
ザイナブ・コージー
ロンドン:イスラエルとの紛争で二国家解決の実現がますます遠のく中、パレスチナの経済や理想、回復力を守る努力を3倍にしなくてはならない―パレスチナ銀行のハーシム・シャワ会長は19日、そう語った。
ダボスで開催中の世界経済フォーラム(WEF)の「For the Sake of Peace: Jumpstarting the Palestinian Economy」と題されたセッションにおいて、会長は、イスラエルとパレスチナの双方が現在の政治状況での二国家解決に懐疑的だと述べた。
イスラエルでは先月、史上最も右寄りの政権が誕生した。パレスチナの首相は、イスラエル政権が「占領に抵抗する最も非暴力的な活動ですら」阻止していると非難している。
シャワ会長は「私たちは皆、二国家解決が頓挫しかかっているのではないかと懸念しています。イスラエルの最近の選挙を通して状況を見ると、今後どこに向かうのかわかりません」と述べた。
「すべての人がじっと見守っていますが、見通しはよくありません」
「だからこそ、私たちは警戒を強める必要があります。しかし、パニックになることはありません。私たちの理想や民主主義の価値、国際法を守り、経済や回復力を守るための活動を2倍・3倍にしていかなくてはなりません」
会長によると、パレスチナが受け取る援助1ドルごとに民間から2.5~3ドルの投資があったという。
「500万人のパレスチナ人が日々暮らしているのを忘れてはなりません。子供を学校に連れていき、教育を施し、大小の事業に資本や富を注いでいます」
「私たちはそうしたことに希望を感じ、またそれは、銀行がパートナーとともにあらゆるレベルで拡大していることでもあります」
会長はまた、パレスチナ銀行は中東・北アフリカ地域において、取締役会レベルで最初にジェンダー平等を実現した銀行だと誇らしげに語った。
「政府であろうと民間であろうと、政策決定や意思決定、影響力の大きな仕事にもっと女性が関われば、変革を起こすことができるでしょう」
パレスチナ銀行をそうした体制にしたところ、「自由が奪われるような恐ろしい占領下でさえも」仕事の質が上がり、ジェンダーのバランスが取れたのに加え、利益が上がって成功し、回復力が増したと会長は言う。
「軍事的な対立の中で直面する問題において、女性は占領の一番の被害者となります。いつも最大の被害者なのです」
「女性を経済に取り込み、財政に参加させ、権限を与え、意思決定にもっと関わらせることで、バランスの取れた事業運営や問題解決が可能となります」