
エファレム・コッセイフィ
ニューヨーク市:2022年8月にイスラム革命防衛隊の工作員がジョン・ボルトン氏殺害を試みて以来、米国の元国家安全保障担当補佐官、元国連大使である同氏はシークレットサービスの保護下に置かれている。
ボルトン氏はアラブニュースの独占インタビューに応じ、「完全に自由に歩き回るのとは違う種類の生活です」と語った。「しかし、代替案を検討すると、シークレットサービスの保護にとても感謝しています」
ボルトン氏はイラン政権に対するタカ派的視点で知られ、ドナルド・トランプ前米大統領の「最大限の圧力」政策の推進役と評されているが、今回の暗殺計画は、むしろボルトン氏の見解を強めただけであった。
同氏は「イランにおいて政権が交代し、本当にイラン国民の意思を反映した政府になることを望む、もう一つのささやかな理由です」とも述べた。
裁判文書によると、トランプ政権による2020年1月の無人機攻撃でのカセム・ソレイマニ氏殺害に対する報復の可能性が高いとして、昨年夏、米司法省は、イラン軍の工作員シャフラム・プールサフィ氏をボルトン氏暗殺計画で起訴した。
ソレイマニ氏は、IRGCの特殊部隊であり暴力と策略を駆使してイスラム革命を中東全域、さらには国外に輸出し、政権の目的達成を任務とする精鋭部隊であったコッズ部隊の司令官であった。
プルサフィ容疑者が逮捕されたのと同時期に、作家のサルマン・ラシュディ氏がニューヨークで公開講演を行おうとした際に複数回刺されるという事件が発生した。この攻撃は、イランと直接関係がないとしても、少なくとも1989年に政権がラシュディ氏に対して死刑宣告したファトワ(宗教令)に扇動されたものであった。
そして今年1月末、米司法省は、イラン系米国人ジャーナリストで人権活動家のマシ・アリネジャド氏へのイランから生じた殺害計画の容疑で3人の男を起訴した。アリネジャド氏はイランの人権侵害を厳しく批判してきた人物である。
ボルトン氏はアラブニュースの取材に応じ、イランによる米政府高官や海外の敵対勢力に対する脅迫を「近年まれに見る事態」と評した。
「(こうした脅威は)政権そのものが根本的にテロリストであることを示しており、核合意であれ何であれ、イラン政権が約束したことを実際に実行することを信用できない理由を示しています」
イラン政権のこの「根本的な性格」は、「イラン国民への弾圧や、その周辺地域で支援しているテロ集団の中にも日々はっきりと表れている」のだ。
ボルトン氏は、9月の全国的な反政府デモの開始以来、より大胆になっているイラン政権の標的を絞った暗殺キャンペーンに対する認識や認知があまりにも不十分であると考えている。
「イラン政府が政策に反対する声を組織的に排除しようとしていることが、まだあまり理解されていないのです」と同氏は語った。
イランが反政府デモに対し厳しい弾圧を開始して以来、ここ数カ月間、欧米の指導者たちはイランに対するレトリックを強めている。
昨年9月、22歳のマフサ・アミニ氏がイランの悪名高い道徳警察に拘束されて死亡して以来、イラン国民は街頭に出て、神政国家の女性に対する扱いや生活水準の全体的な低下に対するより大規模な運動に拍車をかけた。
米国と欧州の政府のいくつかは、イランがロシア軍に戦闘用無人機を供給しており、その無人機がウクライナの民間施設に使用されていると報じられていることについても批判している。
ここ数カ月間の欧米諸国とイランの関係悪化を背景に、米国、英国、EUは、IRGCの部隊を含む数十人のイラン人幹部や組織に対し新たな制裁を課している。
制裁を受けた人々は、EUへの渡航ができなくなり、EU域内で保有する資産も凍結される可能性がある。一方、欧州議会では、IRGCをテロ組織として認定する是非を巡る協議が進められている。
それにもかかわらず、バイデン政権と欧州の同盟国は、イランが核開発を放棄する見返りとして制裁緩和を提供するという、2015年のイラン核合意、別名「包括的共同行動計画(JCPOA)」を復活させようとしているのだ。
国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長は、核合意を「抜け殻」と呼び、この核合意の下では「JCPOAに存在したあらゆる制限事項が何度も破られた」としている。
トランプ政権は2018年、イラン政権の核開発、弾道ミサイル計画、地域全体の代理武装勢力の活動を抑制する上で十分でないとして、核合意の交渉から離脱した。
「バイデン政権がまだこの核合意の交渉の再開を望んでいるのは明らかです」とボルトン氏はアラブニュースに語った。
「『議題になっていない』、『凍結中』と言われることもあるでしょう。しかし、アメリカで言うところの『埋葬』はまだなのです。核合意はまだ生きています。バイデン政権の多くの者にとって現在のイランで見られる抵抗は、核合意に復帰するという、バイデン政権のより高い目標には不都合なものだと思います」
アナリストによれば、外交への扉を開いておくことは、イランとの真の打開策への欧米の期待の反映というよりも、イランの核開発を封じるための代替手段が尽きてきた欧米列強が直面するジレンマの反映であるという。
今のところ、交渉はないが危機もないことにすべての当事者が暗黙のうちに合意していることになる、現状維持が望ましいようだ。
制裁は継続され、資産も凍結されるなど、イランにとっては理想的なシナリオではないが、ボルトン氏は現在の体制がイランに利益をもたらすと考えている。
「イランの原油輸出は、核合意から離脱したトランプ政権が2018年に制裁を再強化して以来、現在最も高い水準にあります。そして、イランには何のペナルティもありません。彼らは中国に原油を売っているのです。そしてイランは原油を切実に必要としている中国による購入で収益を得ています」と同氏は述べた。
「従ってイランは核兵器や弾道ミサイルの開発を進め続け、地域のテロ集団や世界中の敵へのテロ攻撃を支援し続け、イラン国内の体制そのものへの抵抗をまだ抑圧しようとする限り、ずっと現状維持で過ごせるのです」
イランは現在、兵器級に近い純度60%のウランを濃縮している。欧米諸国は、イラン核合意(JCPOA)のみがイランによる実際の核兵器製造に対する唯一の抑止力となっていることを懸念している。
ボルトン氏は、この論理に「根本的な欠陥」があると考えている。
同氏は次のように述べた。「イランが核合意に違反することではなく、核合意そのものがイランに核兵器への道を許しているのです」
2015年の合意に至るまでに米国などが犯した「最大の過ち」は、イランに対して核兵器の追求を放棄する明確な決定をするよう主張しなかったことだと同氏は言う。
「正確にはその逆でした。イランは核兵器を欲しているということを内部で再確認し、この合意を利用して経済を復活させ、兵器開発だけでなく、ミサイル開発、テロなどの悪意ある活動のために、より多くの資源を確保しようとしたのです」
ボルトン氏の主張
* 女性たちの革命は、アヤトラたちの手に負えない状況である
* 1979年の革命以来、イラン政権は最も弱体化している
* バイデン政権はアラブ側の意見に「耳を傾けていない」
* JCPOAの根本的な間違いは、近隣諸国を除外したことだ
ボルトン氏は、JCPOAのもう一つの大きな欠陥は、イランの国際テロ支援やこの地域での通常の軍事活動から核プログラムを分離することが可能であると信じたことだと考えている。
「それは間違いでした」と同氏は述べた。「しかし、もっと根本的な間違いは、近隣諸国も交渉のテーブルにつけないまま、アヤトラたちと交渉したことです」
「バイデン政権は、トランプ前大統領が外交政策において、より同盟国に配慮していないことを批判していました。それにもかかわらず、GCC諸国やイスラエルなど、誰も交渉に加えようとしないのが、やはりバイデン政権なのです」
「こうした国々は、地理的にイランに最も近く、テロ攻撃やイランの弾道ミサイルの脅威、そして核の脅威に対して最も脆弱です」
「サウジアラビアとUAEは、イエメンのフーシ派反乱軍が発射したイランの無人機と巡航ミサイルの標的となっています。イランは石油産業などの民間のインフラを攻撃してきました。民間の空港にも攻撃しました」
「イランはイラクの武装集団に無人機や迫撃砲を提供し、米国や外国の拠点を攻撃し、スンニ派の拠点を攻撃し、そして明らかに行政を不安定にしようとしています。イランはヒズボラやハマスも支援しています」
「これは万人を脅かす政権です。それにもかかわらず、このテロ活動の矢面に立たされた国々は、誰一人として交渉に口を出しません。ですから、もしアヤトラたちと交渉する機会があったとしても、それが成功するとは思えませんが、優れた同盟の指導者であれば、すべての加盟国の利害を考慮するべきだと思います」
「バイデン政権がアラブ側の意見に耳を傾けているとは思えません」
2015年の『ニューヨーク・タイムズ』紙への論評の寄稿で、ボルトン氏は次のように記した。「イランの核兵器開発に対処するために『すべての選択肢がテーブルの上にある』というオバマ大統領の持説を誰もが信じていたなら、ウィーンでの合意はイランにとってそれほど有利なものではなかったかもしれない。しかし、誰もオバマ氏の軍事的脅威を真剣に受け止めませんでした。この信頼性の欠如を、イランは今でも利用しているのです。それでも、ジョセフ・R・バイデンJr.副大統領は、ウィーンでの合意はアメリカの武力行使を妨げるものではない、と神経質な民主党議員を安心させようとしています」
ボルトン氏は、現在JCPOAに代わるものは「イランの人々」にあるため、武力行使の脅威はもはや必要ないと言う。
同氏は次のように述べた。「イランの人々は国中の通りに出ています。そして、彼らはもう『アメリカに死を』とは言っていない。『アヤトラ・ハメネイ師に死を』と言っているのです」
「イラン政権は、もう国民の支持によって維持されているのではありません。そんなものは、もう消失したも同然です。政権は今では銃口を通して国を支配しています。そして、政権が崩壊する可能性が最も高いのは、軍のトップが分裂する時だと思います」
「そしてイランの女性たちが率いる抗議活動の性質上、ここでそれが起こる可能性が高いと確信しています。革命防衛隊や正規軍では、その軍司令官の全員に母親がいるのです。彼らには姉妹がおり、妻がおり、娘がいます。そして、彼らは皆、毎日夜になると同じことを耳にしているのです」
「家族や他の人たちが、いかに政権に耐えられないと思っているかを理解しているということだとも思います。そういう状況なのです。アヤトラたちにとっては持続不可能な状況です」
ボルトン氏は、バイデン政権と米国の同盟国が、抗議運動を支援するために「おそらく、イラン国内の抵抗運動を支援する人々がもっとうまくコミュニケーションを取れるように、通信機器を提供することで」もっと尽力すべきだと考えている。
「抵抗運動にはあまり中心となる指導者がいないのです。このことは、抵抗がいかに広範囲にわたっており、いかに自然発生的であるかを示しています。しかし、連携がうまくいけば、政権に反対する彼らの立場はより強固になり、イラン国外の離散ユダヤ人とのコミュニケーションも可能になります」
「そして、反対派に問うことができると思います。反対派が本当に必要としているものは何なのか。おそらく、資源や経済的な支援だけでなく、他のものも必要なのでしょう。そして、世界中の国々、近隣諸国はもちろん、欧州やその他の国々も一緒になって、自由なイランを手に入れるための真のチャンスだと言えるように努めるべきだと思います」
「ご存じの通り、イランの女性への抑圧に反対するデモというだけではありません。これは本当に革命の思想的基盤の正統性に対する直接的な攻撃そのものなのです。それに、長年続いている全国各地の経済的な不満が加われば、政権は1979年の発足以来、最も弱い立場にあるとも言えるでしょう」
ボルトン氏はさらに、「ですから、もし他の国々や米国が、私たちが国民を支援しており、国民を忘れるつもりはなく、国民を助けるためにできることがあれば、実行する用意があるとはっきり言ってくれたらと思います」と付け加えた。
「もし革命防衛隊や軍が分裂し政権が崩壊すれば、私たちは彼らを国際社会に復帰させるべく迅速に行動し、制裁を解除し、イランの石油産業を復活させるために外国投資を許可し、リビアで行ったのと同じように、核兵器開発プログラムの解体を支援し、核兵器を国外に移転して、本当にイラン国民のより良い安全のために備えをするでしょう」