
ラマッラー:占領地域およびイスラエル国内に所在するパレスチナ人らは、イスラエル人らによる怒りの集団抗議活動の激化を慎重に見守っている。
ベンヤミン・ネタニヤフ首相が提案しているイスラエル法制度の抜本的改革という物議を醸す計画に対して、何万人ものイスラエル人が反対デモを行っている。
デモ参加者は、立法府や行政府に対して不利な判決を下す最高裁の権限を制限し、議員らに対して裁判官の任命を決定する権限を与えるという、ネタニヤフ首相および首相の右派・宗教的同盟者が成立を目指している法案に反対している。
同法案の支持者は、最高裁が政治領域に踏み込み過ぎないよう抑制する必要があると述べる。だが同計画は、裁判所を弱体化させ、市民の自由を脅かし、経済に悪影響を与えるとともに、イスラエルの西側同盟諸国との関係性にも悪影響を及ぼすと批判されている。
パレスチナ人の中には、極右イスラエル政府の政策が司法改革に関連しており、自分達の政治的、実存的な将来に影響を及ぼすかもしれないと警戒する人もいる一方、楽観視してデモを支持する人もいる。
また、デモはイスラエル国内の問題であり、関心を示すべきではないと考える人もいる。
しかしパレスチナ人は一般的に、イスラエル政治において生じるあらゆる出来事は、安全保障、生活、経済、または政治に至るまで、イスラエルの占領下で暮らす自分達に対して直接的な影響を及ぼすということを認める。
イスラエル問題に詳しいパレスチナ人であるエスマット・マンスール氏は、アラブニュースに対して次のように語った。「実施予定である改革の大部分は、イスラエルの司法を弱体化させるものです。そして司法とは、パレスチナ人にとって、イスラエル占領軍が自分たちに対して行った措置に対する異議や不服を申し立てる先なのです」
彼は、クネセト(イスラエルの議会)が制定した法律や、イスラエル軍が占領地域のパレスチナ人に対して行った軍事的決定の一部は、イスラエル最高裁判所により取り消される可能性があると付言した。
大多数のパレスチナ人はイスラエルの司法を信用せず、占領軍が自分たちに対して行った行動への異議申立をするためにイスラエルの裁判所に赴くことはしない傾向がある。
マンスール氏によると、1993年、イスラエルの最高裁判所は、レバノンのマルジ・アル・ズフールへの数十人のパレスチナ人の強制送還を取り消したという。
さらに最高裁は、イスラエルがイスラエルとヨルダン川西岸地区との間のパレスチナ土地上に建設した分離壁のルート変更を支持し、4年前にはラマッラの東に所在するオフラ入植地付近のアモナという不法入植地の撤去も支持したことがあると付け加えた。
マンスール氏は、同様に、昨年秋にはナブルスの南、ジャバル・アブ・スベイ付近のアビター入植地を撤去させたと述べた。
「したがって、この極右政権がイスラエル司法を弱体化させる法案を可決すれば、イスラエル政府、軍隊および入植者がパレスチナ人への攻撃を継続することが可能となるのです」
マンスール氏は、イスラエルの世論は、政府を選出し、覆すことができるため、パレスチナ人にとって最も重要な聴き手であると述べた。
別のパレスチナ専門家も同意し、イスラエルのデモは「イスラエルにもヨルダン川西岸地区の併合と二国家解決の廃止に反対する人々がいるという希望をパレスチナ人に与えました」と述べた。
別の見解によると、最高裁は過去に、在外パレスチナ人の強制送還、およびイスラエルが保管するパレスチナ人の遺体返還についてのパレスチナ人の請願に応じたことがあるという。
匿名を希望したあるファタハ幹部は、アラブニュースに対してこう語った。「私たちは、彼らの内紛に干渉することを望んでいません。
特に、私たちの状況や未来に関わることではありません。イスラエル最高裁判所は、占領軍の国民に対する犯罪を捕捉するために設立されたのです」
パレスチナのある情報筋がアラブニュースに語ったところによると、デモのイスラエル人主催者は、反ネタニヤフ集会に参加しているイスラエル右翼のメンバーを刺激しないように、イスラエルにいるパレスチナ人に参加しないように求めていたという。
パレスチナ自治政府およびイスラエル国内に住むパレスチナ人がデモに対して沈黙したのは、イスラエル右派がデモの主催者を批判し、彼らの立場を弱めるために利用されたくないという思いからであると、情報筋は述べる。