
テヘラン:イラン司法当局は8日、今も続く全国的な反体制デモを支持するストライキを呼びかけたとして4人に最大10年の実刑判決を言い渡したと発表した。
マフサ・アミニさんが道徳警察による拘束下で死亡した9月の事件に端を発するデモの最中に行われた行為に対して実刑判決が下されたことを司法当局が発表するのはこれが初めてだ。活動家らは先月上旬、デモを支持する3日間の全国的ストライキをソーシャルメディアを使って呼びかけていた。
司法当局のニュースウェブサイト「ミザンオンライン」によると、被告4人は1年から10年の実刑判決を受けた。被告らの身元は公表されていない。今後上訴が行われる可能性もある。
イラン南部ホルモズガーン州の司法当局トップであるモジタバ・ガハラマニ氏はミザンに対し、被告4人は主に「運転手らのストライキ扇動」および器物損壊の罪で判決を受けたと述べた。
ガハラマニ氏は、「被告らはいずれも運転手ではなく交通部門の関係者でもない」としたうえで、「国家治安の妨害を目的として徒党を組んだ罪で、1人は10年、別の1人は5年の実刑判決を受けた」と述べた。
他の2人は「公序良俗の撹乱およびトラックの窓損壊」の罪で1年の実刑判決を受けたという。
12月5日には、元サッカー選手のアリ・ダエイ氏が所有する宝石店とレストランが当局によって閉鎖されたと地元メディアが伝えたが、これはデモ参加者らによるストライキの呼びかけに同氏が支持を表明した後のことだった。
デモに関連して治安部隊員を殺傷したとして、これまでに4人が死刑を執行されている。そのうち2人の処刑は7日に実施された。
現在も続くデモは、アミニさん(22)が体制が課す厳格な服装規定に違反したとして逮捕された後に死亡した9月の事件をきっかけに始まったものだ。それ以降デモはイラン全国に広がり、体制にとってイラン革命以降で最大の脅威の一つとなっている。
イランの指導者らはデモへの対応をめぐって分裂しており、弾圧すべきか反対を鎮めるための懐柔的なジェスチャーを示すべきかで右往左往していると、アナリストは指摘する。
デンバー大学中東研究センター所長のナデル・ハシェミ氏は、「イラン体制から相反するメッセージが伝わってきていることは、今も続くデモへの対応をめぐって内部で論争が起こっていることを示唆している」と語る。
「ほとんどの権威主義的体制にはタカ派とハト派がいて」、危機に際して国家がどれほど抑圧的であるべきかをめぐって意見を異にしていると同氏は言う。
中東研究を専門とするイギリス・キール大学のアフシン・シャヒ准教授は、体制には国民の怒りに対処するための「明確な戦略がないようだ」と指摘する。
AFP