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イスラエルの報復は国際法が禁じる集団的懲罰、人権団体が批判

ヨルダン川西岸地区の都市ラマッラーに近いタルムサヤの村で、ユダヤ人入植者が火を放って燃えた車を調べるパレスチナ人男性。2023年1月29日(AP Photo)
ヨルダン川西岸地区の都市ラマッラーに近いタルムサヤの村で、ユダヤ人入植者が火を放って燃えた車を調べるパレスチナ人男性。2023年1月29日(AP Photo)
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30 Jan 2023 03:01:13 GMT9
30 Jan 2023 03:01:13 GMT9
  • 占領軍の保護の下、入植者はヨルダン川西岸地区で襲撃を続けており、家屋や車を燃やしている
  • 26日ジェニンで負傷した24歳のパレスチナ人が死亡

モハメッド・ナジブ

ラマッラー:イスラエルとパレスチナの人権団体は、エルサレムとヨルダン川西岸地区においてここ数年で最大の騒乱が起き、暴力の連鎖を危惧する声が高まる中、イスラエル政府がパレスチナ人に対して取っている制裁的措置を批判している。

1月27、28日の両日に2件の銃撃事件が起き、合計7人が死亡し、5人が負傷した後、複数のパレスチナ人が逮捕された。

多くの団体が、イスラエルの行動は国際法が禁じている集団的懲罰に相当すると主張している。

パレスチナ当局もイスラエルの行動を集団的処罰に他ならないとして非難した。

パレスチナ外務省は一連の逮捕は国際法とジュネーブ条約への重大な違反だと述べ、占領政策の延長としての集団的懲罰は、エルサレムからパレスチナ人の存在を消し去ろうとする狙いで行われていると指摘した。

パレスチナの人権団体「アル・ハック」のシャワン・ジャバリン理事長はアラブニュースに以下のように語った。「これらの集団的懲罰は、イスラエル政府がパレスチナ人に対して行っている戦争犯罪です。というのも、イスラエルの占領者に攻撃を仕掛けた者とは無関係の人々が罰を受けているからです」

 

「攻撃の実行犯は殺害されました。なぜ、彼の家族が罰を受けなければならないのでしょうか。なぜ、1人のパレスチナ人がイスラエル人に敵対的行動を取ったからといって、社会全体が罰を受けなければならないのでしょう」とジャバリン氏は問いかけた。

パレスチナ解放機構のタイシール・ハリード氏は、占領下にあるパレスチナの領土での生活環境の悪化と、イスラエル軍による虐殺の責任は全面的にイスラエル政府にあると主張した。

ハリード氏はまた、イスラエル内閣がエルサレムを含む被占領ヨルダン川西岸地区の入植者にさらに多くの武器を配布し、占領地警察に武器を取るよう求めると決定したことは、ユダヤ人テロ組織にさらなる犯罪へのゴーサインを出したのと同然だと指摘した。これらの組織は占領軍の保護の下、入植地と前哨基地を安全な隠れ家としているという。

イスラエルの人権団体、「HaMoked」のジェシカ・モンテル理事長は、イスラエル現政権の閣僚は様々な方策を取ると威嚇しているが、そのどれもが27日夜の事件の実行犯と関わりがあるというだけで罪のない人々への集団的懲罰に当たると述べた。

モンテル氏によると、イスラエル新政権は法学者の権威と司法権の独立を弱体化させるべく、積極的に動いており、その結果、パレスチナ人の人権を保護することがさらに困難になるという。

おそらくはエルサレムで最近起きた攻撃への報復として、イスラエルの入植者たちは28日、占領地域全体でパレスチナ人とその財産に対する攻撃を行ったと、翌29日にパレスチナ当局筋が確認している。

ヨルダン川西岸地区の北から南まで、数十のパレスチナ人に関連する場所が攻撃の標的となり、ラマッラーの北東にあるタルムサヤの村では、車9台と家屋が燃やされた。また、木を切り倒す、車を破壊する、石で市民を襲って負傷させる、催涙スプレーを浴びせるといった事件が発生した。

タルムサヤの村人たちは、入植者数名が通りを封鎖し、車に火を放ち、それが近くの家屋に燃え移ったと通報した。

パレスチナ当局のために入植者の活動を監視しているガッサン・ダグラス氏によると、ヨルダン川西岸地区全域で1月28日午後6時から翌29日午前2時半までの間に、入植者による攻撃144件が通報された。

ダグラス氏によれば、イスラエルの入植者が120台の車両を破壊した。マジダル・バニ・ファデルでは車6台が燃やされ、ハワラでは22の店舗が攻撃され、他にもヨルダン川西岸地区で複数の道路と交差点が標的となった。

今回の攻撃がこれまでと異なる点は、参加する入植者の数が多いことで、ある場合には最大60人のグループが襲撃に加わっていたという。

28日の襲撃を特徴づけるものは凶暴性で、ある事件ではパレスチナ人が乗ったままの車に火が付けられたとダグラス氏は説明した。

氏によると、いくつかの事件ではイスラエル国防軍(IDF)の部隊が近くに展開していたが、攻撃を止めようとはしなかった。

パレスチナ自治政府「分離壁と入植地への抵抗委員会」国際関係部門のチーフ、ユーニス・アラール氏はアラブニュースに対し、昨年12月末のイスラエル右派政権発足を受けて、入植者による攻撃のペースは今週に入り高まっていると述べた。

チュバスで入植地関連業務を担当する当局者、モアタズ・ビシャラト氏によると、入植者の一団がアイン・アル・ヒルウェーの交差点を封鎖し、石で車両を襲撃した。

また、入植者たちはヨルダン渓谷北部のエイン・アル・ベイダとバルダラの両村への入り口近くにあった野菜売り場も破壊した。

パレスチナ自治政府保健省も、26日にジェニンでIDFによる銃撃を受けた24歳のオマール・アル・サアディ氏が29日死亡したと発表した。

26日、ジェニンではIDFの銃撃により高齢女性1人を含む市民9人が死亡した。市民20人以上が負傷し、内3人は重体のまま放置されていた。

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