Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter

シリア難民の存在は「レバノンに対する陰謀」と前大統領主張

ミシェル・アウン氏は首都ベイルートの東にあるバアブダの大統領官邸外で2022年10月30日、自身の任期が終了したことを告げるスピーチを行った。(AFP/資料写真)
ミシェル・アウン氏は首都ベイルートの東にあるバアブダの大統領官邸外で2022年10月30日、自身の任期が終了したことを告げるスピーチを行った。(AFP/資料写真)
Short Url:
01 May 2023 05:05:51 GMT9
01 May 2023 05:05:51 GMT9
  • FPMが開いた会議でアウン氏は「欧州諸国の大半は我々にシリア難民受け入れを強制し続けている」と言った

ナジャ・フーサリ

ベイルート:ミシェル・アウン前レバノン大統領は4月30日、レバノンにシリア難民が居座ることは「レバノンに対する陰謀である」と述べた。

南方の町ジェジンにて自由愛国運動によって開かれた会合でアウン氏はシリア難民のことを「政治難民ではなく安全保障難民」と表現した。

シリア難民がレバノンに入国した背景には、多くの国の影響とレバノン政府への圧力があるとも述べた。

「お伝えすることを恥じる気持ちはありませんが、大半の欧州諸国はシリア難民を受け入れたくはなく、我々に無理強いをして彼らをここに留め置かせています」

「さらに危険なことは、友好的な欧州諸国が我々に違法なことを押し付けているということです。欧州諸国はシリア難民をレバノン社会に統合させたいのです」

2011年シリア革命に関してレバノンでは政治的相違があったと仮定すると、レバノンは公的な国家機関を通じて否定することで、シリア難民問題に対処してきた。

2012年にヒズボラがシリア内戦に参加してから、レバノン国内のシリア難民の数は増加した。正確にいうと、アルクサイルやカラムーンという地域から来る難民が増加し、難民を支援する国際機関の役割も増大した。

しかしレバノン政府は、難民を受け入れるために特定のキャンプを割り当てようとはせず、温かく迎え入れる環境がある地域への居住を促した。

レバノン政府の推計では、レバノンは現在およそ150万人のシリア難民を受け入れている。

レバノンからシリア軍が撤退し、30年間続いた駐留が終わってから18年が経った。

アウン氏は「(シリアとの)連携・協定の下に、50万人のシリア難民を本国に送還することができた」という。

アウン氏は任期中に、FPMと共にシリア難民を送還する運動を実施した。しかし、国際組織は「強制的で安全でない送還」はどんなものでも認めていない。

自由愛国運動党首ジブラーン・バシール氏は、シリア難民がレバノンにとどまる理由はないと語る。

バシール氏は、パレスチナ難民の帰化と同じ事態がシリア難民でも繰り返されていると信じている。

「しかし、国際機関や政府機関や非政府組織の一部は、難民の滞在を通じたお金の流れや公的補助金から、多くの利益を得ています」とバシール氏はいう。

「レバノン人とシリア人との間に新たな衝突を生みだす計画があり、その結果はこの分離計画に寄与します」とバシール氏。

4月30日のアウン氏とバシール氏による発言は、政治停滞が続くレバノンで、シリア難民に対する新たな運動が発生したことを示すものだった。

ここ数日、多くの自治体は夜間の難民の移動を制限する追加決定を下した。

先月、レバノンに不法に入国したシリア人約50人がシリアへ送還されたと報告されている。

さらに、不正確な統計によると、レバノンの刑務所にいる被収容者のうち約40%は、窃盗や殺人や誘拐をしたシリア人被収容者であることが仄めかされている。

イドリブ出身の難民であるアリ氏によると、20歳の親戚が、ひと月前にレバノンとシリアの国境を不法に越えて、シリアに戻ることができたという。

アリ氏は、一部の保安要員を含むレバノン人とシリア人の仲介者に、ドル建てで大金を支払う必要があったと主張した。

UNHCRによって難民登録されているイドリブ出身のシリア難民であるアフメド氏は「一部のシリア人がレバノンで犯した罪の責任を、全ての難民に課すべきではありません」とアラブニュースに語った。

レバノン政府には命令を下す権利があり、難民は法律に従うべきだということを、アフメド氏は認識している。

「しかし、レバノン人とシリア人の密入国業者を含めて、皆が不法な越境から利益を得ています」とアフメド氏は付け加えた。

エリアス・ブー・サアブ前防衛大臣は2019年に「レバノン政府保安機関によるリストには、136件の不法な越境と、徒歩や動物による多数の越境が記載されている」ことを明確にした。

先週行われたシリア難民問題についての閣僚会議において「違反者を厳しく告発し、シリア人の不法入国を防ぐ」ことが警備担当者に命じられた。

レバノンで起きているシリア難民の送還に伴う緊張を背景に、北部及び東部シリア自治行政区は、レバノンおよび世界のさまざまな地域からシリア難民を受け入れる準備ができたと発表した。

国連に対し自治行政区は「適切な環境を提供すること」を求めている。

北部及び東部シリア自治行政区外交部共同議長のバドラン・チヤ・クルド氏は「レバノンのシリア難民は非常に困難な状況で生活している」と述べた。

同関係者は国連に対し、「責任ある役割を果たし、人道的な理由から、レバノンと我々の地域の間に、難民の帰還を促進するための人道的回廊を開くこと」を強く求めた。

特に人気
オススメ

return to top