アラブニュース
ジェッダ:イラン政府による抗議デモ参加者への残忍な弾圧に対して、37人ものイラン政府関係者や組織に新たな制裁を科すことが欧州で議論されるなか、イラン通貨リアルが21日に、対米ドルで過去最安値まで下落した。
イランが国際社会で孤立を深めているのは、中東地域の混乱を煽り、ウクライナに大量の死者と破壊をもたらしているドローンを供給しているイラン政府の役割が拡大していることへの警告でもある。
EUとテヘランの関係は、核協議復活に向けた取り組みが行き詰まるにつれて、ここ数カ月で悪化している。イランは欧州の国民を数人拘束しており、EUは抗議デモ参加者に対する暴力的な扱いや処刑の実施に対して批判を強めている。
EU圏の外相たちは、23日にブリュッセルで予定されている会談で、抗議デモ参加者を弾圧したイラン政府に対する制裁措置の第4弾の採択に合意しようとしている。
欧州議会は18日、抗議デモ参加者を弾圧してロシアにドローンを供給しているイランのイスラム革命防衛隊を非難し、この強力な勢力をテロ組織に指定するようEUに要請した。議会はEUに対し、この部隊をテロ組織のリストに加えるよう強制することはできないが、この文書はイラン政府に対する明確な政治的メッセージであった。
世界最大であるパナマの船舶登録機関は、過去4年間にイラン国営石油会社と関係のある136隻の船舶の登録を解除したと、パナマの海事当局が今週発表した。
イランのクルド人女性であるマフサ・アミニさん(22)が、イスラム共和国の厳しい服装規定を守らなかったとしてテヘランで逮捕されて9月16日に死亡して以来、イランではデモが巻き起こっている。
国連によると、イランはこの一連の抗議行動で少なくとも1万4千人を逮捕した。
イラン当局は、この騒ぎに関与したとして4人を処刑して合計18人に死刑を科し、国際社会に激しい怒りを引き起こした。
EUはすでに、イラン政府の「道徳警察」、革命防衛隊の司令官、国営メディアを対象として、抗議デモ参加者への弾圧を理由に、60人以上のイラン政府関係者や団体に対して資産凍結とビザ発給禁止を科している。
外国為替サイトのBonbast.comによると、21日のイランの非公式市場では、前日の43万500リアルに対し、1ドルが44万7千リアルで売られていた。
全国的な抗議運動が始まって以来、リアルの価値が29%も失われたのだ。
9月16日にマフサ・アミニ氏の事件に対する全国的な抗議運動が始まって以来、イラン通貨の価値が29%も失われた。(WANA写真、ロイター/ファイル写真より)
イラン中央銀行のモハンマド・レザ・ファージン総裁は21日、リアルが下落したのは、イランの敵がイスラム共和国を不安定にするために組織しているとイラン政府がいう「心理作戦」によるものだと非難した。
国営放送IRIBはファージン氏の発言を引用して、「今日、中央銀行は外貨と金の資源と準備の面で何の制約もなく、メディアの欺瞞と心理作戦が自由為替レートの変動のおもな要因となっている」のだと述べた。
約50%のインフレ率に直面し、貯蓄の安全な避難所を求めるイラン人は、ドルなどのハードカレンシーや金を購入しようとしている。
経済ウェブサイトのEcoiranは、リアルの下落が続いているのは、イランに対する明白な「世界的なコンセンサス(意見の一致)」によるものだとしている。
「革命防衛隊をテロ組織のリストに載せたり、イランと関係のある船舶や石油タンカーに規制をかけたりといった政治的圧力の高まりは、…イランに対する世界的なコンセンサスを示す要因であり、テヘランにおける)ドル相場に影響を与える(可能性がある)」とEcoiranは述べている。
それとは別に、イランのスポーツ相は、イラン北東部のサッカーアカデミーで10代の若者を標的にした性的暴行疑惑の調査を行うよう命じた。
国営通信社IRNAは、「シャフリ・ホドロ・フットボールクラブの元メディアマネージャーは、このクラブとそのアカデミーの選手15人の親がクラブとコーチに対して、自分の子どもに性的暴行を加えたとして告訴したと、ソーシャルメディア上で主張している」と報じている。シャフリ・ホドロ・フットボールクラブは、マシュハドを本拠地としている。
地元紙シャーアラは20日にウェブサイトで、同クラブの選手の家族が「悲劇」に抗議するために、州のサッカー連盟本部の外に集まったと報じた。
(ロイターと、AFP)