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バイデン米大統領、スーダン制裁の選択肢を示す 停戦延長は効力未知数

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05 May 2023 03:05:01 GMT9
05 May 2023 03:05:01 GMT9
  • バイデン大統領は4日、暴力の責任者に制裁を課す権限を強化する大統領令に署名した
  • 紛争により、これまでにスーダン全土で約700人が死亡している

ハルツーム:米国のジョー・バイデン米大統領は4日、銃声と爆発が20日連続でハルツームを揺るがす中、スーダンの紛争について新たな制裁を課すと脅し、戦闘を「終わらせなければならない」と述べた。

スーダンでは、アブドゥルファッターフ・アル・ブルハン将軍が率いる国軍と、同軍の元副官ムハマド・ハムダン・ダガロ氏を司令官とする準軍事組織「即応支援部隊」(RSF)との間で、RSFの正規軍への統合計画をきっかけとする紛争が続いており、4月15日の勃発以来、数百人が死亡している。

前回の停戦期間が4日午前0時に終了し、国軍側は引き続き7日間の新たな停戦に従う用意があると述べたが、対するRSFは発言をしていない。

バイデン大統領は4日、暴力の責任者に制裁を課す権限を強化する大統領令に署名したが、制裁対象の候補は具体的に挙げていない。

バイデン大統領は声明の中で、制裁を受けるのは「スーダンの平和、安全、安定を脅かし、民主的体制への移行を損ない、民間人に対する暴力を行使し、深刻な人権侵害を行う等の行為に責任を負う個人」だと述べている。

「スーダンで起きている武力衝突は悲劇であり、文民政権と民主化への移行を求めるスーダン国民の明確な要求に対する裏切りである。このような衝突は終わらせなければならない」と大統領は訴えている。

新たな停戦が発効したとされる時刻からわずか数時間後、人口500万人の大都市・首都ハルツームでは、夜明け頃に路上で大きな爆発音を伴う銃撃戦があり、日中には敵対勢力間の衝突があったと複数の目撃者が報告している。

スーダン外務省はその後、RSFがハルツームのインド大使館を攻撃したと非難したが、大使館側はこれ以前の被害の報道と同様、攻撃を公式には確認していない。

NGO「武力紛争発生地・事件データプロジェクト」(ACLED)によると、今回の紛争によりスーダン全土でこれまでに約700人が死亡しており、その場所はほとんどがハルツームとダルフールとなっているとのことである。

国連難民機関(UNHCR)は、スーダンから86万人が脱出することを想定していると述べ、10月までの期間だけでも避難民の支援に4億4500万ドル(約590億円)が必要になるとの見込みを示した。

「膨大な援助が必要で、課題は山積している。このまま危機が続けば、地域全体の平和と安定が危うくなる」とUNHCRの運営副局長であるラウフ・マズー氏は述べている。

戦闘が始まって以来、すでに10万人以上がスーダンから脱出している。

戦闘が始まった日、ブルハン将軍とダガロRSF司令官は国外からの調停者を交えて会談し、民主的な統治に移行するための重要な条件であるRSFの軍隊への統合について話し合う予定だった。

しかし、会談の代わりに、朝のハルツームには銃声が鳴り響いたのだった。

国連の人道問題担当トップであるマーティン・グリフィス氏は3日、世界食糧計画(WFP)からの食料物資を積んだトラック6台が戦乱の続く西部ダルフール地方に向かう途中で略奪に遭ったことを受け、援助物資と関係者の安全な通行について交渉するためにスーダンを訪問した。

ダルフールは、2003年に当時のオマル・バシル大統領が、主にアラブ系牧畜民族から集められた民兵組織「ジャンジャウィード」を少数民族の反乱軍の鎮圧に使った内線の傷跡が今も残る地域である。

このジャンジャウィードが、そのやり方によりバシル氏らに対する戦争犯罪の告発につながり、後にRSFへと発展していったのである。

国連は、今回の戦闘でダルフールの一般市民が再び武装していると述べた。

ノルウェー難民評議会(NRC)は、西ダルフール州の州都エルジェニーナでの暴力により、「少なくとも191人の命が失われた」と述べた。

「数十の集落が焼かれ破壊され、数千人が避難している」と同評議会は報告している。
アントニオ・グテーレス国連事務総長は3日、国際社会がスーダンに「失敗」をもたらしたと認めた。

「スーダンのように多くの被害を受けている国には、2人の人間の間で権力争いをする余裕はない」とグテーレス事務総長は述べた。

紛争の勃発以来、調停活動は盛んに行われているが、国軍は3日、「アフリカ大陸の問題に対するアフリカ的解決」を望んでいることから、東アフリカの地域ブロック、政府間開発機構(IGAD)の調停を支持すると発表した。

アラブ連盟の外相は、今月末にサウジアラビアで開催される首脳会議に先立ち、紛争について話し合うため7日に会合を開く予定だと、外交筋はAFP通信に語った。

国際移住機関(IOM)によると、戦闘が始まって以来、近隣諸国に脱出した11万5千人を含め、45万人近くのスーダン市民が自宅から避難しているという。

2019年のクーデターでバシル元大統領が失脚して以来、仲裁諸国・機関は民間人と軍を交渉のテーブルに着かせようと努めてきた。

ジョー・バイデン米大統領は4日、スーダンの紛争をめぐって新たな制裁を課す可能性を示し、戦闘は「終わらせなければならない」と述べた。(ファイル写真:ロイター)

しかし、その過程で、ブルハン将軍とダガロRSF司令官を信用しすぎたとアナリスト達は見ている。両者は、現在も続く権力闘争で対立する以前は、選挙による文民統治への移行を頓挫させたクーデターで協力していた。

亡命した反政府勢力の指導者アブデル・ワヒッド・ヌール氏(ダルフールでの数十年にわたる戦闘のベテラン)は、「スーダン国民はこの2人(ブルハン将軍とダガロ司令官)のどちらも望んでいない」と述べた。

「国民は文民による政権を望んでおり、(軍事指導者間の)現在の紛争に勝者は存在しない」とヌール氏は指摘した。

AFP

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