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打たれ強さと愛、勇気ある女性の重要な役割に敬意を表して

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08 Mar 2023 01:03:45 GMT9
08 Mar 2023 01:03:45 GMT9
  • 国際女性デーには、正義のために戦い、社会に貢献した女性たちが称えられる

ナディア・アル・ファウル

ドバイ:36歳のシリア・パレスチナ難民ラヤルさんは、ベイルート郊外の老朽化した建物に住んでいる。シリア人の父とパレスチナ人の母の間に生まれた彼女は、2014年に家族とともに、シリアの過酷な戦争から隣国レバノンに逃れてきた。

ラヤルさん一家は、シリアとパレスチナの難民の暮らすただでさえ貧しい社会の中で、今や途方もない苦難に日々直面している多くの人々の中の一員だ。

彼女は、同じ経験を持つ何千人もの若い女性のうちの一人だ。戦争で荒廃した国に住むパレスチナ人、イラク人、シリア人、そして極めて困難な状況下で暮らすその他多くの人々が、それでもなお地域社会における、責任を担う一員となるための方法を見出している。

国際女性デーには、あらゆる階層の女性が、コミュニティへの貢献を通じて、その打たれ強さ、忍耐力、愛情を称えられる。

レバノン経済は急落の一途をたどっている。通貨は2019年以降95%以上の価値を失い、現在1ドルは9万8,000レバノンポンドで取引されており、80%の人々が貧困ライン以下で生活している。

難民は、その身分ゆえに妥当な仕事を見つけるのに苦労しており、多くの人が公的書類や法的な居住権を持たないため、選択肢、時には行動が制限されている。

「うちの男たちは、落ち着きがなく、怒りっぽくなっています。食費を稼げないことで、彼らは劣等感を抱いています。子供たちは空腹のまま眠りについています」とラヤルさんはアラブニュースに語った。

「私はよく、親しい友人である隣人のところにコーヒーを飲みに行きます。私たち自身、無力感と落ち着きのなさを感じていました。そんな中、食事を作って近所に配るというアイデアを思いついたのです」

ラヤルさんと2人の女友達は、週に3回集まって12家族以上の食事を作っている。各自が家庭から出せるものを持ち寄り、時には人から食材や寄付をもらうこともある。

貧しい地域に住んでいながらも、ラヤルさんと友人たちはより恵まれない人々に食事を提供している。こうした取り組みが、女性の打たれ強さの一例として国際女性デーで称えられているのだ。

「私たちは、子どもたちが毎晩お腹を空かせたまま眠りにつくことがないように自分たちのコミュニティに食事を提供することで、自尊心が高まるのを感じています。父親も母親も、今レバノンが置かれている悲惨な状況の中で、懸念事項が少し減っています」とラヤルさんは述べている。

これは昔からある話ですが、女性たちは自分たちのコミュニティ、そしてさらには自分たちから遠く離れた人々の面倒を見るという課題に向け立ち上がっているのです。

1時間弱離れたガジールでは、50歳のレバノン人女性、ジャンヌ・アザールさんが、自宅を8歳から11歳の子どもたちのための学校にしている。

アザールさんは、自分の子どもたちがフランスに留学していることを恵まれていると思うという。一方で彼女の周りには、経済的な理由で子どもを学校に通わせられない、貧困にあえぐ親たちの悲惨な姿がある。

「私は大きな家に住んでいて、夫はよく出張に行きます。そこで私は週に4回、子どもたちに自宅に来てもらい、基本的な数学とフランス語、そして歴史を少し教えることにしました」とアザールさんは言う。

子どもたちは週5回訪れ、一日最大4時間過ごす。

ブルーカラーの労働者や清掃員の子供もいれば、仕事を失い、子供に学校を辞めさせざるを得なくなった親もいる。

女性と少女たちは、ジェンダー不平等とジェンダーに基づく暴力の矛先を向けられ続けている。少女たちは経済的困難のため、幼いうちに結婚させられてしまうことがある。両親は他に選択肢がないと考え、結婚を解決策としてしまうのだ。そのため、少女たちは虐待や健康上の合併症に見舞われることが多い。

レバノンでは何年も前から、子どもや女性の権利のために戦う女性たちが、広範な抗議活動の原動力となってきた。

貧困家庭にとって、ラヤルさんやその友人、ジャンヌ・アザールさんのような女性たちは、地域社会にとって天の恵みだ。

食事も教育も政治的なものではなく、また信条や所属も関係なく、ラヤルさんとアザールさんは困っている人たちに奉仕している。

「私のコミュニティでは、10代前半の女の子が、親の口減らしのために結婚させられているのをよく見かけます。食事を提供するという単純なことが、少女の将来を救うことになるという事実は、私にとって現実離れしているのです」とラヤルさんは語る。

ジャンヌ・アザールさんも、自分が教える子どもたちにお茶やクッキー、スナックを提供している。

「私のクラスには男の子も数人いますが、妹や母親であれ友達であれ、女性を尊重することの大切さを彼らに教えることができ、とても嬉しく思っています。女の子たちは彼らと対等なのです。私は、彼らがその教えを心に留め、家族であれ友達であれ、周囲の環境から、あるいはアンドリュー・テイトのようなインターネットに影響された、女性を蔑視する見方を持つかもしれない少年たちを啓発してくれることを願うばかりです」

国際女性デーは、何百年もの間、女性が自己を主張し、権利を確保するために運動してきた結果である。古くは1913年にアメリカで政治的権利を求めて行進した女性参政権運動家たち、1974年に選挙に立候補する権利を得たヨルダンの女性たち、2011年に抑圧からの解放を訴えたシリアの女性たち、そして今日、奉仕活動によってコミュニティから英雄視されるラヤルさんやジャンヌ・アザールさんなどの女性たちに至るまで。

10年以上にわたる戦争の影響を受け、貧しい地域に住む多くのシリア人女性は、困難な状況を生き抜くための方法を見出している。しかし、いわゆる「幸運な人」だけが、その道を切り開くことができる。

エミー賞を受賞したドキュメンタリー映画『娘は戦場で生まれた(原題:For Sama)』の制作者であるワアド・アルカティーブ氏は、アサド政権による激しい砲撃の中、アレッポで過ごした日々を記録している。

アルカティーブ氏は当時、長女サマを妊娠していた。彼女の物語は世界中の母親たちの共感を呼び、シリアの女性たちが経験したこと、そして今も経験していることに光を当てた。

その後、彼女は「Action for Sama」というキャンペーンを立ち上げた。このキャンペーンは、戦争中の市民の苦難に対する認識を広め、ただでさえ脆弱な国における医療施設に対する攻撃を止めるための活動だ。

さらにこのキャンペーンでは、戦争犯罪に対する説明責任も求めている。

長年ジャーナリストとして活躍してきたアルカティーブ氏は現在、家族とともに英国に在住し、マリー・コルヴィン・ジャーナリスト・ネットワークを通じて若い女性ジャーナリストの指導にあたっている。彼女はシリア戦争の惨状に光を当てるプロジェクトに引き続き取り組んでいる。

2018年にメラニア・トランプ氏から表彰されたイラク人女性アリヤ・カラフ・サレ氏は、過激派テロリスト組織ダーイシュから58人の若者を救った。

ウンム・クサイ(Umm Qusay、クサイの母)として知られる彼女は、キリスト教徒、クルド人、ヤジディ教徒の男性を匿った。ダーイシュに捕まれば彼らの死は確実だった。シーア派のイラク人男性には、スンニ派の礼拝の仕方を教え、徴兵される恐れがあった男性には大学の学生証を与えた。

サレ氏は、しばしば彼らを自分の農場に匿い、可能な時には安全な場所に密航した。

その勇敢さを称えられ、彼女は米国国務省から「国際勇気ある女性賞」を授与され、スンニ派でありながらシーア派の高い宗教的栄誉まで与えられた。

サレ氏は、彼女が救った男性たちと今も連絡を取り合っている。

国際女性デーに、私たちは自分自身とコミュニティの生活のために戦い続ける人たちを称える。作家の故マヤ・アンジェロウはこう言った。「女性が自分自身のために立ち上がるなら、それはすべての女性のために立ち上がるのと同じなのです」

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