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イランがイギリス系イラン人を処刑、英は「野蛮な行為」と非難

アリレザ・アクバリ氏は数か月にわたって拘束され、拷問を受けて自白に追い込まれたと述べた。(File/AFP)
アリレザ・アクバリ氏は数か月にわたって拘束され、拷問を受けて自白に追い込まれたと述べた。(File/AFP)
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14 Jan 2023 10:01:24 GMT9
14 Jan 2023 10:01:24 GMT9
  • イギリスは刑の執行を行わないよう求めていた
  • アクバリ氏はイギリスのためにスパイ活動を行ったとして2019年に逮捕された
  • 氏はイランの元防衛副大臣である

ドバイ:イラン司法当局は1月14日、イギリス政府が釈放を求めていたイギリス系イラン人の元防衛副大臣を処刑したと発表した。元副大臣はイギリスのためにスパイ活動を行ったとして死刑を言い渡されていた。

イギリスは61歳のアリレザ・アクバリ氏に対する容疑は政治的な動機に基づくものだとして釈放を求めていたため、刑の執行を強く非難した。

イギリスのリシ・スナク首相は、死刑執行は「自国民の人権を無視する野蛮な体制による無情で卑劣な行為だ」と述べた。

イラン司法当局が運営するニュース局ミザンは14日早くに処刑を報じたが、執行の場所については明らかにしなかった。13日夜にはイギリスのジェームス・クレバリー外務大臣がイランに刑の執行を行わないよう求め、アメリカ政府もこれに同調していた。

今回の死刑執行により、長らく緊張状態にあるイランと西側諸国の関係はさらに緊迫すると見られる。2015年の核合意復活に向けた協議が暗礁に乗り上げ、昨年以来イラン政府が反体制デモを激しく弾圧していることからイランと西側諸国の関係は悪化の一途を辿っている。

BBCペルシャ語放送が11日に放送したアクバリ氏の発言とされる音源では、氏は酷い拷問により無実の罪を自白せざるを得なかったと述べている。

ミザンは次のように報じた。「地上における堕落とイギリス政府の諜報機関のためにスパイ行為を働いたことで国の内外で治安をかく乱した罪で死刑を宣告されたアリレザ・アクバリの…刑が執行された」

ミザンの報道によると、2019年に逮捕されたアクバリ氏はスパイ活動への報酬として180万5,000ユーロ、26万5,000ポンド、および5万ドルを受け取っていたという。

スナク首相はツイッターに、「死刑執行に愕然とした」と投稿し、クレバリー外相は「イランの代理大使を呼び出して今回の行動への憤懣を伝える」と声明で述べた。

イギリス政府がこの件で出した声明は、2019年に逮捕されたアクバリ氏のスパイ容疑には触れていない。

イラン国営メディアは12日の放送で、アクバリ氏が2020年に起きたイラン第一の核科学者モフセン・ファフリザデ氏の暗殺に関与した証拠だとする映像を流した。当時イラン当局はテヘラン郊外で起きた暗殺を実行したのはイスラエルだとしていた。

問題の映像では、アクバリ氏は暗殺への関与を認めてはいないが、イギリスの諜報員からファフリザデ氏に関する情報を求められたと述べている。

イラン国営メディアはしばしば、政治色の強い事件で容疑者の自白とされるものを放映する。

ロイターは国営メディアの放送した映像や音声の信ぴょう性を検証することはできておらず、またこれらがいつどこで録画・録音されたかも確認できていない。

アクバリ氏は現在イラン国家安全保障最高評議会書記であるアリー・シャムハーニー氏と近く、改革派のモハンマド・ハータミー政権下でシャムハーニー氏が1997年から2005年までの間防衛大臣を務めた際にはその副大臣であった。

「3,500時間に及ぶ拷問」

イランと西側諸国の関係悪化とともに、イギリスも当事国である核合意復活への協議が停滞する中、過去数か月間イランとイギリス両政府の間にも不協和音が生じている。

イギリスはイランが昨年9月のクルド系イラン人の若い女性が拘留中に死亡したことをきっかけとする反政府デモを弾圧していることにも批判的立場を取っている。

イランはデモ取り締まりの一環として数十人に死刑を宣告しており、少なくとも4人の死刑を執行した。

イギリス外相は12日、イギリスがイランの革命防衛隊をテロ組織として排斥する方向で検討しているが、最終的決断には至っていないと述べていた。

BBCペルシャ語放送が放送した音源では、アクバリ氏は拷問により自白を強要されたと述べている。

「3,500時間以上に及ぶ拷問、幻覚性の薬物の使用、身体的・心理的圧力により、彼らは私から意志を奪いました。狂気の淵に追い込まれたのです…そして、暴力と殺すという脅しによって自白を引き出しました」とアクバリ氏は言った。

イラン国営テレビは14日、報道番組の中でイラン情報省がアクバリ氏を監視し、1998年に逮捕したと報じた。氏はその後2008年にスパイ容疑で再び逮捕され、保釈されて国外に出ていたという。

ロイターは情報の詳細について独自に検証できていない。

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