
アラブニュース、ジッダ
30日、フランスのエマニュエル・マクロン大統領とトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領の舌戦が激化。マクロン大統領はトルコのリビアへの干渉を批判し、フランスは軍艦を派遣し、東地中海のエネルギー資源をめぐってトルコ政府と対立するギリシャを支援すると発表した。
最初にマクロン大統領は、シリア傭兵を乗せた船をリビアに送ったことはベルリン和平会議に違反するとしてトルコを批判した。この会議では世界の指導者たちが紛争に関わらないことに同意している。
「これはベルリンで合意された内容に対する明白かつ重大な違反だ。約束が守られていない」とマクロン大統領は述べた。
フランス紙『ル・モンド』もトルコによってリビアに連れてこられたシリア人傭兵数人が脱走し、イタリアに逃れたとするフランス情報機関の主張を引用した。
しかしトルコの外務省はマクロン大統領の主張を「作り話」だと否定し、リビアの情勢不安をの責任はフランスにあると非難した。
フランス政府とトルコ政府の関係が悪化したのはこれが初めてではない。例えば昨年シリアのクルド人組織の幹部とマクロン大統領の面会、北大西洋条約機構(NATO)、東地中海でのトルコの石油や天然ガスの掘削活動などの問題が両国に深い溝を生んだ。
安全保障専門家のオーデッド・バーコウィッツ氏は、複数の国がリビア問題に関与したことで、政治的な解決が難しくなったと述べた。
同氏はアラブニュースに次のように語った。「トルコがリビア国民合意政府(GNA)を支援するために介入を行ったように、多くの国が自国の利益のために関与すれば、それだけ状況は複雑になっていきます」
また、ベルリンで開かれた和平会議は「善意によるもの」だったが、そこで決まったことは簡単に破られたと述べた。
オックスフォード大学の客員研究員ガリップ・ダライ氏は「トルコとヨーロッパ間の危機の中心は、ベルリンからパリに移りつつある」と述べた。
トルコの東地中海での,エネルギー開発をめぐる論争が激化する中、ギリシャのニコス・パナジオトポウロス国防相は最近、トルコの挑発的な行為を批判し、ギリシャに属するエーゲ海の16の島々を分割する要求を拒否した。
ランド研究所の研究助手兼中東専門家のネイサン・ベスト氏は、トルコとフランスの激しいやり取りは、リビア危機への国際的なアプローチがバラバラであることを浮き彫りにしていると述べた。
同氏はアラブニュースに次のように述べた。「ドイツのように外交的に紛争を解決しようと誠意を持って努力している国もありますが、トルコもフランスもこういう国とは違います。両国は互いに紛争の反対側の勢力を熱心に支持し、軍事的解決が実行可能か、または少なくともより有利な解決手段と考えています」
「主要な交戦国を国際的に支援する側がそのように感じている限り、紛争は継続され、和平プロセスは損なわれます」