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チュニジアのサイード大統領がデモ参加を理由に欧州労組トップを追放

チュニジアの都市スファックスで、チュニジア労働総同盟(UGTT)を支持してカイス・サイード大統領の政策に抗議する人々。2023年2月18日(ロイター)
チュニジアの都市スファックスで、チュニジア労働総同盟(UGTT)を支持してカイス・サイード大統領の政策に抗議する人々。2023年2月18日(ロイター)
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19 Feb 2023 10:02:31 GMT9
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  • エスター・リンチ氏は「ペルソナ・ノン・グラータ」と見なされ、24時間以内に出国しなければならなくなった
  • 一連のデモが組織された理由の1つは、UGTT幹部であるアニス・カアビ氏の釈放を求めるためであった

チュニス:2月18日、チュニジアのカイス・サイード大統領はチュニジア内政への「露骨な干渉」を理由に、欧州の労働組合の幹部の追放を命じた。深刻化する政権と労働活動家の対立は急速に大きな山場を迎えた。

欧州労働組合連合の会長である「エスター・リンチ氏の出国をカイス・サイード大統領の命令に基づき、チュニジア当局は命じた」と大統領府は声明で明らかにした。

声明によると、リンチ氏は「チュニジア労働総同盟(UGTT)が組織したデモに参加した上、チュニジア内政への露骨な干渉に当たる発言をした」という。

サイード大統領は、リンチ氏をペルソナ・ノン・グラータと宣言し、アイルランド市民であるリンチ氏は24時間以内に出国しなければならないと述べた。

UGTTはこの追放は「衝撃的」なものであり、チュニジア政府と世界中の労働組合との対立の端緒を開くことになったと表明した。

18日、リンチ氏はチュニジア第2の都市スファックスでUGTTが組織したデモ集会で、数千人の参加者を前に演説を行った。他にもチュニジア各地で、低迷する経済と労組幹部の逮捕への抗議集会が複数開かれた。

通訳を介し、リンチ氏は「ヨーロッパ全域の4,500万の労働者から連帯の」メッセージを伝えにやってきたと述べた。

「政府に言いましょう。労働組合から手を引きなさい。私たちの指導者を解放しなさい」と彼女は言った。

政府は「UGTTとの交渉の席に着き」、国が抱える数々の問題の「解決策を探る」べきだとリンチ氏は付け加えた。

一連のデモが組織された理由の1つは、UGTT幹部であるアニス・カアビ氏の釈放を求めるためであった。カアビ氏は1月31日、料金所で働く人々のストライキの後で逮捕された。

UGTTはカアビ氏の逮捕は「組合の業務への打撃であり、労組の権利を侵害するもの」と主張している。

サイード大統領が内閣を罷免し、ほとんどすべての権力を掌握してから1年半が経過した。この出来事は、2011年に民主派デモが起こり、アラブ世界全体に波及したまさにその地で起こった。

大統領によるこの措置を、反対派の人々はクーデタと呼んできた。サイード大統領はチュニジアを独裁体制に引き戻したとして、再三批判を浴びている。

UGTTのサミ・タヒリ報道官は民間ラジオ局「モザイクFM」に対し、リンチ氏の発言の主旨は「組合を組織する権利の擁護であって、内政干渉ではない」と述べた。

「(リンチ氏の追放に)我々は抗議します。チュニジアに不名誉をもたらす行為です。恥ずべきことであり、国益を損なうことになるでしょう」と報道官は指摘した。

UGTTのオトゥマネ・ジャルーリ副会長はデモ参加者に「今や、あらゆる組合員が自分の意見を表明しただけで解雇される可能性がある」と語りかけた。

現在、チュニジアは国際通貨基金と救済融資をめぐる長期の交渉中であり、UGTTは融資の条件として痛みを伴う緊縮財政が求められるだろうと警告している。

最大規模となったスファックスの集会では、参加者は「チュニジアを売りに出すな!」「補助金廃止に反対」などと繰り返した。

抗議の印として、物価の急騰を表すためにパンの塊を掲げる人々もいた。

カアビ氏は2月23日から「地位を利用して公権力に害を与えた」罪で裁判にかけられる。

ジャルーリ氏は次のように話した。「政府は経済と社会改革への道筋をつけることに失敗しました。成功していることと言えば、労組への攻撃だけなのです」

18日の大規模抗議集会は、高まるUGTTの反大統領キャンペーンの表れであり、組合側は政治家、ジャーナリスト、判事2名、UGTT幹部を含む反政府派の人々が最近逮捕されたことで、政権批判を強めている。

これらの逮捕により、反対意見を封じる弾圧がさらに強まるのではないかという懸念が生じている。国連人権高等弁務官事務所は彼らの即時釈放を求めた。

100万人以上の会員を擁し、ストライキ時には国中を活動停止に追い込んだUGTTは、政府は経済不況から人々の注意をそらすために表現の自由を圧殺しようとしているのだと批判している。

(AFP・ロイターとの共同)

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