
ダマスカス/ベイルート:イスラエルが19日早朝に行ったミサイル攻撃により15人が死亡し、シリアの治安機関の多くが集まるダマスカス地区にあるビル1棟が破壊された。戦争監視団が発表した。
イラン文化センターの近くが空爆され、民間人を含む15人が死亡した、とシリア人権監視団は発表した。
国営シリア・アラブ通信(SANA)は、軍事筋の話を引用して「多くの住宅が破壊された」ことを認め、兵士1人を含む5人が死亡したと報じた。民間人15人が負傷したという。
現地時間午前12時半頃、ダマスカス上空で大きな爆発音が聞こえた。SANAは、シリアの防空システムが「ダマスカス周辺の空域で敵の目標に対処している」と報じた。
2011年にシリア内戦が始まって以降、イスラエルは隣国シリアに数百回の空爆を行っている。イスラエルは主に、シリア政府と協力関係にあるシリア軍、イラン軍、レバノンのヒズボラの拠点を標的にしている。
しかし、イスラエルがダマスカスの住宅地区を攻撃することはめったにない。
19日に空爆されたのは、政府高官の住居や治安機関、情報機関本部があるカファルスーサ地区だった。
「午前0時22分(GMT22時22分)、敵国イスラエルは占領地ゴラン高原の方角から空爆を行った。標的にしたのはダマスカス・ダマスカス近郊のいくつかの地域で、住宅地区も含まれている」とシリア国防省は声明で発表した。
国営メディアが公開した映像には、空爆で10階建てのビルが激しく損傷し、低層階がつぶれた様子が映っていた。
「19日の空爆は、イスラエルがダマスカスに行った攻撃としては、最も多くの死者を出した」と、英国に拠点を置くシリア人権監視団のラミ・アブドルラフマン代表は述べた。同監視団はシリア国内に幅広い情報源を持っている。
今回の空爆の1カ月以上前に、イスラエルはダマスカス国際空港にミサイル攻撃を行い、兵士2人を含む4人を殺害した。
その1月2日に行われた攻撃では、「兵器庫を含む、同港内や同港周辺にあるヒズボラと親イラン組織の拠点」が攻撃されたと、シリア人権監視団は当時発表した。
イスラエル軍は、シリアに対する攻撃についてはめったにコメントしないが、イランがイスラエルの国境まで影響力を拡大することは許さない、と定期的に主張している。
昨年末、イスラエル国防軍作戦本部長であるオデド・バシウク少将は、同軍の2023年の「作戦の展望」を提示し、「(同軍は)シリアでヒズボラ2.0を受け入れない」と述べた。
シリア政府が2月6日に起きた地震から復興しようとしているときに今回の空爆は行われた。ダマスカスは地震の影響を受けなかったが、トルコ北部・南部では4万3000人以上が死亡した。
AP