
テルアビブ:イスラエルで15日夜、数千人がテルアビブの街中に再度繰り出し、民主主義への攻撃と彼らがみなす政府の司法制度変更案に抗議した。
ベンヤミン・ネタニヤフ首相は3月27日、議会で審議され、国を分断していた変更案を「一時停止」させると宣言したが、それ以降、15週連続で抗議活動が起きている。
デモ隊が振る多数の国旗に混じって、「民主主義を守ろう」と書かれたボードもあった。AFPの記者によると、現場では発煙弾や発煙筒もたかれたという。
ハイファの北の港やモディーンにあるヤリブ・レビン法相の邸宅の外でも小規模なデモがあった。
これまでの複数のデモと同規模の数万人が抗議した、とイスラエルメディアは伝えている。
「私たちの民主主義のために闘っています。私たちにはこの国しかありません」。デモに参加していたナダブ・タミールさん(61歳)はAFPにそう語った。
テルアビブで精神科医をしているカレン・バロンさん(45歳)は「今日来たくはなかったのですが、『こうするしかない』と姉に言われたのです。それは正しい意見で、本当にこうするしかないんです。気を抜くことはできません。祖国を守らなくては」
政府の法案は、最高裁判所の権力を弱め、政治家が判事を選ぶ権限を強める内容だ。
首相率いるリクード党が極右政党や超正統派のユダヤ政党と連立しているネタニヤフ政権は、政治家と司法機関の力を再調整するために制度変更が必要だと主張している。
15日のデモの前日には、米国の格付け会社ムーディーズがイスラエルの見通しを「ポジティブ」から「安定的」に引き下げた。
変更は「政府による国の司法制度変更案を巡る最近の出来事に表れているように、イスラエルの統治体制の悪化を反映したもの」と同社は説明している。
「政府は市民の抗議によって法案の審議を中断し、野党との対話を模索しているが、幅広い同意を得ずに広範囲に及ぶ改革を推し進めようとする政府のやり方は、組織の弱体化と政策の予測不可能性を物語っている」
ロイター