
ラマッラー:イスラエルのガザ地区への火曜日の空爆により10人の一般市民を含むパレスチナ人13人が殺害され、ヨルダン川西岸地区では怒りの声と広範な人々からの激しい非難が上がった。
武装組織「イスラム聖戦」の指導者3人とその家族がガザ地区で殺害されたことを受け、ジェニン近郊の小都市アラバで広範なストライキが行われた。
アラバは、今回の空爆攻撃で殺害された3人の指揮官の内の1人であるタリク・エッズ・エルディン氏の出身地だった。
パレスチナのシュタイエ首相は、医療支援のガザ地区への即時派遣を命じた。また、パレスチナ外務省はイスラエルがパレスチナ人を標的とした攻撃を行わないようにするための国際的な介入を訴えた。
シュタイエ首相は、「私たちパレスチナ国民へのガザ地区での攻勢は、組織的な国家テロです。そして、それは、イスラエルの過激主義的政権の内部危機を外部に持ち出そうとする試みであり、イスラエルの政権幹部たちが長年公言してきた殺害や放火、大量虐殺の方針を実践に移したものです」
「1948年に私たちの民族に襲いかかった大惨事、そして、ヨルダン川西岸地区と占領下のエルサレムの都市や町、キャンプへの武力行使の延長が、今回のガザ地区への攻勢です。今まで最新の武力行使は、ナブルス市への襲撃でした」
シュタイエ首相は、この襲撃を「私たちパレスチナ国民を恐怖に突き落とし、私たちの正統的権利(その中で最重要なのは自決権とエルサレムを首都とした独立国家の建国です)を求める苦闘への意志を削ぐことを目的とした組織的な政策」の一部であると言い表した。
同首相は、また、ナクバ関連では史上初の行事となるナクバ75周年式典の準備を行っている国連に対して、ガザ地区への攻勢と「継続的なパレスチナ国民の虐殺」への非難と、違法行為を犯したイスラエル指導者が処罰から免れる事の防止を目的とする、そうした犯罪への対処基準の統一を呼びかけた。
パレスチナ国民イニシアチブ党のムスタファ・バルグーティ事務局長は、ガザ地区での殺害は「ヨルダン川西岸地区での抵抗運動の激化に繋がり得ます」とアラブニュースに語った。
武装組織「イスラム聖戦」の報復は、「ガザ地区のイスラエル人に対するものに限定されることなく、ヨルダン川西岸地区やエルサレム、レバノンやシリアといったその他の地域へも拡大するかもしれません」と、バルグーティ事務局長は語った。そして、ガザ地区のいわゆる共同作戦室を介してハマスも参加する事もあり得るとバルグーティ事務局長は付け加えた。
バルグーティ事務局長は、イスラエルの目的はガザ地区とヨルダン川西岸地区において「パレスチナ人によるあらゆる形態の抵抗を押しつぶす」ことなのだと語った。
「イスラエルの極右政権は、イスラエルが、抵抗を受けることなくユダヤ化計画を継続し、パレスチナの領土を併合出来るような状況をパレスチナで作り出そうとしています」と、バルグーティ事務局長は重ねて述べた。
パレスチナ内の情報筋がアラブニュースに語ったところでは、イスラエルが一般市民に対する暴力行為の程度を強めたことがヨルダン川西岸地区の緊張を高め、パレスチナの治安部隊では暴力衝突の可能性について検討しているという。
イスラエル問題の専門家のエスマット・マンスール氏は、武装組織「イスラム聖戦」は報復を演出するものの、「実際にはこれまでの流れを変えたり、40kmの距離を越えたりすることはありません」とアラブニュースに語った。
マンスール氏は、抵抗運動へのレバノンやシリアの戦闘員の参加は、「イスラム聖戦の報復にハマスが関与しているか否か次第です」と付け加えた。
しかし、ハマスは総力戦やインフラの破壊、ガザ地区住民の苦難に繋がり得るイスラエルとの全面的対峙への発展は避けようとするだろうとマンスール氏は語った。
「イスラム聖戦は抑止力の均衡と面目を保つために、対応せざるを得ません」と、マンスール氏は言った。そして、「エジプトは、イスラエルの行動に対して激怒したものの、イスラム聖戦がこれまでの枠組みを破り、元に戻れない局面に達することは容認しないでしょう」と、マンスール氏は付け加えた。
パレスチナの著名な政治アナリストであるガッサン・アルハティブ氏は、1週間前にイスラエルに数十発のロケット砲の発射を行ったとの声明をイスラム聖戦が出していたことから、イスラム聖戦の指導者に対するイスラエルの攻撃は予想されていたと、アラブニュースに語った。
しかし、今回の殺害は武装組織としてのイスラム聖戦の戦力に影響を与えることはないだろうとアルハティブ氏は付け加えた。イスラエルはパレスチナの過激派組織に対する抑止力として今回の攻撃を行ったとアルハティブ氏は述べた。