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国連、イエメンに対しサウジ・イラン合意を機に和平を選ぶよう求める

安全保障理事会会合にリモート参加し画面に映るハンス・グルンドベルグ国連イエメン担当特使(右)。(ファイル/AFP)
安全保障理事会会合にリモート参加し画面に映るハンス・グルンドベルグ国連イエメン担当特使(右)。(ファイル/AFP)
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16 Mar 2023 04:03:42 GMT9
16 Mar 2023 04:03:42 GMT9
  • グルンドベルグ特使は安保理で、地域ではイエメン内戦終結に向けた交渉の「幅広く深い変化」が起こりつつあると述べた
  • 米国の大使は、サウジ・イラン合意が「内戦の永続的解決を確保する」ための努力に貢献することに期待を表明した

エファレム・ コッセイフィ

ニューヨーク:国連イエメン担当特使は15日、先日サウジアラビアとイランが国交回復の合意を結んだことを歓迎し、地域では長く続くイエメン内戦の終結に向けた交渉の「幅広く深い変化」が起こりつつあると述べた。

ハンス・グルンドベルグ特使はイエメンに関する安全保障理事会会合において、サウジアラビアとオマーンによる仲介努力を称賛するとともに、イエメンの全当事者に対し、この「地域外交の新たな機運」がもたらす機会をとらえて「平和な未来に向けた決定的な措置」を取るよう求めた。

サウジアラビアとイランは先週北京で、2016年以来断絶していた国交を回復することに合意した。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長はこの合意を歓迎し、イランとサウジアラビアの良好な関係の「湾岸地域の安定にとっての」重要性を強調した。

中国の耿爽(ゲン・シュアン)国連次席大使は、この合意について次のように述べた。「不確実性と不安定性をはらむ現在の世界にとって明るいニュースであり、地域の平和、安定、結束、協力の情勢に前向きな要素をもたらすものだ」

また、この合意がイエメンの状況改善に資する条件を作り出すことに期待を表明した。

耿大使は、「北京での対話は外交の成功例だ」としたうえで、中国は「イエメン問題の解決と中東の平和・安定の維持に向けた揺るぎない取り組み」を継続すると約束した。

米国のジェフリー・デローレンティス国連次席大使も、サウジ・イラン合意が「イエメン内戦の永続的解決を確保し、イランからフーシ派への軍事支援が続いている問題に対処し、イエメンの政治プロセスに対するイランの支持を取り付ける」ための努力に貢献することに期待を表明した。

デローレンティス大使は、「地域の安定を実現するための取り組みを歓迎する」と続けた。

イエメンでは、2022年4月のイエメン政府とフーシ派の間の停戦以降、戦闘の小康状態がこれまでで最も長く続いている。しかし、2022年10月上旬に停戦が期限切れになってからは衝突が散発的に発生している。

グルンドベルグ特使は、治安情勢は依然として脆弱だとしたうえで、全当事者に対し、「最大限の自制」を行い激化を煽るレトリックを控えることで状況の不安定化を回避するよう求めた。

同特使は次のように述べた。「治安情勢は比較的安定なままだが、今後について何の合意もないため、イエメンは不安定な政治的待機状態にあるように思えるかもしれない。しかし、イエメン内戦終結のための熱心な外交努力が様々なレベルで行われている」

ジョイス・ムスヤ人道問題担当事務次長補兼緊急援助副調整官は安保理メンバーらに対し、イエメンで飢餓に直面する人々の数が200万人減少し、最悪の飢餓状態にある人がゼロになったことを報告した。

また、この改善は人道支援従事者による「不断の努力」、「寄付提供者からの惜しみない支援」、そして停戦のおかげだと述べた。

「しかし喜んでばかりもいられない」とムスヤ氏は警鐘を鳴らした。「イエメンは依然として不安定な緊急事態にあるからだ」

同氏によると、アクセス・安全面の課題、資金不足、経済問題などが「ますます多くの人々を貧困に追い込んでいる」中、1700万人のイエメン国民が生存と保護を援助に頼っている。

ムスヤ氏は、フーシ派が支配地域での援助プロジェクトの承認を加速していることを歓迎しつつも、「そのような希望の光」はあるもののアクセス・安全面の全体的な状況は依然として悲観的だと述べた。

「フーシ派支配地域では、援助活動に従事するイエメン人女性は依然として男性の保護者が同伴しなければ移動できない」と同氏は指摘した。「このことは、女性や少女たちを安全かつ確実に支援する各組織の能力を大きく妨げている」

そしてフーシ派に対し、援助活動に対する移動制限を全て撤廃するよう求めた。

また、2021年11月にフーシ派により拘束され今もサヌアで拘留されている国連職員2人の即時解放を呼びかけた。

ムスヤ氏は一方、寄付提供国に対し、最近開かれたイエメンに関する誓約会議で行った約束を守って直ちに実行するよう求めたうえで、イエメンの1700万人を支援するためには43億ドルの人道援助が必要だと指摘した。

UAEのモハメド・アブシャハブ国連次席大使はフーシ派に対し、「和平の呼びかけを聞き入れ、紛争終結に向けた提案に真摯に応じる」よう求めた。

また、フーシ派が自らの利益の追求に固執するなら、「我々は彼らに、今も続く多くの人々の窮状の全責任を取らせる」と警告した。

アブシャハブ大使は、イエメンの人々に経済的・政治的人道支援を提供するサウジアラビアの取り組みを称賛しつつ、UAEはイエメン大統領指導評議会を支持すると改めて表明した。

また、「フーシ派が民間人や民間インフラに対して行っている国際人道法違反や人権侵害」をやめるよう呼びかけた。

「イエメンの港に対する攻撃から、封鎖や地雷の使用、恣意的な拘留、拷問、強制失踪にまで至るこれらの侵害を、我々は強く非難する」

女性や子供に対する侵害が特に懸念されると同氏は述べた。

「フーシ派はサマーキャンプなどを利用した子供の洗脳作戦や、過激主義イデオロギーを含むよう公立学校のカリキュラムを変更することを続けている」

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