• アフリカ最古の会堂への巡礼には欧州やイスラエルから毎年数百人のユダヤ教徒が集まる。会堂のあるジェルバ島は首都チュニスの南500kmに位置し、休暇の旅行先としても有名

チュニス：チュニジア政府は国内の会堂（シナゴーグ）付近で9日に襲撃事件があり、警備隊員と巡礼者がそれぞれ2人死亡したと発表した。会堂のあるジェルバ島は、毎年欧州やイスラエルから数百人のユダヤ教徒が集まる巡礼の最中だった。

同国の内務省の声明によると、襲撃犯の男は島の海軍施設にいた隊員で、自分の武器で同僚を撃った後、弾薬を奪って会堂へ向かったという。

男は会堂付近にいた治安部隊に無差別に発砲。巡礼者2人と隊員1人が死亡したほか、隊員5人と巡礼者4人が負傷した。治安部隊はその後男を射殺した、と内務省は述べている。

外務省は、死亡した巡礼者の1人はフランス人でもう1人はチュニジア人としている。
SNSに投稿された映像（ロイターは現時点で未検証）には、銃声が鳴り響く中、おびえた顔つきの人々が中庭に立っている姿が映っている。島の住民も銃撃戦の音を聞いたという。

当局はまだ犯行の動機を突き止めていない。だが、イスラム過激派はこれまでにジェルバ島の巡礼を標的としたり、チュニジアで別の襲撃事件を起こしたりしている。

国内の重大な襲撃事件としては、2020年にアメリカ大使館の外にいた警官が狙われ、1人が死亡したことがあった。前年にはフランス大使館の外にいた警官を標的とした自爆テロが2度あり、1人が死亡した。

2015年にはイスラム過激派がビーチリゾートとチュニスの博物館を襲撃し、多数の観光客が犠牲となった。

アフリカ最古の会堂への巡礼には、欧州やイスラエルから毎年数百人のユダヤ教徒が集まる。会堂のあるジェルバ島は首都チュニスの南500kmに位置し、休暇の旅行先としても有名だ。

2002年にタリバン戦闘員がトラック爆弾で会堂を襲撃して西側の観光客21人が死亡したが、それ以降、会堂は厳重に警備されていた。

チュニジアはイスラム教徒が大部分を占めているが、北アフリカ最大規模のユダヤ教徒の共同体もある。現在の人数は1800人を下回っているが、ユダヤ教徒はローマ時代からチュニジアに居住している。

米国大使館のツイッターの投稿によると、同国のジョーイ・フッド大使は8日、反ユダヤ主義監視・撲滅担当デボラ・リップシュタット米国特使とともに会堂を訪れていた。

ロイター