
シェルーク・ザカリア
ダボス:1月20日、ダボスで開催されている世界経済フォーラムの席上で、専門家は気候変動政策の策定には障がいを持つ人々の関与が不可欠だと述べた。
「火事の時は階段を使え」と題された公開討論会で、識者たちは世界で10億人以上に上る障がいを持つ人々は、気候変動の影響をもっとも被りやすいと指摘した。
討論会の参加者は、これらの人々のニーズに応えるような緊急時対応計画およびインフラを作る必要性を強調した。
UAEのヒッサ・ビント・イーサー・ブーフマイド地域社会開発相は、昨年7月にUAEで発生した洪水で7人が犠牲になり、数千人が被害を受けた際に障がいを抱える人々を救うために行われた活動に言及した。
地域社会開発相によると、UAE政府はCOVID-19パンデミック中に立案された緊急対応戦略を用いて、障がいを持つ人々の「迅速で即時の」避難を行った。
この緊急対応戦略は今後のパンデミックを念頭に作られたものだったが、当局が自然災害に効果的に対処することにも役立ったという。
ブーフマイド氏は、障がいを持つ人々は気候変動関連の危機に対処するための政策立案と戦略の中心にならなければならないと述べた。
ブーフマイド氏はさらに、障がい者とその家族、介護者、地域社会と協議の上で策定されたUAEの「決断力ある人々(障がいを持つ人々を指す)への権利拡大」国家政策にも言及した。
障がいを抱える人々向けの政策を立案することは、行動の持続可能性を確保することにつながる可能性もあるという。
「この政策は、国家戦略の中に組み込まれなければなりません。長期的影響とプロジェクトの持続可能性を担保するのは、国の政策だからです」
スイスの作家、クリストフ・ケラー氏は気候危機が障がいを持つ人々にもたらすさらなる脅威を強調した。
「これは気候変動というより気候大惨事です。変動であれば、時間をかけて適応していくこともできますが、問題になっているのは命にかかわる洪水、モンスーン、地震、火事なのです。障がいを持つ人々にとっては、さらなる脅威です」とケラー氏は述べた。
「メルボルン・ハブ」の地域活動家、アシュリー・ストリーター・ジョーンズ氏は、障がいを持つ人々を意思決定プロセスの周縁にではなく中心に置くことの必要性を訴えた。
「弱者抜きの決定では全員の決定とは言えません。障がいを持つ人々の声を聞かずに皆の視点を取り入れたことにはならないのです」
アメリカインディアン国民会議のフォーン・シャープ議長は、気候変動は障がいを持つ人々と先住民に不公平に過度な影響をもたらしているとして、これら少数者のグループは社会のあらゆるレベルで発言権を持たなければならないと主張した。
自然災害時には、脆弱な立場にある人々を支援し、そのアクセス可能性を高めるために最先端技術が用いられるべきだとも議長は述べた。
「気候変動がどこまで拡大するか、誰にも分かりません。ですから、集中した戦略的態度が求められます。災害が起きるまで待つのではなく、前もって策を考えておく必要があるのです」