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被災地の女性人道支援者を称えて

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08 Mar 2023 12:03:01 GMT9
08 Mar 2023 12:03:01 GMT9
  • 震災被災者を支援するため女性支援者・女性ボランティアが集結した

ジュマナ・アル・タミミ

ドバイ:紛争や自然災害の中で、女性は特に脆弱で、無力な人々であるとみなされることが多い。実際に、国連の統計によると、女性と子どもは男性の14倍も自然災害で亡くなる確率が高いと言われている。

しかし、パキスタンの洪水やトルコとシリアの地震など、最近の自然災害では、壊滅的な大災害後に、いかに女性のエンパワーメントが地域社会で主導的役割を果たすことを可能にしたかが示されている。女性の移動に社会的制約がある社会においても、女性はこうした惨事に立ち向かうために立ち上がってきたのである。

数万人の死者と数十万人の家を失った2月6日のトルコ南部とシリア北部の地震が発生したすぐ後で、数十人の女性が被災地に駆けつけた救助隊員に加わった。他の女性たちは、食料や援助の配布をボランティアで手伝い、組織と協力し、さらには自分たちで暫定的なグループを作った。

また、トルコのソーシャル・ガストロノミー・シェフ、エブル・バイバラ・デミル氏のように、寒さの中で被災者のために温かい食事を用意するべく休むことなく働く女性もいる。

トルコの広範囲を襲った地震のニュースが入った時、デミル氏はイスタンブールで仕事の打ち合わせに出席していた。同氏の住むマルディンは、地震で大きな被害を受けた。その直後から、デミル氏は同僚でシェフのトゥレブ・ウルダグ氏とともに、地震で被災したオスマニエの街で人々に食事を提供するために料理を作り始めた。市内の青少年スポーツ省の寮の厨房で炊き出しが行われ、ボランティアチームは初日だけで2万5千食を調理した。

「初日、私たちは本気で急いで仕事をしました」とデミル氏はアラブニュースに語った。「食材だけでなく炊事、洗濯、料理の下処理などのボランティアが必要で、告知を始めました。様々な都市から友人やシェフ、ボランティアが集まってくるようになりました。各ブランドも、食料や物流など、私たちが必要とするものを支援してくれるようになりました。支援の持続力が非常に重要でした」

この街で調理システムが確立されると、2人のシェフは地震で被害を受けた残りの3都市であるカフラマンマラス、イスケンデルン、アディヤマンに移動した。4都市合計で毎日35万食近くが配給されている。

「女性も男性も子どもも、そして老いも若きも手を取り合って、誰もが一緒に助け合っています。しかし、私は女性がこの世界を救うと思っています」とデミル氏は語った。

この地震により、トルコでは約42,300人が死亡し、同国の経済損失は250億ドルに達すると推定されている。

隣国シリアでも、女性たちが地域社会を救うため重要な役割を果たしている。

「私にとっては、大きな変化(が起きています)」と、シリアの看護助産師ナジャ・ハレド氏はアラブニュースに語った。自国での地震発生後、同氏は医師2名、看護師2名、薬剤師1名からなるチームの一員として、困っている人たちに医療サービスを提供するボランティアに参加した。

地震後、ハレド氏は故郷のアレッポの北にあるアザーズでの医学研究を中断し、地震で被災した同国北西部のアフリン地方の町ジンデリスに毎日通った。

「人生において、自分の個人的な利益を追い求めたり、困難な時にどうでもよくなることを尋ねたりするよりも、ずっと重要になることがあります」と同氏は語った。

「女性は、家族がどのような問題に直面しているのかをよく知っています。女性は、他の女性、特に立場の弱い女性が苦しんでいる問題について、感じ取っているのです。そのような問題が女性に失望感を抱かせ、決断力を失わせるのです」

国連の統計によると、この地震により7,400棟の建物が全壊・半壊し、シリアの900万人近くが影響を受けている。この自然災害は、この地域の厳しい冬とコレラの大流行と重なり、10年以上にわたる戦争で破壊された同国での人道支援提供の課題に拍車をかけた。

「もし私たちが本当に女性のエンパワーメントを支援するのであれば、今こそ行動を起こすべき時です」と、善行は人目を引くものではないという信念から匿名を希望したシリアの女性援助活動家、E.A氏はアラブニュースに語った。

「シリアで初めて、救助活動を行い、瓦礫の下から人々を救い出す市民防衛チームのメンバーに女性が加わっています」と同氏は語った。

E.A氏は、シリア戦争のために高等教育を受けることを中断せざるを得なかったが、女性の自信を育み、家族のために収入を得られるようなスキルを教えるプログラムに取り組み始めた。

「私は(過去数年間)女性たちと仕事をしてきましたが、もし現時点で、女性たちが必要なものを手に入れられるように支援しいのであれば、正直、平時に私がいる必要はありません」と、アフリン地方在住で、ボランティアや支援のために毎日ジンデリスに通っているE.A氏は語った。

「私は自分には被災された方々に対する責任があると思っています。アフリンも被災しましたが、私は被災していないので、困っている人たちを助けなければいけないと思っています」と同氏は語った。

E.A氏は7人の若い女性と男性からなるチームを率いており、シリア内外の個人からの寄付によって資金を調達している。このグループは衣服、薬、生理用品など、震災被災者に必需品を提供している。

このグループは、支援構想で見過ごされ、かつ明確に助けを求めない個々の事例を探し出している。このグループはさらにテントの設置や、地震で家を失った人たちが設営したテントの近くへのトイレの設置、壊れた家の修理が必要な人たちへの生活資金援助の支援も行っている。また、電気や水などの基本的なサービスを提供しているグループもある。

「しかし、一番難しいのは、最愛の人を失った人たちが悲しむ時間もなく、行き場を失っていることだと思います」とE.A氏は語った。「女性は強くあろうとするものですし、強さを見せようとします」

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