国は今後数ヶ月で兵器生産を「増やす」ことで、各国の備蓄を維持するとともに、ウクライナがロシアに対抗するために必要な兵器の供給を続ける必要があると述べた。

ストルテンベルグ事務総長は、1日に放送されたBBCラジオ4「ザ・ワールド・ディス・ウィークエンド」のインタビューの中で、11ヶ月目に入ったウクライナ戦争は「莫大な量」の軍需物資を消費していると話した。

同事務総長は次のように語った。「自分たちの抑止力と防衛力を確保するために、また長期的にウクライナ支援を継続できるようにするために、備蓄、供給、兵器を確保することはNATOの核となる責任だ」

「この二つの目標の実現は大きな仕事だ。生産を増やす必要がある。NATO加盟国が現在行っているのは正にそれだ」

また、ロシアは戦場で後退しており地上戦は膠着状態に陥っているようだとしたうえで、「ロシアはウクライナを支配するという全体的な目標を断念する兆候を示していない」と述べた。

「ウクライナ軍は数ヶ月にわたり勢いづいていた。しかし、ロシアがさらに多くの軍事力を動員していることも我々は知っている。その多くは現在訓練中だ」

「そういった情報は全て、ロシアが戦争を続けるつもりであること、また新たな攻勢を開始する可能性もあることを示している」

さらに、戦争終結に向けた交渉の際にウクライナが何を達成できるかは戦場で示す強さにかかっていると指摘した。

「ウクライナが主権を持った独立した欧州の民主国家として勝利するための交渉を通した解決を我々が望むなら、今ウクライナに支援を提供する必要がある」

AP

特に人気
オススメ

return to top