
ロンドン:駐イギリス・スーダン臨時代理大使は、スーダンを覆っている暴力の責任は準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」にあると正面切って非難し、同組織に武器を捨てるよう要求した。
ハリド・モハメド・アリ・ハッサン臨時代理大使はアラブニュースに対し、RSFはスーダン国軍への迅速な統合を受け入れ、流血の責任を取る必要があると語る。
「かつてはスーダン国軍の一部だったRSFがこの暴力を開始し、国軍とその総司令部だけでなく(アブドゥルファッターフ・)アル・ブルハン将軍自身をも攻撃したのだ」
「国際人道法への配慮や尊重もなく、軍の規律もないまま無謀に振る舞っている。軍ではなく実際のところ民兵組織だからだ(…)家族を人質に取り(…)民間人を盾として使うことまでした」
「世界に知ってもらう必要があるのは、これが二人の将軍の間の戦争ではなく、この反体制勢力による反乱であり、スーダン国軍は民間人を守るためにそれに応戦しているということだ」
ハッサン臨時代理大使が取材に応じたのは、サウジアラビアと米国の仲介による紛争当事者間の72時間停戦が始まってから数時間後というタイミングだったが、それ以前の停戦がすぐに破られていたことから、同臨時代理大使は今回の停戦が維持されるとはほとんど信じておらず、RSFによるコミュニケーションや調整は崩壊していると述べた。
RSFと国軍の間で戦闘が勃発したのは、2021年10月の軍事クーデター後のスーダンを文民政府のもとに取り戻すことにつながると多くの人が期待した枠組み合意が結ばれた僅か数ヶ月後のことだった。
アル・ブルハン将軍とRSFトップのモハメド・ハムダン・ダガロ将軍(通称へメッティ)は、スーダン最大の民主化団体「自由と変革勢力(FFC)」や他の40団体の指導者らと共に、12月5日にハルツームでこの合意に署名した。
民主的選挙と軍の兵舎への帰還から成る文民主導の移行への道筋を示すこの枠組み合意では、社会のあらゆる面に対する完全な文民統治の必要性と、首相がトップを務める治安・国防評議会の設置が明記された。
ハッサン臨時代理大使は、直近の停戦を仲介したサウジアラビア政府の努力に感謝を表明する一方で、欧米が推進した枠組み合意に正面切って言及しつつ、現在の混乱の一因であると彼が考える「好ましくない国際的圧力」をかけないよう釘を刺す。
「イギリス側との話し合いの際に我々が常に言っていたことは、この枠組み合意は今起こっているような事態を引き起こすだろうということだった。合意の一環としてRSFを国軍に統合するとしていたからだ」
「へメッティはワークショップにおいて、統合には従うが10年間かけて行うと言った。なぜ10年も必要なのか。国軍は2年で十分だと言った」
「国軍はRSFのことをよく知っているし、その中の人間のこともよく知っている。彼らは国軍の予算から給与を貰っていた。統合が非常に困難な反体制運動のようなものではないのだ。10年は長すぎる。それが現在衝突が起こっている理由の一つだ」
ハッサン臨時代理大使は、2020年のジュバ合意に関わった「非常に重要な政治家ら」が枠組み合意から除外されていることも厳しく非難する。ジュバ合意は、様々な関係当事者に経済的権利や土地の権利および政治的代表権を与えることを通してスーダンにおける数十年にわたる暴力を終わらせたものだ。
同臨時代理大使は、現在の紛争を終わらせるためにはどうすればいいかという質問に対して、RSFは武器を捨て国軍に再統合される必要があるとしたうえで、それを行った者はアル・ブルハン将軍から恩赦を与えられるだろうと強調する。
また、RSFが攻撃を続けるなら国軍はこの状況を終わらせるだろうと確信しているとしたうえで、「現地の状況を見る限り、まもなくそうなるだろう」と言う。
「国軍はこの反乱を終わらせることが最優先だと言った。その後はおそらく双方がテーブルに着いて、RSFを国軍にどのように統合するか、RSFがどのように武器を捨てて国軍の一部になるかを交渉することができるだろう」
さらに、RSFと国軍の間の交渉を仲介するというジブチ、ケニア、南スーダンからの提案を国軍が受け入れたことに触れ、それが「停戦の先にあるものを提供できる可能性がある」と指摘する。
ハッサン臨時代理大使は、一連の停戦を仲介したサウジアラビアの努力への感謝を強調しつつ、持続的な和平はスーダンで起こっていることを「本当に理解している」者からの支援のもとでの「アフリカの課題に対するアフリカの解決策」という形で実現するだろうと言う。
しかし、欧米がこの紛争を「反乱」ではなく「対等な者同士の戦闘」と表現していることは、そのような取り組みの助けにならないという。
「欧米のメディアはこの紛争を二人の将軍の間の戦争と表現しようとしているが、それは真実ではない。スーダン国軍は100年以上の歴史を持つ、スーダン全土からの新兵で構成されている熟練したプロの軍隊だからだ」
「スーダン全土から来た様々な民族、様々な部族の者たちで構成されている。誰もがこの軍に入ることができる。そのような軍が反体制組織からの攻撃に応戦しているのだ」
「だから、介入しようとする世界や地域の国々が第一にやらなければならないのは、今起こっていることを正しく表現することだ」
「これは反乱であるというメッセージを送らなければならない。仮にこれがイギリスなど他の国で起こったとすれば、その国の軍は我々と同様に反応するだろうからだ」
ハッサン臨時代理大使はアラブニュースの取材に応じる直前、イギリスのジェームズ・クレバリー外相と会談していた。
クレバリー外相からは、ここしばらくの戦闘の激化を受けたイギリス国民のスーダンからの退避を促進するために尽力してくれたことへの感謝のメッセージを国軍に伝えるよう頼まれたという。
「この会談ではスーダンの人道的状況についても話し合うことができた。食料や医薬品が不足する中での国民のニーズについて話した」
「クレバリー外相は政府との話し合いの席に着いた際、イギリスが提供できる支援について検討すると言ったが、この反乱が病院、学校、大学などを攻撃しているせいでスーダンの人々は非常に高い犠牲を払っている」
「道路が封鎖されているため医者が病院にたどり着けない。国民にとって非常に悪い状況になっている」
ハッサン臨時代理大使は、国軍が同国の州の大半を掌握していること、そして国軍がハルツームに集中する中でも西部ダルフールにおける緊張を緩和する努力がなされていることを指摘しつつ、紛争がスーダンの国境を越えて広がるとは思わないと言う。