• 米国防省の声明：オースティン長官は一方的な行動を止めるよう求めた
• 9日早朝にジェニンの南のジャバ村でパレスチナ人3名が殺害された

モハメッド・ナジブ

ラマッラー： 9日、ロイド・オースティン米国防長官はイスラエルの指導者らに対し、占領下のヨルダン川西岸地区における緊張を緩和する措置をとるよう求めた。この状況はイランの脅威への対応に同盟国が注力することを妨げるという懸念が、現在ワシントンで高まっている。

地域歴訪中の米国防長官はベン・グリオン空港に降り立った。この訪問の予定は、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の司法制度改革計画に対する路上抗議の高まりにより、急遽変更された。

その数時間前、ヨルダン川西岸地区においてまた新たに発生した暴力事件の中で、イスラエル軍がパレスチナ人民兵3名を殺害した。

オースティン氏のネタニヤフ氏との会談に関する米国防省の声明は次のように述べている。「オースティン長官は、パレスチナ人とイスラエル人が同等の自由、安全、機会、正義、尊厳を享受する2つの国家という永続的な目標を損なう一方的な行動を止めるよう求めた」

オースティン氏とネタニヤフ氏の空港での会談は1時間以上に及んだ。

「オースティン長官は（ヨルダン川西岸地区とイランの）両方の問題について話すことが十分にできる」と、匿名を希望する米国防省高官がロイターに語った。

しかし、この高官はさらに、イスラエルがヨルダン川西岸地区に気を取られていると、「目下の戦略的脅威、すなわちイランの核計画の危険な進行と継続する地域的、世界的攻撃への我々の集中力が妨げられる」とも述べた。

ジェニンのパレスチナ人らは、ジェニンの南に位置するジャバ村における9日早朝のパレスチナ人3名の殺害に対する怒りをあらわにした。

今回の殺害により、今年に入ってからイスラエルによって殺害されたパレスチナ人は78人となっており、うち14人は子ども、1人は女性で、33人はジェニン地域の人々だ。

パレスチナ自治政府関係者や指導者はイスラエルの好戦的姿勢を激しく非難し、報復を誓った。

ジェニン知事のアクラム・ラジューブ少将はアラブニュースに対し、 ジェニンに対する不相応な武力の行使の目的は、パレスチナ人の意志を打ち砕き、他の都市の住人を威嚇して、占領に抗わないようにすることだと述べた。

ラジューブ氏はイスラエル軍のやり方はパレスチナ人への集団懲罰にあたると語った。

そして次のように述べた。「イスラエル人たちは、パレスチナの人々に対してどれほどの恐怖を用いようとも、彼らの意志を打ち砕くことはできないと認識すべきだ」

他方、サウジアラビア外相のファイサル・ビン・ファルハーン王子は、中東の安定実現を目指す上でのパレスチナ問題が公正な解決に至ることの重要性を強調した。

モスクワで行われたロシア外相との共同記者会見の中で、サウジアラビア外相である王子は、パレスチナ問題に対するロシアの姿勢と国際的解決策およびアラブ和平イニシアチブへの継続的支援を称賛した。

また、イスラエルの危険な過激化によって、パレスチナの状況は憂慮すべきものとなっており、和平実現のために対話の道を回復する方法を模索することが急務となっていると述べた。

パレスチナ人活動家らは、ジェニンでのオペレーション中にドローン「トール（Thor）」を撃ち落とす人々の動画を投稿した。

パレスチナ人戦闘員らはヨルダン川西岸地区でイスラエルのドローンを標的としており、「トール」は低空飛行で攻撃目標となり得るエリアを写真撮影している。

イスラエル軍は昨年10月にナーブルスの旧市街にあるAl-Yasmina地区で20機以上のドローンを用いて「獅子の巣」グループへの攻撃を行い、複数の死傷者を出した。

一方、パレスチナ人の間ではイスラエルに対する抗議運動の有効性について議論が行われている。

ファタハ副総裁補佐のアブドル・ムネイム・ワーダン氏はアラブニュースに対し、ストライキは古い抗議手法であり、いまや効果的ではないと語った。

同氏は次のように述べている。「実際、殉教者の死に怒りを表明することは重要だが、こういった殉教者たちが生きていたならば、彼らに敬意を表するためにストライキを宣言する我々を見て喜びはしないだろう」

「我々が街を閉ざす時、誰に対して抗議しているのだろう。パレスチナ人の社会を罰し、その負担を増やしているだけだ。もはやストライキは殉教者の死への怒りを表現する適切な形ではない」

「おそらくストライキという手段は、東エルサレムやイスラエル国内にあるパレスチナ人の都市や町で行うならより有効だが、ラマッラーでは閉ざされる店はパレスチナ人社会のためのものなのだから、有効ではない」