• レバノン特別法廷は、2005年にレバノンのラフィク・ハリーリ元首相が暗殺された事件を調査するために設立された

国連：アントニオ・グテーレス事務総長は、2005年にレバノンのラフィク・ハリーリ元首相が暗殺された事件を調査した国際法廷の権限を今年末まで延長した。

司法以外の機能を完了させ法廷の運営を停止できるようにすることが目的だ。

国連のステファン・ドゥジャリク報道官は12日、国連とレバノン政府が作成し合意した完了計画によってレバノン特別法廷は12月31日までに業務を完了すると述べた。

業務には、記録やアーカイブの保存、情報請求への対応、同法廷の業務に協力した被害者や目撃者の保護・支援などが含まれるという。

同法廷の権限は2月末に期限切れとなる予定になっていた。

昨年6月、控訴審は武装組織ヒズボラの構成員2人に対し、暗殺に関与した罪で終身刑を言い渡した。

ハッサン・ハビブ・メルヒとフセイン・オネイシの両被告は、オランダのハーグ近郊の同法廷において欠席裁判を受け、3月に控訴審においてハリーリ元首相およびその他21人に対する故意の殺人や226人に対する傷害など5件の犯罪で有罪判決を下された。

被告らは、ベイルートの海沿いのホテルの外をハリーリ元首相の車列が通過した際に巨大トラック爆弾を爆発させ彼らを死傷させた。

レバノン特別法廷の裁判長を務めたチェコの裁判官イヴァナ・ハドリチコヴァー氏は6月の同法廷において、メルヒとオネイシの両被告に対しそれぞれ5つの罪で終身刑を言い渡すとともに、両被告が拘束され収監された場合には判決が同時に執行されることになると述べた。

2020年4月に両被告が長時間におよぶ裁判の末に無罪判決を受けた後、検察は上訴していた。

この裁判では、別のヒズボラ構成員サリム・アイヤシュ被告が2005年2月14日の爆発事件に関与したとして有罪判決を受けた。アイヤシュ被告も欠席裁判で終身刑を言い渡された。

ハリーリ元首相殺害を受けて設立されたこの法廷は、レバノンで起きた複数の政治的暴力の中で初めて真実が明らかになり加害者の責任が追及されるという期待を抱かせた。

しかしレバノン国民の多くにとって、この法廷はその両方において失敗に終わった。

容疑者の多くは死亡しているか消息不明で、検察は爆殺計画やそれを指示した人物についての全体像を提示することができなかった。

裁判員らは、ヒズボラ指導部とシリアが攻撃に関与した証拠はないとしながらも、ハリーリ元首相とその政治的同盟者らがシリアにレバノンからの軍撤退を求めることについて協議していた際に暗殺が行われたことを指摘した。

ドゥジャリク報道官によると、グテーレス事務総長は国連加盟国に対し、レバノン特別法廷がその業務を完了しレガシーを確かなものにできるよう、今年も引き続き資金を提供することを求めている。

AP