
ベイルート:地震に襲われたシリアの反体制派掌握地域で瓦礫に埋もれた人々の救出活動を主導しているシリア民間防衛隊(通称ホワイトヘルメッツ)は8日、「時間との闘い」への国際的な支援を訴えた。
6日未明にマグニチュード7.8の地震がシリアとトルコを襲った時、10年前にシリア内戦の中で民間人の命を救うために結成されたこの組織からの初期対応者は素早く行動に移った。
彼らはそれ以降ずっと、内戦で荒廃したシリアの政府の支配が及んでいない北西部地域で、倒壊した数十棟の建物の瓦礫の中から生存者を救出する活動に従事している。
ソーシャルメディアで拡散したある動画には、イドリブ県の倒壊した建物の中から幼い少女とその家族全員を救出したホワイトヘルメッツに対し、周りの群衆が大きな歓声を上げる様子が映っている。
シリア民間防衛隊(ホワイトヘルメッツの正式名称)の広報担当者であるモハメド・シブリ氏は隣国トルコからAFPに対し、「国際救助チームに我々の活動地域へ来てもらわなければならない」と訴えた。
「1秒ごとに人が亡くなっている。時間との闘いだ」
6日に発生した地震により、トルコとシリアのいくつかの主要都市全体が壊滅的な被害を受け、9500人以上が死亡、数千人が負傷し、それより遥かに多くの人々が冬の寒さの中で避難所を確保できずにいる。
シリア政府およびホワイトヘルメッツによると、シリアだけで少なくとも2597人の死者が出ている。
シブリ氏は、400万人以上が住むシリア北西部の反体制派掌握地域においてホワイトヘルメッツだけでこの大規模な災害に対応するのは「不可能」だと述べた。
同氏は、「それは国家にも無理だ」としたうえで、ホワイトヘルメッツのボランティアには全ての被災地に行く時間がないと訴えた。
イギリスは8日、ホワイトヘルメッツを支援するために追加で80万ポンド(96万8000ドル)を提供すると発表した。
シリア内戦が3年目に入ろうとしていた2013年に創設されたホワイトヘルメッツは、荒廃した反体制派掌握地域で活動している。
彼らの活動は国際的な称賛を受けている。ネットフリックスのドキュメンタリー『ホワイト・ヘルメット -シリアの民間防衛隊-』は2017年のアカデミー賞を受賞し、彼らを追った2本目の映画『アレッポ 最後の男たち』は2018年のアカデミー賞にノミネートされた。
ホワイトヘルメッツのボランティアは3300人の若い男女で、そのうち1600人は捜索・救助活動に従事している。
シブリ氏は、「56時間連続で作業しているが(…)何百もの家族がまだ行方不明になっているか瓦礫の下に閉じ込められている」と話した。
また、極寒の中で「生存の可能性が下がり続けている」と訴えた。
ホワイトヘルメッツは重機、既に持っている重機の予備部品、機器などを必要としている。「だが、いつになったら手に入るのだろうか」と同氏は問いかけた。
シリア各地のAFP特派員によると、救助隊員や住民は素手で瓦礫をかき分けることを余儀なくされているという。
ホワイトヘルメッツのボランティアであるファティマ・オベイドさんはイドリブ県のサルマダからAFPに対し、チームは疲労を物ともせずに忙しく作業を行っていると語った。
彼女は、「生存者を救出できることが、言葉にできない喜びと感動をチームに与えてくれるのです」と話した。
AFP