ナジャ・フーサリ
ベイルート:レバノンのガッサン・オウェイダット検事総長は25日、ベイルート港爆発事件の捜査で拘束された17人の容疑者の釈放を命じ、拘束を命じた判事を起訴した。
爆発事故の調査を主導するタレク・ビタール判事は今週、レバノンの政治体制に根を張る支配エリート層に逆らう形で、2020年の爆発事故に関連してオウェイダット検事総長を含む複数の有力者をあえて告発、激しい政治的・法的反発の中で1年以上中断に追い込まれていた事故原因の調査を再開させた。
これに対して、オウェイダット検事総長はビタール判事を起訴し、渡航禁止令を出した。
この司法クーデターとも呼べる事態は、ビタール判事が爆発事故の調査を再開してから48時間も経たないうちに発生した。
調査再開の際、ビタール判事は、その職務継続の根拠として、彼自身による法律の研究と解釈を用いていた。調査官への任命が閣僚評議会の決定によるものだったためである。
ヒズボラとアマル運動は、ビタール判事を事故調査の担当から外すよう要求し、そのために動いた。ヒズボラの指導者ハッサン・ナスララ師はすでに14カ月以上前に同氏の解任を要求している。
今回の被拘束者たちの即時釈放の決定は、オウェイダット検事総長によって治安当局に伝えられた。
自由愛国運動に所属するバドリ・ダヘル税関局長をはじめ、拘束された者たちは笑顔で釈放された。
ビタール判事は、レバノンのテレビ局NTVの放送で、釈放措置を次のように非難した。「ガッサン・オウェイダット検事総長の決定に従って治安部隊が拘束者を釈放することは、法に反するクーデターに等しい事態です」と反論した。
ビタール氏はさらに、「司法調査官だけが釈放の決定を下す権利を持っており、したがってオウェイダット検事総長の決定に法的価値はありません」と指摘した。
司法警察は、ビタール判事に対する起訴により、26日にオウェイダット検事総長の前に出頭するよう判事の自宅に通知した。
しかし、ビタール判事は訪れた警官に次のように話した。「先に私がオウェイダット氏を起訴した後で彼が私を起訴したのだから、会いたいと思っているのはむしろ私の方。来週の彼の聴聞の日時も決めてあります」
判事は23日、他の3人の判事と4人の行政当局者とともに、この犯罪をめぐる「殺傷の潜在的な意図」でオウェイダット検事総長を起訴している。
750ページに及ぶ起訴状には「治安に関する危険な情報」が含まれているとビタール判事は述べた。
ある司法関係者はアラブ・ニュースに対し、「最高司法評議会はこの事件の担当者に別の司法調査官を任命するでしょう。この措置は閣議決定や政令を必要としないものです」と語った。
こうした司法内の争いは、爆発事故の犠牲者の家族の怒りを呼んでいる。ベイルートのパレス・オブ・ジャスティスの周囲と内部には、何者も立ち入れないよう厳重な警備が敷かれた。
犠牲者の遺族の多くはビタール判事を支持し、当局に徹底的で妨害のない捜査を認めるよう求めている。
しかし、中には国内での捜査に希望を持てず、国連による事実調査団の派遣を期待する声もある。